横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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平成23年 大都市行財政制度特別委員会

△新たな大都市制度の検討について

○(山田[一]委員長)
それでは、議題に入ります。
初めに、新たな大都市制度の検討についてを議題に供します。
当局の説明を求めます。

◎(國原大都市制度推進室長)
おはようございます。
資料をごらんください。
9月26日の当委員会での御報告後の新たな大都市制度の検討について御説明したいと思います。
まず、表面1の横浜市大都市自治研究会の検討状況についてでございますけれども、(1)の市政報告/議事録状況といたしましては、8月12日に第1回の研究会、8月26日に第2回の研究会、11月15日に第3回研究会が開催されました。
第3回研究会の主な内容といたしましては、横浜市に新たな大都市制度を導入した場合の県への影響につきまして、神奈川県が横浜市内で得ている税収と市内で支出している経費の収支を事務局で試算しており、今回その作業状況の報告を行い、御意見をいただきました。
横浜市にふさわしい大都市制度の姿及び大都市内部の区のあり方につきましては、指定都市制度や都制度、特別市制度、大阪都構想などを参考に御意見を伺っております。
(2)の第3回研究会での主な意見といたしましては、横浜市に新たな大都市制度を導入した場合の神奈川県への影響につきましては、試算においては横浜市以外に居住している神奈川県民の方が現在受けている行政サービスに大きな変更がない、あるいは制度変更によってマイナスの影響を受けないという観点からの整理が必要。横浜市が神奈川県から独立して県と同じ機能を担うことによって、警察のように本庁組織が二重になってしまうものもあるが、県税徴収のようにスケールメリットが出てくるものもあることを示す必要がある、などの御意見をいただきました。
次に、横浜市にふさわしい大都市制度の姿及び大都市内部の区のあり方につきましては、大都市内部の区を特別区にするのは逆にスケールメリットがなくなってしまい、行政改革の観点からも問題、このため現在のような一層制の強みをきちんと出して、その地域の民意が反映されるような仕組みを考えたほうがよい。諸外国でも区長は公選しないケースもあるので、制度的な選択肢として一層制でも構わないと思う。区レベルでも住民が行政をチェックする体制は必要になってくる、などの御意見をいただきました。
(3)の今後の予定としましては、12月に第4回研究会、来年平成24年1月から2月の間に第5回研究会を開催し、平成24年2月には第1次提言をまとめる予定となっております。
なお、参考資料1として、第3回研究会の会議資料を添付いたしましたので、後ほどごらんいただきたいと思います。
裏面をごらんください。
次に、2の指定都市7市による大都市制度共同研究会について御説明いたします。
(1)の開催日及び出席者でございますけれども、平成23年10月31日に第1回研究会を開催し、各市の委員に加え、初回ということもありまして林市長のほか阿部川崎市長、清水さいたま市長、加山相模原市長、谷田神戸市長が出席いたしました。
(2)の共同研究の主な観点につきましては、出席した市長により意見交換が行われ、特別自治市創設のメリット、各市の実情を踏まえた都市内分権のあり方、大都市制度における広域連携のあり方、今後の広域自治体と基礎自治体のあり方の4点について研究を行うことで了承されました。
(3)の当日の主な意見といたしましては、指定都市は広域的な役割も果しており、行政機能としてもフル装備の形態を持っている。実際何かあれば主体的に動ける。しかし権限、財源が不足しており、特別市のような制度が必要。東日本大震災では仙台市の行政は機能していたが、行政機能が失われた小規模自治体に関して、県の補完機能が働かなかったと聞いている。県は大都市部分を除いた市町村に対する補完機能を徹底的に果たすべき。国も地方も財政難であり、単に国に対してお金をくださいという要請をするのではなく、地方も政策の原資を生むための経済活性化を図らなければならない。大都市制度はそのためのものだ。特別自治市のメリットについて、住民にとってのメリットだけてはなく、日本全体にとってのメリットがあることをしっかり提言していくべき。本研究会では、できるだけ権限を市民に近いところに一元化するという基礎自治体優先の原則から、まず特別自治市という基礎自治体のあり方そのものについて議論を行う必要がある。その上で最終的には補完機能を持つ道府県のあり方も議論していくという流れが望ましい、などの意見がありました。
(4)の今後の予定ですが、部長級職員による研究会を随時開催しまして、来年3月に中間報告を行う予定です。
なお、参考資料2といたしまして、第1回指定都市7市による大都市制度共同研究会資料を添付いたしましたので、後ほどごらんください。
最後に、3の指定都市市長会指定都市を応援する国会議員の会について御説明いたします。
指定都市市長会が提案する特別自治市の実現に向け、党派を超えた連携と協力を要請するため、指定都市市長会により、指定都市を応援する国会議員の会が11月1日に開催されました。当日は衆議院・参議院議員、代理を含め115名の出席をいただき、指定都市市長会から特別自治市制度の概要説明を行いました。
なお、参考資料3としまして、指定都市市長会、新たな大都市制度創設に関する指定都市の提案を添付いたしましたので、後ほどごらんください。

