横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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平成21年 都市経営・行政運営調整委員会

△横浜の国際戦略について

○(佐藤[祐]委員長)
 次に、横浜の国際戦略についてを議題に供します。
 当局の報告を求めます。

◎(鈴木都市経営局長)
 横浜の国際戦略につきましては、国際政策室長のほうから御報告させていただきます。

◎(関山国際政策室長)
 横浜の国際戦略について御説明いたします。
 本国際戦略は、平成20年度、野田副市長のリーダーシップのもと、国際関連施策を担当する局・事業本部がプロジェクトを形成し、取りまとめを行いました。
 本日は、お手元に説明資料として資料3、第二の開国をリードする横浜の国際戦略、資料3-1、横浜市海外諸都市との都市間交流指針、その裏面に資料3-2、ヨコハマ国際まちづくり指針、また資料3-3として、第二の開国をリードする横浜の国際戦略本編をお配りしております。
 まず、資料3をごらんください。
 1の国際戦略策定の必要性ですが、背景として、経済活動のグローバル化の流れにより、国の枠を超えて都市が選ばれる時代となっている一方、我が国では生産年齢人口の減少によって都市経営リスクが増大する状況にあり、国内外の都市に先駆け、都市の魅力の創造と発信が必要になっております。
 こうした中、開港150周年を迎えた本年は、次の50年に向け、より暮らしやすく魅力あるまちを形づくっていくための節目の年であるとともに、世界的には地球温暖化や貧困・紛争といった課題が深刻化しており、我が国は国際社会の中でどのようにあるべきか、いわば第二の開国ともいうべき状況に臨んでいると考えられます。国際都市として歴史的に日本の新しい時代の扉を開く役割を担ってきた横浜が、この第二の開国に当たって、今度は日本全体を元気にする役割を担うべく、より戦略的に国際施策を推進していく必要があります。
 2の横浜市の経営基盤を支えるまちづくりは、人口減少社会などの都市経営の課題に本市としてどう立ち向かうか、国際施策の枠を超えて検討したものであります。
 横浜に多くの人が訪れ、企業が集積すれば、まちにより大きな活力が生み出されます。それに向けて人々が住みたい・住み続けたいまち、人々が訪れたいまち、企業が進出したいまちを都市イメージとして設定いたしました。
 この人や企業から選ばれる都市という目標に向けた3の国際戦略の意義と方向性としましては、横浜は市内外からその国際性が認められており、魅力となっております。この国際都市としての価値を向上し、豊かな市民生活を実現することが国際戦略の意義と考えております。また、これまで培ってまいりました国際都市としての優位性と横浜を取り巻く外部環境を把握することにより、国際戦略の方向性を定めました。
 4の横浜の優位性につきましては、外から見た客観性に留意し、アメリカのコンサルティング会社による世界主要都市の生活環境調査や海外諸都市と横浜のデータを比較するなどの分析した結果、次の7点を横浜の優位性として取り上げました。
 まず、文化芸術、開港当時の趣を残した街並み、港や水・緑といったゆとりと癒しを兼ね備えた都市環境。
 次に、横浜らしい都市資産を継承・活用しながら、先端的都市文化をつくり出す創造都市や都市デザインによる都市づくり。
 続きまして、150万本植樹行動、G30、地球温暖化対策など他に先駆けた環境問題への取り組み。
 次に、理化学研究所や国際熱帯木材機関、国連世界食糧計画、シティネットなど企業の研究開発拠点や国際機関等の集積。
 さらに、8つの姉妹都市との交流やアジア地域の5都市とのパートナー都市提携、シティネット会長都市としてのアジア太平洋都市間協力によるリーダーシップなど都市交流と国際協力の実現。
 また、みなとみらい地区を初めとするウォーターフロントの開放的な環境などによるアーバンリゾートの雰囲気。
 最後に、一昨年、国内第一位となった国際コンベンション参加者数、また約3,000人が訪れ、日本外交史上かつてない規模となった第4回アフリカ開発会議など国際会議の実績、この7点を優位性としてとらえました。
 5の横浜を取り巻く外部環境では、横浜にとって機会である有利な環境と脅威となる不利な環境の両面を分析しました。有利な環境としては、羽田の国際化、日産やゼロックスなどのグローバル企業の進出、TICADⅣの成功、地球温暖化対策を初めとする環境への意識の向上などを挙げることができます。