○(山田[一]委員長)
 説明が終わりましたので質疑に入ります。

◆(花上委員)
 大阪市長選挙、大阪府知事選挙が終わって、ここにきて大都市制度についての議論が大変高まってきた。これは私は歓迎すべきことだと思います。なぜならば、今まで大都市制度についていろいろ指定都市が動いて、国を動かそうと努力してきましたけれども、なかなか国がその気にならない、腰を上げないという状況が長い間続いてまいりました。その間に大都市のさまざまな都市問題が拡大して、それを解決するために非常に苦労しているという現実があって、指定都市市長会あるいは議長会などでそういった問題がこれまで議論されてまいりましたが、全国的なニュースとして、そういう動きが報道されてこなかったということで、この制度を大きく動かしていくという動きがなかった中で、先日の大阪の選挙というのは、改めて大都市制度について議論が行われて、しかも非常に熱を帯びてきたということで、私はある意味歓迎すべきことだと思うわけです。
 そういう前提で改めて大都市制度を考えていくと、大阪都構想というものがいかなるものかについて、これまで橋下さんが言ってこられたことなどがマスコミなどで報道されましたけれども、必ずしも十分な精査された内容、煮詰まった大都市制度論というものではなかったと思うのです。私もあらゆる橋下さんの発言した内容を見てまいりましたが、非常にずさんだという思いがありました。ですから、それに対する批判は持っていたのですが、しかし最終的に大阪府民と大阪市民が今回の選挙で民意としてそれを受け入れたことは、やはり重く受けとめなければいけないと思うわけです。ですから、今までと同じような流れの中で大都市制度を考えていくということはできないと思うのです。
 具体的な話として、橋下さんが最近、体制維新--大阪都という堺屋太一さんとの共著を出している中で、幾つかの問題を取り上げなければいけないのですが、林文子市長に対して、横浜市の林市長は何を勘違いしているのか、大阪都構想を真っ向から否定したと書いてある。これは、この時点で林市長が大阪都構想について批判したというのは当たり前の話で、中身が十分理解されるような煮詰まった内容が公表されていませんでしたから当然の批判だったと思うし、林市長だけではなくいろいろな方々がこのことを言っていたわけです。しかしながら、この本が批判された後出されて、かなり修正していると思うのです。この内容を読みましたら、大阪は大阪都構想でいくべきだということですが、横浜市については、僕は横浜市の特別市構想は支持しますと言っているわけで、橋下さんの考え方は、大分いろいろ勉強した上で変わってきたと思うのです。それで最終的には結論は大阪は大阪、横浜や神戸、名古屋とかほかの政令指定都市については、それぞれが考えればいいではありませんかという言い方に変わってきております。ですから、これからは横浜市の方向性とすれば、多様な大都市制度というものを考えていくべきだと思うわけです。
 具体的に大阪は大阪の選択をした、では、横浜はどうするのかと言えば、政令指定都市全部をひっくるめて同じ足並みをそろえてやっていこうというには無理があるだろう。具体的には大阪が特別自治市構想から外れたと認識すべきです。加えて、名古屋市も中身はよくわからないけれども中京都構想という考え方、新潟市は新潟県と一緒になって新潟州構想と言っています。具体的に3者ばらばらな対応を進めていくという方向性が出てまいりました。ですから、これから政令指定都市の市長会が意見を取りまとめて、それで国に対して制度改革を働きかけていくということは、もうないのではないかと思わざるを得ない状況ではないかと思います。これから政令指定都市市長会に橋下さんが入ってきます。そこでの議論は、この本に書いてある内容を彼が主張するに決まっているわけです。そうなると政令指定都市の市長会で一本にまとまった結論を国へ出して、制度改革を働きかけるということは無理だろう。
 そこで、どうすべきか。今ここに報告があった大都市制度の研究会の内容については、おおむね我々は理解できる内容ですが、横浜市とすれば横浜が特別市として残っていかなければいけない。強い決意でオール横浜でその考え方を共有していかなければいけないと思います。横浜が大都市制度を考える際に、これまで中田前市長も都市州と言っていました。おおむね特別自治市と変わらない考え方だと思います。今特別自治市とネーミングが変わりましたけれども、内容的には変わっていないと思います。これからいろいろ国、地方それぞれで大都市制度について本格的な検討が行われていきますけれども、まず、そういう流れの中で本市は林市長を先頭にどういうふうにこれから方向づけていくか、大阪の結果を踏まえた上での考え方があれば聞かせていただければと思います。

◎(浜野政策局長)
 花上委員御指摘のように、大阪の動きが対岸の火事ではないということで、我々もずっと見守ってきました。ここへきて改めてまた緊張感を持って今後やっていかなければいけないという思いを新たにしているところですが、これまでの流れの中で19ある政令市の中でいろいろな地域の事情、人口規模の違いがあって、特別自治市ということで基本的考え方は皆さん共有化できたのですが、さて、今後どういう形で着地させるかというところではいろいろなバリエーションが出てきているということかと思います。まさに制度設計の話になってくると、いろいろな多様性を認めた形の制度ということで国にも要望していくことが求められるかと思っています。そういう意味で政令市で地方分権という大きな流れの中でやっていくという歩調は共有化できるところだと思いますし、一致した行動をとる必要があるかと思いますが、具体的な話になればなるほど違いが出てきますから、横浜は横浜として、横浜のあるべき姿を委員皆様方と一緒に御議論して、共有化できるものをまとめて、国にも要求していくということになるかと思います。
 いずれにしましても、特別自治市というこれまで出してきている考え方は我々としては基本において、一切いろいろな状況が変わろうとも、その基本的なスタンスは変わってないということで、いろいろ研究していこうと思っていますし、いろいろな御意見をいただこうと思っています。

◆(花上委員)
 今のお話のように、結論としては横浜市が特別自治市を従来どおり主張して実現を図っていく。他の政令指定都市も同一歩調で取り組みを進めていくという方向性は正しいと思うのですが、そこで政令指定都市の中でもそれぞれ考え方にばらつきがあるという実態が明らかになってきた中で、足並みをそろえて取り組める課題については政令市の中で共同して取り組んでいく必要があるけれども、足並みのそろわない部分については多様性を認めざるを得ない中で、これから方向性についてまとめていくには苦しい取り組みが予想されるわけです。
 私は今まで大阪の議論を大阪の新聞などもとっていろいろ調べましたけれども、大阪都構想の実現は難しい。大阪市会があり、住民投票があり、国との関係があり、そんなに簡単なものではない。しかしながら、そうはいっても民意として示された以上、国もそれについて議論を始めると言っているのだから議論がこれから起こってくるでしょう。そういう中で大阪だけの話に集約されては困るわけで、大都市のほかの自治体がさまざまこれまで苦労して国に対して、権限、財源をよこせと制度改革を働きかけてきた。そういう声をしっかりと伝えていくためには相当なエネルギーが必要で、橋下さんの発信力と横浜市長の発信力がこれから問われてくると思うのです。
 あくまでも横浜市は政令指定都市のトップリーダーとして、それぞれの政令市に考え方、肌合いに違いがあり、温度差があるけれども、できるだけ束ねて政令指定都市のトップリーダーとしての役割を果していかなければいけない。だから多様性の中での横浜の主体性をどう貫き、仲間を多く戦列に加えて戦略的に実現を図っていく。目標としての特別自治市について、しっかりと実現を図る取り組みの覚悟が求められますけれども、そのあたりについてのお考え方をもう一度お話しいただきたいと思います。

◎(浜野政策局長)
 御指摘のように、多様性を認めるということは力が分散してしまう危険性もはらんでいるわけで、そういう中で一致してやっていかなければいけないことはあると思うわけです。地方分権という大きな流れの中での話でありますし、大都市がいろいろな課題や都市問題を解決しなければいけない。一方で国の経済の活性化等の牽引役になっていくという気構えを持つことにおいては、皆さん共通して共有化できる部分があると思います。柔軟にフットワークよく、基本的なスタンスは変えずに、これから作業を進めていきたいと思っております。

◆(花上委員)
 幸い、黒岩神奈川県知事は政令市が3つある神奈川県知事として、非常に良好に神奈川県はやっているので、大阪府とは違いますと明言しています。神奈川県と横浜市が角突き合わせて相争って、一人の司令官にしなければならないというような議論は成り立たないと思うわけです。橋下さんのこの本を見ると、横浜市のことを結構書いているのです。相当意識しているなと思うのですが、横浜市の人、もの、金の流れは東京圏と連なるものの、神奈川県からはある意味独立しているのです。だから横浜の都市の実態からすると、横浜市は東京圏と一体性が強いものとして、神奈川県から特別市として独立させるという方向性は合理性があると思いますと言っているわけです。最近非常によく勉強して、橋下さんもこの本を書いたと思うのです。横浜市が特別市として独立することについては合理性がある。そして僕は横浜市の特別市構想は支持しますと言っています。こういう文章を読むと敵対する相手ではないけれども、しかし政令指定都市の問題を相当言っていますから、横浜としての考え方をしっかりまとめて、横浜市は一体となって横浜市を守っていく。横浜市は分割させるとかそういうことはないという方向性で、強い決意で議会も行政も取り組んでいかなければならないと思いますが、最後にその辺だけ聞かせてください。

◎(浜野政策局長)
 この本に書いてありますとおり、最後に花上委員がおっしゃった横浜市を分割するというようなことは大阪とは違うところでありますし、地域の多様性という中に入る話だとは思うのですが、いずれにしても、横浜市を分割するということは決して得策ではないということを原点、出発点に置いてこれから進めていきたいと思っています。これまでもそういうつもりでやってきましたけれども、その具体的なメリットみたいなことも当然わかりやすく説明できるような形に持っていかなければいけないということもあります。横浜は横浜として、特別自治市を強く主張していこうと思っております。

◆(遊佐委員)
 大都市制度をあずかる局長にまずお伺いしたいのですが、今回の大阪の選挙は非常に日本の注目の的だったと思います。橋下さんのキャラクター、知名度が投票率にある意味つながってきたのかなと思っているわけです。所管の局長として、今回の橋下さんの当選を踏まえての所感を最初にお伺いします。

◎(浜野政策局長)
 選挙結果については私は余り言及できませんが、マスコミ等で報道されているように、大阪の地盤沈下とか経済の停滞といったことが非常に背景にあって、そのためにどうしたらいいのか、一部では大阪都構想という制度設計によって、大阪の経済が活性化するとは思えないという方もいますが、とにかく大阪の地盤沈下を食いとめ、飛躍させるという強い思いは非常に見習わなければいけないところかと思っています。我々も今大都市制度の議論をしているわけですが、やはり究極にあるのは、横浜の経済の活性化のためにどうあるべきかということと、より快適で充実した市民生活が送れるようにするための大都市制度とはどうあるべきかという2つの原点のところを忘れてはいけないと改めて思っております。

◆(遊佐委員)
 大都市制度共同研究会の委員でもあります室長に同じ質問をさせていただきます。

◎(國原大都市制度推進室長)
 やはり閉塞感みたいなものが背景にあったのかなと、いろいろな指標で出ていますけれども、大阪自体、昔は東京に比肩する力を持っていたものが、ここのところ地盤沈下してきている。それに対して何とか打開しなければいけないという思いが大阪の中にかなり多くあったのではないかと思います。その上で平松前市長の場合はどちらかというと我々と同じ考え方で、市のほうに権限を移してきて一層化したほうがいいのではないか、橋下知事は逆に都構想という形で、それぞれ考え方の差がありますけれども、市長も申しているとおり、結局二層制自体の非効率性とか機動性のなさに対する論点で双方争った中で、最終的には大阪では橋下知事が勝ったという認識でいます。我々がやっている大都市制度、横浜の場合は市のほうに欲しいということで一貫しておりますけれども、大阪は大阪の事情としてそういう判断があったかと認識しております。

◆(遊佐委員)
 それぞれ事情がある。しかし、行政や、私たち政治家のために生活があるわけではなくて、あくまで住民が決めて、住民の皆さんが投じるわけですから、先ほど局長がおっしゃった市民生活と経済の活性化は横浜でも大変大事なことだと思います。今日の資料を見ていましても、いろいろなところでメリットという言葉が使われていますが、大阪は例えば大都市制度を踏まえて、どのようなメリットとデメリットがあって、例えば都になったらこういういいことがあります、ただ、悪いこともあります、このままでいけばこういうメリットとデメリットがありますと十分に説明されないままに選挙になってしまったと私は思っているわけです。これまでの議事録も見させていただきましたけれども、横浜市が研究を重ねてきた中で現段階でどのような大都市制度のメリット、デメリットがあるとお考えなのかお伺いいたします。

◎(浜野政策局長)
 大阪都構想の大都市制度というのは詳細がわからない点が多いので言及できないのですが、我々の大都市制度のメリットというのは、これまでも申し上げていますように、いろいろな事務、能力にふさわしい権限、財源をいただくことで、より経済の活性化に寄与できる、あるいは市民生活のいろいろな課題に対してもきめ細かく対応しようということが入っております。それから特別自治市ということで挙げている都市内分権という点もございますが、特別区にすることでまた二重行政的な部分も出てくる、デメリットも多いという御指摘もあります。ですから、そういう面では行政区でいくということのメリットはあると思っております。

◆(遊佐委員)
 先日も視察で大阪と浜松に行かせていただきました。また、常任委員会でも実は熊本に行ってきまして、熊本の行政の方からのお話をいろいろ聞かせていただきました。熊本は来年4月に20番目の政令指定都市になるということで非常に盛り上がっていたと私は感じるわけですが、一方で住民の方たちは、メリットは余りないのではないかと言っているわけです。また、浜松については、既に政令市ですけれども、結局、過疎地を強引に合併しているから余りメリットがないのではないかと言っていました。これからこういういいところがあって、こういう悪いところがあるというものを、それぞれ市民の皆様にもわかりやすく説明をしていく。私たちもそうですが、ぜひ行政の立場からもそうあるべきと私は考えていますが、その点に関してはいかがでしょうか。

◎(浜野政策局長)
 我々が研究している大都市制度というのは、問題を解消するためにつくるものでありまして、これによってデメリットが生まれるということがもしあるとすれば、むしろそれを解決しなければいけないという方向だと思っております。

◆(遊佐委員)
 それは局長の意気込みということでとらえてよろしいですか。

◎(浜野政策局長)
 よろしいです。

◆(荻原委員)
 今遊佐委員からメリットのお話が出ましたが、大都市制度の検討についての文面にあるところで話を伺いたいのですが、横浜市にふさわしい大都市制度の姿、区のあり方のところで、スケールメリットが逆になくなってしまい、行政改革の観点からも問題という御意見があったということですけれども、スケールメリットというのはどのような意味で議論がされていたのか聞かせてください。