 立ち向かわなければならない不利な環境としては、ビジネス活動や人口の東京への集中加速、アジアからの観光客をねらいとした温泉やスキーによる地方都市の競争力向上、また横浜の知名度の海外における低さなどが考えられます。
 以上を総合して、6の取り組むべき戦略の柱ですが、人々が住みたい・住み続けたいまち、人々が訪れたいまち、企業が進出したいまちを3本の柱として、次の取り組みをまず推進してまいります。
 人々が住みたい・住み続けたいまちに向けた先進的な都市づくりの実績を生かし、国内外の都市との競争に立ち向かう戦略といたしましては、環境モデル都市やクリエイティブシティ・ヨコハマの実現など、東京・地方都市と明確に差別化できる魅力の創造と発信。
 シティネットを通じた国際協力によるアジア太平洋地域におけるリーダーシップの発揮。
 外国人が住みやすく、訪れたいと思う安全で世界水準のサービスの提供の3点であります。
 人々が訪れたいまちに向けた開港150周年、観光庁設立、羽田国際化などの機会を生かした戦略につきましては、横浜の持つ優位性を集中的に発信し、海外での認知度を向上し、誘客、コンベンション誘致、企業誘致につなげていく海外広報活動の展開。
 質の高いエンターテインメントの提供や魅力的なイベントの定着化とともに、近隣地域との提携などを通じたアフターコンベンション機能の充実の2点であります。
 さらに、企業が進出したいまちに向けた国際機関や研究開発拠点の集積や国際貢献のノウハウを生かした戦略につきましては、インターナショナルスクール等の支援や大学等入学資格の国際認定制度であるインターナショナル・バカロレア等の市内学校の取得支援。
 上下水道、ごみ処理、G30など横浜が持つ技術・ノウハウの国際市場での展開の2つであります。
 7の既存の指針との関係は、本国際戦略の全体像を示しております。第二の開国をリードする横浜の国際戦略は、人や企業から選ばれる都市、交流や協力を通じ、世界に貢献する都市、外国人が安心して暮らせる都市、この3つを目標としております。これは、それぞれ世界から学ぶことを横浜にどう生かし、活力に変えていくか、地球に対してどういう貢献をしていくべきか、地域の国際化にどう取り組んでいくかという国際都市横浜の現状の課題に対応するものであると考えております。
 交流や協力を通じ、世界に貢献する都市については、地球に対してどういう貢献をしていくべきかに対応するために、資料3-1の横浜市海外諸都市との都市間交流指針を平成18年3月策定、平成19年3月に改定し、推進しております。
 外国人が安心して暮らせる都市については、地域の国際化にどう取り組んでいくかに対応するため、平成19年3月に資料3-2のヨコハマ国際まちづくり指針を策定し、推進しております。
 そして今回は、人や企業から選ばれる都市の目標に向けて、世界から学ぶことを横浜にどう生かし、活力に変えて行くかという課題を中心に検討し、さきの2つの指針とあわせて本国際戦略を策定いたしました。
 また、本国際戦略は、この3つの目標に向かって一体的に推進していくことが重要なため、平成21年度に実施する新規、充実、継続の国際関係事業を、さきの2つの指針に基づく事業を含めて、人々が住みたい・住み続けたいまち、人々が訪れたいまち、企業が進出したいまちの3本の柱に体系化いたしました。
 最後に、資料3-3の本編の御紹介を若干させていただきます。
 本編17ページから20ページにかけて、ただいま御説明いたしました国際戦略の体系に基づく具体的事業を記載しておりますが、その中でゴシックで表示しておりますので、先ほどの資料3の中の6、取り組むべき戦略の柱における戦略的に取り組む具体的な事業となっております。
 また、本編に続いてデータ集を付しております。1ページの今回の野田副市長プロジェクトのメンバーのほか、3ページに横浜市内の市民一人当たりの消費額、4ページに消費の市外流出率、5ページには異国情緒・国際都市が横浜のイメージと報告されました市民意識調査、6ページに横浜市が魅力度で全国4位となった地域ブランド調査、13ページには平成19年に国際コンベンション参加者数で横浜が全国1位と公表されましたコンベンション統計など、今回の検討に活用しましたデータをまとめておりますので、後ほどごらんください。

○(佐藤[祐]委員長)
報告が終わりましたので質疑に入ります。

◆(荻原委員)
 国際戦略の観点の中で、教育というのは入っているのでしょうか。

◎(関山国際政策室長)
 将来の横浜を担う人材育成のためという観点から、国際戦略の中では、学生の国際性涵養を目的とした事業として、平成21年度予算案に計上しておりますアフリカ学生ホームステイプロジェクトを盛り込んでおります。また広い意味で市民の国際会議等への参加によるグローバルな人材の育成の推進にも掲げておりまして、教育のプログラムを取り込んでいると考えております。

◆(荻原委員)
 教育委員会としっかり組んでやられているのですか。

◎(関山国際政策室長)
 特にアフリカ学生ホームステイプロジェクトにつきましては、教育委員会と連携して実施する予定であります。

◆(荻原委員)
 本編で関係各局がたくさん書いてありますが、教育委員会は入っているのでしょうか、私の見落としでしょうか。

◎(関山国際政策室長)
 データ集の中の1ページにプロジェクトメンバーが書かれています。ここでの御指摘だと思いますけれども、平成20年度の国際戦略のプロジェクトにおきましては、各局・事業本部のメンバーで検討を行いました。したがいまして、教育委員会は入っておりませんけれども、平成21年度に国際戦略を推進するために委員会を新たに全庁的に設置したいと思っております。全区局・事業本部の国際施策担当の部長クラスで委員会を組織し、戦略の実施に当たっていきたいと思っておりますので、平成21年度には参加してもらう予定であります。

◆(荻原委員)
 本編で教育委員会が書いてあるのは20ページの一番上の8番のみですか。

◎(関山国際政策室長)
 20ページに教育委員会は記載しております。それから先ほどの17ページの11番、アフリカの子供たちのホームステイプロジェクトにつきましては、都市経営局など関係局とありますが、この関係局の中で教育委員会は入っております。

◆(荻原委員)
 国際教育という観点は、横浜の国際戦略を立てる上で極めて重要だと私は考えております。教育委員会の国際教育関連の方々ともお話をさせていただく機会が幾度かあったのですが、国際政策室というからには、横浜全体を平成21年度から全庁的にやられるということで大変うれしく思っておりますけれども、全庁的な取り組みとして教育委員会に対して、横浜の国際政策のゴールをきちんと示した上で、横浜の国際教育をしっかりとつくっていただきたいと思います。
 本編の中で参考の17ページ、教育委員会とともに小中学校における国際教育のあり方というものを、国際政策室の中でしっかりとつくっていただきたいと思うのですが、いかがですか。

◎(関山国際政策室長)
 来年度の取り組みの中で、しっかり推進してまいりたいと思います。

◆(荻原委員)
 局長の見解を伺うことは可能ですか。

◎(鈴木都市経営局長)
 今まで、国際的な施策をそれぞれの局が進めているけれども、全体として何がねらいで、どういうふうにやっていくのかという一本の体系的な線がなかったので、野田副市長プロジェクトとしてやってきたという経過があります。国際理解教育が要素としてどれくらい入っているか、若干弱い部分が見当たるという御指摘として受けとめながら、今後、その分野の施策を拡充することを少し考えるとか、教育委員会の意見をきちっと連携して聞いていくとか努めながら、内容豊かにしていきたいと思っております。