◎(國原大都市制度推進室長)
 スケールメリットというこの方の御発言の趣旨は、東京の特別区であれば、独自に公選の区長があり、議会があり一つの自治体として動いてくるということで、一方横浜市は、370万人の規模で全体を一本の流れの中で動かしているので、それなりに効率的に動かせる。反対に特別区の場合でいくと、当然人員の関係でも重複が生ずるので、そういった意味で意思決定の問題と行政改革的な視点から、今の横浜市のほうがメリットがあるという御発言の趣旨だったかと思います。

◆(荻原委員)
 その場合のスケールメリットというのは、今の御答弁だと特別区で区議会や区長ができてしまうと、いろいろなところでいろいろな意見が出てしまうから、なかなか物事が前に進めなくなるという趣旨でおっしゃっていられるということですか。

◎(國原大都市制度推進室長)
 今回の大阪のほうでも議論になったのですが、中枢性という言葉かと私は理解しています。要するに横浜市が道路にしても地下鉄にしても全体一本で運営することによる中枢性のメリットみたいなものと、住民自治的な観点の特別区の考え方という中で、後段にありますように、一層制の強みをきちんと出して、その地域の民意が反映されるような仕組みを考えたほうがいいというのは、この方は一本の中枢性を重視した上で、今ある住民参加みたいなことを拡充することによって補完すべきだとう御意見だったかと思います。

◆(荻原委員)
 中枢性を持たなければいけない事業等もあると思うのです。しかし多様性を生かさなければいけない場面も多々あると思います。それが政令市が今抱えている大きな問題だと思いますし、だからこそ我々が市域内分権を議論していると思うのです。両面で議論というのは進んでいかなければいけないと思います。
 先ほど局長は、多様性というのは力の分散ということをはらんでいるから危険性があるという発言がございました。それから横浜市を分割することは得策ではないともおっしゃって、それが原点だということですが、やはり多様性ということのメリットもしっかり考えていかないと市域内分権は進んでいかないと私は思います。検討についての御報告の中に区のあり方について3つ意見がありますけれども、そのうちの2つは一層制を推す御意見が書かれてありますが、最後に3つ目に区レベルでも住民が行政をチェックする体制が必要になってくると書いてありますけれども、この検討会の中で一層制を推される委員の方と、もうちょっときっちりと分権を進めていくほうがいいのではないかという御意見、これはどれぐらいの意見の割合といいますか、雰囲気だったかお聞かせください。

◎(國原大都市制度推進室長)
 まだそういった意味では研究会そのものが議論の途上なので、それがどちらかという形では出てきてないと思います。先ほどの1点目の意見の中でもありますように、今の一層制を堅持するが分権が必要だという御意見もかなりありますし、また制度論の委員の方からいうと、一層制で本当にチェックがきくのかというような御意見もありますので、今方向性として何のためにという状況ではないと思っております。

◆(荻原委員)
 最後に、これから住民自治のあり方について議論が始まると思うのです。いただいた資料によると2月ぐらいからになると思いますけれども、その中でぜひ多様性を排除するような形で議論が進められるようなことではやっていただきたくないというのが私の思いです。それから分割というとかなり激しいわけですが、横浜市の中で住民の皆さんの多様なニーズにおこたえするということに対して、横浜市が前向きに分権という形で住民の皆さんの合意、それから民意の反映の形をつくっていけるということは、イコール多様性をいかに吸収していけるかということですから、その部分はきちんと排除しないで重視して議論を組み立てていっていただきたいと思いますが、局長からお考えを伺いたいと思います。

◎(浜野政策局長)
 ここでいう一層制ということと荻原委員御指摘の多様性を認めるということは、両立できる話だと私は思っております。地域自治区とか地域協議会とかいろいろな地域レベルの意思決定の仕組みあるいは合意形成の仕組みは、まさに多様性があっていいと思っていますし、ただ、それを例えば横浜市域全体の中で多様性はあっていいわけですけれども、この区は例えば区長公選制でこの区は行政区ということはあり得ないわけで、そこはやはり一本化するという考え方であります。荻原委員御指摘の趣旨をよく把握して、今後の検討に生かしていきたいと思っております。

◆(伊藤委員)
 指定都市共同研究会の主な意見の中で、地方が政策の原資を生むために経済活性化を図らなければならない。この点はまさにこのとおりだと思うのですが、この意とするところが何か、政令市として徴税権をくださいと言っているのか、それとも今あるさまざま法律で決められた規制の部分を、今は特区申請しないとだめなわけですけれども、そういうところの規制緩和に関してもうちょっと法律の許可権なり何なり実際にくださいと言っているのか、具体的な背景がわかれば教えていただけますか。

◎(國原大都市制度推進室長)
 首長間の議論なので背景をつぶさにわかるわけではないのですが、我々は検討する中で常日ごろ考えているのは、横浜市の中では県税も一緒に徴収させてほしいと言ってきております。そうなってくると税構造の関係で県税のほうでは法人課税とかも事業税とかあるということの中で、要するに一体で市税、県税両方とも徴収して機動的に投資に回せるという意味では、経済活性化を図る一つの要素になってくる。例えば県のほうも企業誘致やっていますし、市も企業誘致やっていますけれども、一本でやるならば市のほうの制度で融資をして、そこから法人が進出すれば税金が上がってくるわけで、当然市税よりも県税のほうが法人比率高いですので、そういうものを機動的に次の投資に回すとか、市民サービスに回すとか、特別自治市になった場合にはそういう行動が一つの意思決定としてやっていける。それが成長のエンジンになっていく側面があると、この方の発言ではないですけれども、我々の解釈です。