◆(石井委員)
 予算の中に推進費が入っているのですが、国際戦略という言葉はわかりますけれども、インターナショナル・ストラテジーですが、語源では軍事用語というとらえ方をされる可能性があります。民間的には確かにこの言葉は定着しつつありますが、ガバメントなり、公的組織が使った場合、そういったとらえ方をされるのですが、この辺のネーミングについて、入口の議論で恐縮ですが、何か議論があったのですか。

◎(野田副市長)
 今御指摘のような懸念は余り議論しませんでしたが、もともと国際戦略という名前をつけましたのは、当然横浜の中期計画の中でも横浜国際戦略というのは7つの柱の中の1つに入っていて、国際戦略ということはうたわれていたわけです。ただ、各局で進めているそれぞれの施策を見ますと、国際というものが意識されて、戦略的に横浜の都市としての国際性を高めていこうと、横浜は国際都市であるということが市民の意識調査からも魅力として認知されていますけれども、国際性の価値というものが全局区で共有されて、戦略的にそれぞれの施策を進めるというふうに必ずしもなっていないという認識のもとで、戦略的に横浜の国際性というものをどう出していくのか、価値を向上していくのかということで、こういうネーミングを使わせていただいた次第でございます。

◆(石井委員)
 結論としては、ネーミングを考えたらどうでしょうかと言いたいのですが、今回の場合も200万円推進費として予算の中に入っています。新たな施策を進めるに当たって、特に今回の場合は都市間交流やアジアに対して具体的な都市名も挙がっていました。地域の方々からすると今までの日本のイメージというものがあるから、国際戦略という言葉の響き、日本語はわかりますが、英語にした場合、若干のイメージ的なものがあるかと思います。野田副市長のようにソフトの方が行けば問題ないと思いますけれども。中身はこれから勉強させていただきます。

◆(飯沢委員)
 実は、新年度予算の研究会で国際戦略200万円は何をやるのかという話で、戦略を策定中だということで、策定したら1回できた段階で見せてくださいという経過があったのです。国際的ないろいろな事業をやっているけれども、それが今まで総合化されていない、あるいは今までどの方向へ向かって横浜が国際的なまちづくり、価値を高めていくのか、そういう方向性が見えない。ヨーロッパなのかアジアなのか、あるいは環太平洋なのか、国際会議においてもアフリカを誘致するアフリカ国際会議、今度アジア太平洋、では、ヨーロッパはどうするのか。総合的な指針の中で国際会議なり交流なり、こちらが選別するのではなくて、限られた資源を有効活用しながら、第二の開国に向かわなければいけない。そういう指針の策定を急いだほうがいいと、作業をしていただいたのですが、選ばれる都市だとか世界に貢献する都市、外国人が安心して暮らせる都市、これは別に横浜でなくても大阪でも名古屋でも、神戸でも変わらないわけです。戦略という以上は、そのあたりの強みをどこにどう生かして、羽田の国際化を起爆剤にしてやるか、もっと具体的な方向が必要ではないか。各局それぞれやるのはいいけれども、何か次の開国に向かう年にしては、非常に第一次ステップはいいけれども、今後どうするのかという感じがします。

◎(野田副市長)
 おっしゃるとおり、第一ステップということで、横浜の持つ国際性というものを本当に開港150周年を機にもう1回見直しして、強化していくことが必要だと、全局集まって、各局がやる施策の中で、どう国際性をきちんと入れ込んで、将来の都市経営を考えた場合に、国際性というのは横浜からは絶対に落とせないものであろうという認識を、まず共有することを今回しました。次のステップとして、具体的に何をやっていくのかということは当然課題で、先ほど御指摘があった教育の話も当然やらなければいけないと思っています。平成21年度にこの延長線上で局区横断的なチームをつくりまして、具体的な共有された認識のもとに進めていくことが必要だと思っておりますので、ちょうだいしました御意見を踏まえて、やっていきたいと思っております。

◆(飯沢委員)
 長期ビジョンは策定されていますが、整合性はどういうところで生かしていますか。

◎(関山国際政策室長)
 長期ビジョンの中で幾つか柱がございます。その中で世界の知が集まる交流拠点都市、市民の知恵がつくる環境行動都市、それぞれの分野の側面で視点として、あるいは具体的な施策の中でも国際戦略に取り込んでいると思っております。

◆(飯沢委員)
 知が集まる交流拠点都市横浜をつくる、どういう知なのかという話です。発信するものがなければ集まってこないわけです。集まってくればいいというものではなくて、横浜から発信していかなければ来ないです。どういう知が集まるか、それを考えた視点でぜひやっていただきたい。

◆(鈴木委員)
 国際戦略については以前、予算特別委員会か、決算特別委員会で私自身質問させていただいた記憶かありますが、それが形になってまとまってきた。分析の仕方などについては、余り市役所らしくなくていいかなという感じがしておりまして、野田副市長らしさも出ているかと思います。その中で考え方の整理で前から気になっていたところがあるので、後で野田副市長に伺いますが、その前に整理の仕方、スウォット分析はすばらしく丹念にやられたと思いますが、それを整理してまとめる切り口が2つある。積極的戦略、差別化戦略、段階的戦略という分け方と、住みたい・住み続けたいまち、人々が訪れたい、企業が進出したいという2つの切り口で分けたということですか。

◎(関山国際政策室長)
 おっしゃるとおりスウォット分析の結果、マトリクスの中で出てきました一例を申し上げると、横浜自身の地の利と外部環境が機会となるような有利な環境を組み合わせたものが積極的戦略になっております。またマトリクスの中で段階的戦略などを設定いたしました。これは分析の中で出た組み分けでございまして、それをさらに今回の戦略の中で考えた目標に向けて体系化したのが、後ろのほうに出ています住みたい・住み続けたいまち以下3つの柱の中で組みかえを行っております。

◆(鈴木委員)
 できれば前へ行ったり、後ろへ行ったり見るのが大変ですから、2つの視点を縦と横でマトリクスにしていただいたほうが、わかりやすいという感じがしますが、いかがですか。

◎(関山国際政策室長)
 努力いたします。

◆(鈴木委員)
 私は、毎年議員活動する中でその1年のテーマを決めているのですが、ことしは創造です。創造の使い方、考え方を少し整理していただけるとありがたいという感じがしているのです。どうも創造都市と国際戦略の中で言っているときに、文化芸術に特化している感じがします。例えば創造かいわいの話、象の鼻云々、黄金町もそうですが、文化芸術活動の上での創造という意味で使っています。芸術家を創造力をもとにして発意していくから、そういう感じで言っていると思います。都市戦略の話をしているときに、クリエイティブ人材の集積とかありましたが、クリエイティブ・クラス、リチャード・フロリダが言っているのは明らかに違う。例えば建築家なども含まれるし、匠の人たちも含まれるし、ソフトウエアの技術者も含まれるし、もっと広い意味で創造ということを言っています。
 さらに、その流れを受けてビルゲイツはクリエイティブ・キャピタリズムということを言い始めています。資本主義をもっと進化させて、社会の課題を解決していくためにクリエイティブでなければいけないと言っているのですが、そういう意味で横浜市で言っている創造というのは、どうも極めて狭義に言っているような感じがします。特にそれを国際戦略の中でも指摘されると、ちょっとずれてしまうのではないかと思っていますが、その辺の整理とか考え方は、どのような見解をお持ちなのか伺います。