◆(伊藤委員)
 今元町で電気自動車の試乗実験をやっているのです。先日視察させていただいたのですが、実際に乗って感じたのは、商店街の活性化とかいろいろ可能性を秘めているなと思ったのです。なぜそれができたのかというと、国土交通省に申請をして、特別にあのエリアだけ法律の規制がかからないようにしている。税の話も非常に重要ですけれども、規制を少し緩和してあげるだけで、お金を実はそんなに使わなくても人を呼び込んだり何かできる仕組みがあると、ああいう実験を見て非常に思うわけです。
 前回の特別委員会のときも確か加納委員からの御指摘だったと記憶していますけれども、この辺をリアリティーとか具体性を持って、徴税の部分は非常にわかりやすいですけれども、それ以外の法律のこの部分を横浜市で自由にやらせてくれたらこんなことができるとか、都市制度を考えていくときにその辺の議論が私は必要ではないかと非常に感じているのです。先ほど来バリエーションの多様性というお話もありました。私、前から常々言っているように、大阪の議論に引きずられる必要はなくて、横浜はこれまでの都市の成り立ちからして特別自治市がいいというのは一つの主張でいいのですが、その主張がなるほどと思ってもらうためには、横浜がもうちょっと今ある資料から抜け出た具体的な言葉で語っていかないと、逆に大阪の議論に引きずられてしまうのではないかと心配しているのです。
 ぜひお願いしたいのは、ドイツのハンブルクあるいはイギリスのマンチェスター、どこでもいいですが、都市州あるいは特別市として長年の実績のある自治体に、2日でも3日でもいいから、職員の方、課長なり、係長なり現場の行政のことがわかっている方を派遣してもらえないか。今回ハンブルクへ行って見てきたのです。実際に日本でクレアが出しているような資料とか行政からいただいた資料を頭に入れて行ったのですが、やはり資料にはわからないものがあるのです。我々行政マンではないので、日常のもっと細かい行政の広域、県とのやりとりや国とのやりとりとか細かいところまで我々は把握しているわけではないので、実際にハンブルクでは州の機能と市の機能を全部やっているようなところに行政マンの人が行って、横浜が今考えていることを先例があるところに行って意見交換、学んでいく姿勢か必要ではないかと感じたのです。予算が限られている中でこの場でやりますというのは難しいかもしれませんけれども、検討いただけないかと感じているのですが、見解を伺います。

◎(浜野政策局長)
 職員の出張については検討したいとは思いますが、例えば仁川市の例も向こうと交流がありますので聞いたことがあります。いい悪いは別にしまして、かなり国の経済対策みたいな観点が強い。そういう点で国の関与が相当入っているという印象を受けました。仁川市は広域市、我々が目指す特別自治市に近いような形になっているかと思います。国策としてやるいろいろな政策が随所に見られました。一方で、それでは市民の生活に身近なところの問題はどうなっているかは見えてないのですが、そういうことも含めて研究する必要はあるかと思っております。

◆(伊藤委員)
 仁川市は去年特別委員会で行かせていただきましたし、今回我々会派の仲間とも行ってきたのですが、仁川市はお話を聞いていると、日本の政令指定都市制度を見て、それをある意味まねしてやりましたということを言っていますから、この間我々が横浜市の中で議論してきて去年やった水平連携の話だとか、今やっている地域内分権の話は、多分参考になるものは私はないだろうと思います。日本は明治維新のときに地方分権は捨ててしまっているので、そういう意味でイギリスにしてもドイツにしても、脈々とやってきた地域の中では、地域の声をどうやって吸い上げるかという仕組みとか、そこの背景になる考え方とか仕組みだとか、多分今の日本の中で議論しているだけではなかなか出てこないようなものを私は持っていると思います。意見として、これからこの議論を本当に横浜市としてリアリティーを持って国に対して働きかけていくときには、職員をぜひ派遣していただいて、より研究の度合いを進めていただきたいと思っております。

◆(藤崎委員)
 改めて大阪の選挙の結果を受けて、いろいろなところで地方自治のあり方とか住民自治のあり方、議論が深まっていくだろうという指摘はたくさんされているのですが、先日視察に行かせていただいたときに、会う人、会う人、選挙がどうなるかとか、橋下さんの訴えていることをどう思うか、大阪の市民の方にできる限り聞くようにしていたのです。橋下さんが何を言っているか具体的には知らなくても、何となく改革したほうがよさそうだとか、行政の効率がよくなりそうだというすごく大雑把な認識で橋下さんを支持して、改革に対する期待感のほうがとにかく大きかった結果だとは思うのです。
 ただ、その結果として日本じゅうで自治のあり方というのは改めて注目されている中で、一方できのう大学のゼミがあって見学に行ってきたのですが、ちょうど大阪都構想についての研究発表が行われていて、大学3年生でしたけれども、彼らが出した結論は、大阪都構想はよくないと、効率的ではないと、むしろ特別自治市などの選択肢のほうがいいだろうという結論を、大阪の人間ではないのですが、出していました。そういう意味ではある程度調べて考えていくと、都構想も悪くないけれども、バラ色ではないだろうという結論に至るのかなと思いました。
 また、先日国会議員に対する要望を党派別に私も参加してきましたけれども、国会議員から、去年もその資料見たから大体中身はわかるという話が出るのですが、裏を返せば、毎年同じような資料が出てしまっていて、ことしも同じでしょうと見られてしまっていることでもあると思いました。やはり国を動かさなければいけないですし、そしてこの制度改革によって利益があるのは住民、市民の皆さんであるわけですから、このまま行くと大阪都構想のように、特別区として区が独立して動いたほうがいいのではないかという議論に行く可能性も大きいと思うのです。実際市民の方からも、区のあり方、特別区と行政区の違いの認識はまだまだ低いですし、もっと住民のニーズに基づいた行政をやってもらうには、特別区というか大阪みたいに動いたほうがよいのではないかという声も聞かれます。これから制度改革を行っていく上では、市民の方がいかにこの問題に対して認知してもらうか、横浜市の掲げている特別自治市構想のほうがいいと知ってもらうことと、あわせて行政がただ毎年国に陳情しているということではなくて、住民が本当にこれを望んでいて、住民のためにしっかりとなるという動きにしていかないと、なかなか国会、国からも甘く見られてしまうかもしれない、誤った認識で世論が形成されてしまうのかなというふうに今感じているのですが、今後市民と横浜市の取り組みについてのあり方をどうしていくか、局長のお考えをお聞かせください。

◎(浜野政策局長)
 委員御指摘の市民生活にどう影響するのかという点を明らかにしないと市民はわかりにくいし、大都市制度そのものについての理解が深まらないという御指摘はそのとおりで、我々もその点が率直に申し上げまして、まだ十分説明ができていないと思っております。大都市制度は、経済活性化と市民の生活の向上という2つをお話しているわけですが、後者についてはやはり区行政のあり方というのが非常に今後重要になってきて、現行の政令指定都市制度の中でももっともっと区行政について来たるいろいろな都市課題、例えば高齢化がどんどん進む、あるいは地域の関係が薄くなってしまうといった課題に対してどう手を打つのかというようなことも先手を打ってやっていかなければいけない。それは現行制度でもできるわけです。18区の区長会などでもいろいろ意見交換しておりまして、今は見えないけれども、将来にわたって確実に課題になってくることも議論を始めて、そういうことの話を市民の方にも御説明し、今の枠組み、制度をもって変えていかなければいけないということを御説明していこうかと思っております。