◎(野田副市長)
 まず、創造というものの意味については、文化芸術にとどまらないと考えています。文化芸術というのは創造性を最も顕著にあらわすというか、生かされ、発揮されるものだということでは、文化芸術を生かしてまちを再生していくというのが文化芸術創造都市ということだと思います。横浜市の長期ビジョンにも市民力と創造力を2つの柱に挙げてあるとおり、この創造力というのは単に文化芸術を意味するだけではなくて、創造的なまちそのもの、人々が創造的にいろいろな活動ができて、まちも創造性に富んだものであるということで、文化芸術というものにとどまるとは考えていないですし、まちづくりという観点で文化芸術を生かして、横浜の持つ港を囲む地域資源をどういうふうに最大限に活用して、そこに文化芸術を取り入れながら活性化を図る。もちろん黄金町もそうです、倉庫を活用したものもそうだと思いますけれども、そういうことを進めるということももちろん1つありますが、ただ、それが創造都市の定義では必ずしもないととらえております。

◆(鈴木委員)
 そうであれば、そういう広報というとちょっと軽い感じがしますけれども、使い方をもう少し工夫しなければいけないと思います。クリエイティブシティとか創造都市というときには、もう少し説明して啓蒙しながらやらないと、思っていることと違うように伝わっているような感じがしますので、ぜひ工夫してください。

◆(山下委員)
 国際政略ということで、不利な外部条件で東京に集中すると書いてありますが、国際戦略ということを考えますと、国益、日本ということを考える必要性が横浜だけに限らずあるかと思います。例えば港湾ですと京浜3港という形で港の役割分担というものを今検討されている中で、東京も含めた日本の中心である首都圏が、国際戦略の中での役割を議論する必要性も出てくるのではないかと思いますが、いかがですか。

◎(鈴木都市経営局長)
 山下委員おっしゃることは、かなり大きい話になると思います。先ほど大都市制度や国際戦略の話、さらに都市の構造全体をどう考えるかということを内部的には検討していますけれども、委員の皆様方の議論に付していきたいと思っておりますが、そういうことも含めて大きくとらえたときに、首都圏の中の横浜、日本全体の中でどう首都圏を豊かにしていくか、首都圏の機能を発揮していくかという話と、その中でさらに横浜が何をするか分けて考えなければいけないと思っております。ここでは、横浜市自身の発展にとって有利な環境、場合によっては不利な環境として首都圏の中では西に位置している。その環境をどういうふうに使っていくかという視点からは議論していますが、日本国全体をにらんで国際戦略を横浜市がという視点では、そこまではちょっと議論が難しいかと思っております。

◆(山下委員)
 今グローバル企業のアジアのヘッドオフィスはほとんど東京からシンガポールに移ったり、また上海に行ったりしています。その中で今横浜の役割もあるというお話だったのですが、今回アジアの拠点としてのムンバイの役割は、国際戦略の中でどう位置づけるのでしょうか。

◎(関山国際政策室長)
 ムンバイの今回の拠点の役割ですが、横浜への企業誘致と横浜の企業のインドビジネスの展開、2つの側面で現地に拠点機能を設けました。

◆(山下委員)
 例えば横浜の魅力だとか、ここでうたわれています都市のブランドイメージという発信機能は、ムンバイには一切持たさないという状況でしょうか。

◎(関山国際政策室長)
 主要な機能ということで申し上げましたが、もちろん情報発信拠点でございますので、ビジネス情報だけではなく、観光やコンベンションを含めて横浜の情報を発信していくようにいたします。

◆(山下委員)
 そうすると、東アジアの中心がどうしてもシンガポールというイメージですが、その辺の拠点というのは横浜にはないですね。

◎(関山国際政策室長)
 クアラルンプールが以前ございましたが、そのときの位置づけがアジアにおける拠点でございました。その拠点を閉鎖以後、新たに再構築を検討してきたところですが、今回はアジアの地域の拠点ということではなく、インドを重要なポテンシャルを持つ地域と考えて、ムンバイにインドの拠点を設けました。

◆(石井委員)
 この計画の中で大学を持っているというのが最大の1つの売りだと思うのですが、大学は中期計画の中で大学の国際化を位置づけています。それとの整合性については、どんな視点で独立行政法人横浜市立大学と連携をとっていくのか伺います。