◆(大岩委員)
 今回の選挙を受けまして、具体的に制度改革が進んでいく機運が高まっていくのではないかと思っているのですが、2点お伺いします。
 具体的に進めていく上で、現在ある事務事業を横浜市に移管していくとか、いろいろなレベルに移管していく作業が必要になってくると思うのですが、実際に二重行政の解消を目指してどういった事業を移管していくのか、権限を変えていくのか議論をする必要があると思うのですが、それをしないと具体的なメリットが見えてこないと思うのです。事務事業の移管作業を含めた棚卸しをまずしなければいけないと考えているのですが、事務事業の棚卸しについて横浜市の中ではどの程度進んでいるのか。もし進んでないのであれば、いつぐらいまでに具体的に行っていくつもりなのかということが質問の1点目です。
 2点目は、もし本当にやるということであれば、いつまでに何をやるという議論ばかりしていても制度の変更は進まないと思いますので、いつまでに何をやるのかという具体的なロードマップみたいなものを書いて、それを我々議会の中でもそうですし、市民の皆様にも示していく必要があると思うのですが、ロードマップのような、いつまでに何をやるかというものに関して現在作成されているのかどうか。もし作成されていないということであれば、いつまでにそれを作成されるつもりであるのか、その2点について教えてください。

◎(浜野政策局長)
 2点目のほうから先にお話ししますと、今国の地方制度調査会の中で大都市制度の議論がされるということで、林市長も臨時委員ということで意見を今後述べていくわけですけれども、まずそこで大都市制度の必要性を国の中でお認めいただくことが一番の当面の目標に置いています。そういう中で今後具体的な、それと並行していろいろな事務事業、都道府県でどういう権限が大都市だという話も出てくると思うのです。
 1点目ですが、警察行政であるとか、教員の問題であるとか、あるいは幼稚園・保育園とかいわゆる二重行政と言われるところの解消の話は当然出てくると思います。警察行政は非常に大きな問題ですので、なかなかそう簡単には整理できないところがあるかと思います。いずれにしても、今まではこれは県でやるのではなくて、すべて横浜でできるということでいろいろな権限についてはやりますと言ってきていますし、問題は財源を伴ってもらわないと困ると主張しているわけで、そういうところが重要な点かと思っております。

◆(大岩委員)
 具体的に事務事業、1000とか2000とかあると思うのですが、棚卸しをしなければいけない事業が幾つあって、それで二重行政のところで移管していかなければいけない事業は何なのかという抽出が現段階でできているのかどうか。多分まだこれからだと思うのですが、どれぐらいのスピード感を持ってやった上で議論もしていくつもりなのか、最後に教えていただければと思います。

◎(國原大都市制度推進室長)
 まだ枠組みそのものが是とされていない状況にあります。したがいまして、今はある意味では総論の話の中で、国において大都市制度が必要だという認識を持ってもらう段階にあると認識しています。一つ一つの事業でいいますと、これまでは我々が県との間で言っているのは、例えば幼稚園は県の権限ですが、保育園は市です。幼稚園のほうに空き定員があっても保育園がオーバーフローしてしまったときに横の施策が打ちにくいということで、個々具体的なものがありますけれども、例えば市内にある施設の例でいいますと、県立がんセンター、横浜市が独立したときに横浜市が本当にもらうべきか、あるいは県民のための施設として残すべきか、いろいろな議論が多分一個一個のものが生じてくると思うのです。ですから現段階においては個別の棚卸し的なものは、まだ行っていない状況にあります。

◆(鈴木委員)
 いろいろと皆さん意見があるなと思いながら伺っていましたけれども、図らずも今局長がおっしゃいましたけれども、県から独立するに当たって問題は財源だというお話がありました。やはりお金の整理は大事だと思います。先ほど税のところはわかりやすいという話がありましたが、実際はどうなっているのか余りよくわからない。特にきょうの大都市自治研究会などの資料を見ていると、レジュメでも横浜市以外に居住している神奈川県民の方が現在受けている行政サービスに大きな変更がない、あるいはマイナスの影響を受けないという観点からの整理もあるし、あるいは特別区にしたときのスケールメリット、行政改革の観点からも問題というのもあるし、研究会に出されている資料の参考の部分、4ページの大都市制度の基本的な枠組みについて、県税を大都市に移すとどうなるか、税財源などのシミュレーションも必要とありますけれども、これは既にこういうものが数字で出されていて議論されているのか、それともこれから第4回、第5回、そして最終提言に向けてこういう数字、シミュレーションも出していった上で、実際はどうなのかという話になっていくのかどうなのか確認します。

◎(浜野政策局長)
 そこの一定程度前提を置いた試算といいますか、作業として今やっております。それをよく精査した上で出して、御議論いただきたいと思っています。

◆(鈴木委員)
 作業中の特に横浜市以外の神奈川県民が受けているサービスには、横浜市が独立したとしても余り影響がないという前提があるように感じるのですが、そういう結果がおおよそ予測できるということですか。こういうことであれば、あくまで財政的には広域連携をしていく必要はほとんどないという話になっていくと思うのです。我々が去年やっていたのは、県税として横浜市域から上がってくる税収のほうが高くて、そこから県の財政調整で他の市町村へ歳出項目で挙がっているだろうという想定だったわけですけれども、ここで言われているのはどうやらそうでもなさそうだという話があるのかどうなのか伺います。

◎(浜野政策局長)
 資料の1ページ、第3回研究会での主な意見にあります横浜市以外に居住している神奈川県民の方が現在受けている行政サービスに大きな変更がない、あるいは制度変更によってマイナスの影響を受けないという観点からの整理が必要ということで、試算は今現状どうなっているか、横浜市内のどういう施設に県税が使われているのか、あるいは横浜市から上がっている県税収入がどこにどう分配されているのかという現状を、まずはある程度予測の部分もありますが、明らかにしていくということです。
 その結果を受けて、その先はいろいろなバリエーションがあると思いますけれども、ここで言っているのは、御指摘の観点から何が言えるのかということを整理する必要があるのではないかという御指摘と受けとめておりまして、今試算の中ではやっている最中ですが、当初相当の税収が横浜市以外に使われているのではないかというところについては、必ずしもそうではないという印象を持ちつつ今作業をやっているところでございます。

◆(鈴木委員)
 これは多分学識者の方、特に行政学と財政をやっている方々は恐らく御存じで、どうやらそれが大勢の見方のようですから、こういう仮説を出されていると思うので、それを立証できるデータを横浜市として出せるのだったら、積極的に出していただきたいとすごく思います。これは非常に大きな話と思っています。
 それから、もう一つは行政区、特別区の話ですけれども、これも行政コストの比較をしたようなものが何か出てくるのですか。ちょうど大阪の選挙がありましたから、日本経済新聞が大都市制度のことを連載していましたけれども、特に横浜市と東京23区を比較したときの議員数が圧倒的に違うということも出されていました。それは議会だけですけれども、行政のサービスの中で23区と比較して、例えば横浜市の行政区の1つと23区の1つで、予算というわけにもいかないから人口規模を比較してみたときのそこで行われる行政サービスのコストの比較表、もちろん何らかの前提となる数字を設けないといけないと思いますけれども、そういうものが出てくると期待していいのかどうか伺っておきます。

◎(浜野政策局長)
 行政区と特別区の比較においては、経費といいますか、お金の面で比較はちょっと難しいかと思っておりまして、単純に人数であるとか機関の数であるとか、そういうことの比較でお示ししたいと思います。

◆(鈴木委員)
 なかなかお金にするのは難しいにしても、それでも格段の差があるように感じますので、そういう対比表はぜひ出していただいて、進めていただきたいと思います。
 そもそもなぜ大都市制度かをその都度、そういうところはすごく大事だなと思います。私は大都市制度に移行することによって税収増が図られることが最大の目標だと思います。ですから、逆にいうと何らかの変更することによって行政コストが上がるというのだったら、やはりそれは違うような感じがします。もし上がるのだったら、それにも増しての税収増が必ずなければ制度として成り立たないと思います。
 もう一ついうと、東京都以外の大都市を抱える3県、神奈川県、愛知県、大阪府で見ると、特徴的に神奈川県と大阪府は税収構造が違うわけです。大阪は法人2税で個人地方税が少ない。神奈川県は逆ですから、これをやっていく中でやはり横浜の特別自治市によって独立しようがしまいが、この県域で地方法人税が上がっていくというところが見えてくるのが一番効果的な話だと思います。それによって最終的には当然、地方税が上がるということは国税も上がっていくわけですから、まさにおっしゃるところの国としての活力、牽引力につながっていくので、お金から入っていくのは僕は大事だと思っていますので、そういうストーリーをもう少しつくっていただけたらありがたいと思います。それは皆さんが用意するのかもしれませんけれども、大都市自治研究会の中での最終的な提言の中に、ぜひそういう考え方を参考にしていただきたいということをできればお伝えいただきたい。

◎(浜野政策局長)
 委員御指摘の税収をいかに上げるか、税構造をいかに豊かにするかということに尽きるというお話で、まさにそのとおりだと思っております。今後の御議論になると思うのですが、税収がきたとしても、それが市民サービスというか、横浜市内に住む県民サービスのために、県立がんセンターの話が先ほど出ましたけれども、いろいろな施設があってサービスをしているという実態があります。単純に税収そのものが自由に使えるお金として上がってこないという実態もありますので、その辺も含めてよくデータとしてはお示して、御議論いただければと思っております。

◆(横山[正]委員)
 きょうのタイミングの委員会開催ですから、まずは大阪のことについて少し触れさせていただきたいと思いますが、府民、市民の判断が出たわけで、事のよしあしはともかくとしても、まずは大阪市民、大阪府民は大阪都構想のスタートラインに立ったと考えるべきだと思います。ただ、一方で横浜市を含めた7つの指定都市は特別自治市を目指すということにしているわけでありまして、当然のことながら指定都市の中での考え方というところにはっきりとした違いが出てきているのは事実だと思います。
 横浜市会の中の議論を少しひもといてみたいと思うのですが、平成20年9月19日に地方分権改革の推進に関する意見書を横浜市会は採択して、国に提出しております。これは第2期地方分権改革の中で3項目について国に対して意見を言っているわけですが、1つ目として、地方政府の確立に向け条例制定権の拡大、もう1点が国から府県への分権にとどまらず、府県と同等あるいはそれらをしのぐ規模、能力を有する政令指定都市への分権を積極的に推進すること、3点目として、現行の政令指定都市制度を抜本的に見直し、大都市がさらにその能力を存分に発揮できるよう新たな大都市制度創設の早期実現を図ること。この3項目の意見を上げているわけですが、その結果として、今回出てきている特別自治市という具体的な方向性を横浜市がとっているわけであります。
 それに7つの指定都市が呼応していただいたわけですけれども、先ほど局長からの説明にあったように、11月1日に特別自治市を目指す指定都市を応援するための指定都市を応援する国会議員の会というものが開催され、衆・参議院、代理を合わせて115人の国会議員の方が参加をしたということですが、これはどの会派、政党が参加していただいたのか確認したいと思います。

◎(浜野政策局長)
 自民党、民主党、公明党、みんなの党、4つでございます。

◆(横山[正]委員)
 主要な国の政党がこぞって参加していただいたということですが、これは7つの指定都市から選出されている議員の方という理解でよろしいですか。

◎(浜野政策局長)
 11月1日の国会議員の会は19政令市全体ということでございます。

◆(横山[正]委員)
 非常にありがたい話だと思います。それほど大阪市長選挙が契機ということになったかと思うのですが、大都市制度について非常にクローズアップされていると思うのです。私はこの機をとらえて積極的な市民を巻き込んだ大都市制度の議論というものが、今までもちろん議会では活発にやっていますけれども、市民を巻き込んだ議論というのはなかなかできていなかったということではないかと私は思っているのです。大都市制度に関して非常に機運が高まっている中ですので、積極的に市民に向けて特別自治市のメリットとか特別自治市は何かということをPRしていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

◎(浜野政策局長)
 委員御指摘のとおりでございまして、これまでも区の中でいろいろなイベント等でパネル展示などをしてお知らせをしたりということはやってきていますが、やはりいま一つ浸透度が弱いという認識をしております。市民の方からすれば、みずからの生活がどう変化するのかとか、そういうところに話が及ばないと非常にわかりにくいということかと思っておりまして、今後できるだけそういう観点でうまく説明でるような形に持っていきたいと思っております。

◆(横山[正]委員)
 このタイミングを逃すのは非常にもったいない話だと思いますので、ぜひこのタイミングに積極的なPRをお願いします。
 大阪の場合はまだ新しい市長が就任していないわけで、選挙の段階での議論ということになるわけですけれども、大阪がどういう形になるにせよ、大阪と横浜とはそもそもの考え方自体が大きく違うわけですから、私は横浜の大都市制度のあり方というものを考えていく必要があるのではないかと思います。その上で志を同じくする指定都市が大同について、一致結束して国に働きかけをしていくことが大切だと思います。今指定都市7市による大都市制度研究会を横浜市が発議して開催されたわけですけれども、今7つの指定都市ということになっておりますけれども、今後の広がりについてはどのように考えておりますか。