◎(関山国際政策室長)
 具体的には本編20ページ、一番最後のページの一番上の8、大学との連携を通じた産業の高度化、新産業の創出を図る。この中で国際戦略における大学の役割を記載しております。さらに具体的には、政略の1つの柱でありますアジア地域における貢献という中で、横浜市立大学とは例えばシティネットの活動における連携、各パートナー都市の大学の学生交換という中での協力、そういった面で国際戦略上の大きな役割を果してもらっております。

◆(石井委員)
 そういう部分と人的な留学生の具体的な対策という面では、大学を持っているということは最大の売りだと思うので、もっと前面に出すべきではないかと思います。

◆(太田委員)
 ちなみに、横浜港に入ってくる観光客船がふえた、どのくらいの人が乗り降りしているのかわからないけれども、どのくらいの人が横浜市を観光しているのか、多分わかっていないでしょう。
 野田副市長、今申し上げたみたいに、船がたくさん入ってくる、観光国際化ということで船をたくさん誘致しようとやっているけれども、ほとんど横浜は通過するそうですよ。ほとんど通過するということはわかっているけれども、横浜市にどのくらいの人が船を降りてから観光バスで観光するのかもわかっていない。国際戦略ということを言っている人が実際わからない。だから言葉の遊びだけやっている。これを聞いていると全部言葉の遊び、例えば国際戦略は、国際化なのか、単なる観光客を誘致しようとしているということなのか、読んでみると住むまちとか企業誘致と書いてある。そうしたら横浜市を外国人が常に闊歩できるような日本人と外国人が混在するまちにしようとしているのか、そう言っているようにも見えるし、言っていないようにも見える。観光客を誘致したい、観光客が行けるような場所が横浜市にあるのか聞きたい。今、三渓園すら行かないのですから、観光客がたくさん大さん橋に降りても、どこも通過なのです。観光客が寄るような場所をどうつくったらいいかということについて、別に提言しているわけでもない。
 僕はこれを見たときに、書いてあることはすばらしい、そのとおりだと思うけれども、昔はインド商館があったりしたから、中華街の向こうにインド人街があったと聞きました。確かに国際スクールが何校もあったりするけれども、ここにもIBを取るとか書いてありますが、いずれも学校としても中途半端です。YISとかそういうところはしっかりしているけれども、あとは日本の高校にも行かれないというところが多いです。例えばホライゾン学園などはそうです、卒業しても単位が違うので日本の学校へ行かれません。すべてにわたって横浜市の実態がどうなっているかということを、まずよく把握した上でないと国際戦略などできません。ところが、観光客が来ても何人横浜市を観光しているかどうかもわからないで、よく観光誘致だとか書けるなということになる。この話は戦略ということならなおさら、敵がどうなっているのか、味方がどうなっているのかということを明確に把握しなければだめではないか。失礼ながら、あなたがトップにして全然把握してないでしょう。それでは文字の羅列で、これでは幾ら金かけてもだめです。
 例えば東京と肩を並べるようにといっても、美術館何館ありますか。みなとみらい21に横浜美術館が1つあるけれども、東京ならば上野の山へ行けばたくさん美術館があり、いろいろなものが集積している、商店も御徒町の商店街とか集積しています。横浜市は集積していない、ばらばらで元町などは7時ごろになったら真っ暗です。だから国際戦略ということを言っていても、今現在、横浜が置かれている現況をよく把握して、なぜそうなってしまっているのかという分析がないと国際戦略は難しい。どうですか。

◎(野田副市長)
 今回の国際戦略プロジェクトを進めた背景といいますか問題意識は、まさに太田委員おっしゃったように、例えば横浜にはたくさんの客船が来ます。私も同じ質問をして、そのうち何人の人が横浜で消費して、横浜にお金を落しているのかということがやはり把握されていないのが現状です。あるいは観光客も今4,100万人来ていますけれども、観光客が本当にどれだけ横浜で消費しているのかということすら余り認識が低いということがあります。それから国際コンベンションの数では18万人ということで日本トップの地位にあります。毎年18万人来てくれる海外からのお客様が、本当に横浜で飲食をし、そして買い物をし、お土産を買って帰ってくれているのだろうかということも必ずしもまだ把握されてないという状況で、実際に私もコンベンションへ出てお客様と話をしてみますと、土曜日は京都に行ってしまうとか、箱根に行ってしまうとか、あるいは夜は六本木にこれから飲みに行くということで、横浜で消費をされていないという現状があります。単にお客様が来ればいい、数がふえればいいということではなく、もっと質的な転換といいますか、横浜の経済にきちんと資するようなことが重要であろう。
 客船を誘致するにおいても国際的な戦略、横浜の都市が国際的になって、それが横浜の経済というものに直結するようにやらなければいけないのではないかという問題提起を、今回各局に集まってもらって、来年度以降に具体的にどういうふうに外国の方が横浜を楽しんでいただけるようなメニューをつくっていくのか、アフターコンベンションで例えば横浜にある地域資源に関しては、もちろんPRします。ただ、それだけでは十分でないので、箱根とか鎌倉と連携しながら、横浜に泊まって、次の日は京都に行かないで鎌倉に行ってくださいと、そういうこともやっていく必要があるということで、具体的には来年度以降取り組んでいきたいと考えております。

◆(太田委員)
 パリはだれでもあこがれのまちですけれども、100年、200年全く変わらないです。中身は変えたとしても都市そのものは全く変わらない。あるいは上海のバンドも、地球温暖化のためにいいか悪いかは意見があるかもしれないが、しかし古い街並みを残してライトアップしている。あるいは絶対主義の国だからできるのかもしれないけれども、このまちは全部イタリアのまちにしてしまえとイタリア街をつくってしまう。そういうことをやるから人が集まる。例えば横浜市でも馬車道通りを明治の鹿鳴館時代の少なくとも外観だけでも馬車道のイメージからまちづくりをしてしまおうではないかとか、県立歴史博物館のところから大きな道路に出ると、結婚式場で細長くゴシックの建物が新しくできました。ああいうふうに横浜市が補助金を出してもいいだろうけれども、例えば馬車道の商店街は明治のレンガ造りのまちづくりに全部変えてしまうというようなことをやれば人は来る。すなわち、まちづくりそのものを1つとってみても、ばらばら。今はそんなことを言う人はいないけれども、私が横浜市会議員になってしばらくたってから、今の商工会議所のあるところを古いから壊そうとしたのです。僕は反対しましたが、古い洋館なども保存したり、移築したりしているけれども、非常に散発的で、グラバー邸のかいわいのように大きく集積されているわけでもない。
 観光客の誘致1つとってみても、なければつくってあげる。伊勢へ行ったことはありますか。伊勢のまちは今から20年ぐらい前に、全部江戸時代に模してつくったらしいです。赤福のお餅を売っているところも20年ぐらい前に全部まちをつくって、人がたくさん来るのです。国際戦略の中で観光客を誘致するためのまちづくりなのか、いろいろなことを取り決めて、横浜市全体で取りかかっていかなかったらだめだと思いますけれども、そういうことは盛り込まれていないですね。
 桜木町から赤レンガ倉庫までのことについても、僕は何回も言っているのです。パリではモンマルトルの丘のほうに行くのに、汽車ポッポのように連なった電気自動車が走っています。ああいうものをなぜ走らせないのか、いろいろ提案しているけれども、だれも言うことを聞かない。要するに観光客を誘致するとかしないとか、ここで言っているけれども、それに対する努力をしているわけでもない。ばらばらにただ提案しているだけ。
 野田副市長、在籍しているうちによほど考えてください。そうしないと、ただ文字の遊びに過ぎなくなってしまう。だんだん店がつぶれて、伊勢佐木町も歌に歌われたけれども全然人がいない。金曜日とか土曜日、関内、その辺を歩いてごらんなさい。みんなメニュー持って客引きやらなければ客が入らなくなってしまっている。意見として言っておきます。

○(佐藤[祐]委員長)
 他に発言もないようですので、本件については、この程度にとどめます。