◎(浜野政策局長)
 7市の集まりでございますが、実はここには書いてありませんが、オブザーバーということで札幌市と仙台市は中の様子を傍聴されておられました。札幌市、仙台市は首都圏の我々自治体とかなり違うという中で、こういう動きについては非常に関心を持っていろいろなことを検討されていかれています。この会に入るかどうかは別としまして、情報の共有化は図っていきたいと思っております。

◆(横山[正]委員)
 実は我が党の札幌市議会議員が、横浜市が提唱している大都市制度研究会について札幌市議会で一般質問を行いました。その過程の中で一致結束して同じ思いを持っている指定都市は行動するべきではないかという趣旨の質問だったわけですが、当初メンバーとして札幌市、仙台市は入らないにせよ、オブザーバーとしてでも参加していただいているということは、やはり幅の広がりというものが出てきている証拠でありますし、当面は7プラスアルファということですけれども、これを積極的に進めていくことが横浜での大都市制度の確立につながっていくのではないかと思います。大阪の市長選挙というのは非常に発信力の高い選挙でありましたから、大都市制度について考えるいい機会になっていると私は思っておりますので、この機をとらえて積極的なPRに努めていただきたいと思います。

◆(斎藤[真]委員)
 横浜市の大都市自治研究会の今後の予定の中身について、第1回から第3回までの主な内容を見ていますと、順次深めていくようなテーマ設定でやっているかと思いますけれども、第4回、第5回と進めていく中で、どういうテーマ設定でやっていくのか。大都市内部の区のあり方については第3回の主なテーマとしてやったわけですけれども、先ほどあった意見も含めて大都市内部の区のあり方について深めていくのか、あるいは現在想定している内容では次に進んでいく。例えば大都市内部の区のあり方については、先ほど方向性は出てないということでしたけれども、結果的にはこういう方向性になるのではないかと予想するわけですけれども、その辺も踏まえて今後第4回、第5回はどういう方向性に持っていくのか、あるいはテーマを既に設定しているのかお聞きします。

◎(浜野政策局長)
 御説明申し上げなくて失礼しました。お手元の参考資料1の第3回横浜市大都市自治研究会の3ページをごらんください。研究会の第4回のところにありますように、一つは大都市制度を導入した場合の県への影響がテーマでございます。もう一つは大都市内部の区のあり方についての御議論をいただく予定でございます。第5回については、それらを詳細に検討するためのトータルな議論をしていただく予定でございます。

◆(斎藤[真]委員)
 こうしたテーマ設定の中で、あと第4回、第5回だけですけれども、きょう特別委員会で出たさまざまな意見を、この研究会の中に少しでも反映するという予定はないのでしょうか。

◎(浜野政策局長)
 きょうの御議論、御意見は委員会の委員の皆様方にもお伝えしていきたいと思っております。絶えずこの議会の特別委員会の委員の方々の御意見と研究会の意見と相互にいろいろやりとりしていくということは大変重要かと思っております。

◆(斎藤[真]委員)
 きょうの議論を踏まえて、今後の第4回、第5回の中に反映していくという取り組みでお願いいたします。

◆(加納委員)
 先ほど横山委員がお話ししたように、私も大都市制度特別委員会の委員になったのが2回目ですが、長い間いろいろと議論をしてきました。我々ここでの議論と有識者の皆さん方にお力をいただいてさまざまな議論をしてきましたけれども、泉区の例はある種大都市制度の流れの中で市民目線で物事が進んでいるという印象はありますが、この議論が果たして市民にどこまで理解できるのか。そしてまた市民の意見を踏まえて我々がどこまで議論ができているのか。私は何回かこういう場に出させていただいて議論していますけれども、自分の中で反省するところが実は多くございまして、そういう中で先ほど来の大阪都構想を含めた大阪の問題というのは非常に印象的ですし、大阪府民、市民の皆さん方もある意味では突然降ってわいたような中で、選挙という形を通して知らされていく。しかし、なかなか理解できない。でも選挙を通して1票を投じなければならないという劇的な環境の中で大都市制度とか都構想を含めて知っていく。
 この後どうなるのかというと、多分1票を投じた方たちは、こんなことだったのとか、いろいろなものが出てくるかと思います。あの選挙を遠くから見ていて、横浜市としてもこういう議論を本当に市民目線で、市民の皆さん方にどう周知をしていくのか、物事を進めていく流れの中で並行して市民の皆さん方からの御意見をどう吸い上げていくのかとか、市民の皆さん方にお伝えして、その意見を集約しながらこういった委員会及び有識者の皆さん方にもお伝えして、それをベースにしながらの議論を進めていただくことは大変大きいと思うのです。そういったことから先ほど来、横山委員からお話があったように、大阪の問題はいいチャンスですから、先ほど市民に対しての周知といったときに局長から区でパネルとかいう程度のお話でしたけれども、今後市民に向けてどうアピールしていくか、意見をいただくか、それがどう反映させていくか、資料をどう提出していくか、この辺がもうそろそろ大きい課題になってくるのか思うのです。もう一度私からも市民に向けてどう発信していくのか、発信したものをこういう場に吸い上げて、どう生かしていくのかについて、局として改めて御見解をお伺いしたい。実例があるならば教えていただきながら、市民と本市がやっている大都市制度についての御見解をいただければと思います。

◎(浜野政策局長)
 非常にわかりやすい説明ができないというのが我々の問題と認識しております。並行してこんな話をしているという御紹介ですが、18区の区長たちと大都市制度について、政策局はこう考える。現場の区ではどうかというようなやりとりをしていまして、やはり市民の方はわからないという話が出てくるわけです。区長にわかってもらわないといけないということでやっているのですが、そういう中でも市民の視点はこうだとか、いろいろ御意見もいただいています。もっと踏み込めば今現実に課題が余り見えていないけれども、将来、10年、20年先はこういう課題が出てきますよということを御提示しながら、それに向けて今から何を準備するかというアプローチもあるかと思っておりまして、いろいろ方法を少し試みたいと思います。いずれにしましても、委員御指摘の点は大変重要と改めて認識を強くしています。

○(山田[一]委員長)
 他に御発言もないようですので、本件については、この程度にとどめます。

△調査・研究テーマ「新たな大都市制度における都市内分権」について

○(山田[一]委員長)
 次に、調査・研究テーマ、新たな大都市制度における都市内分権についてを議題に供します。
 本日は、11月1日、2日で実施しました行政視察を受けまして、各委員間でテーマに基づいた意見交換を行いたいと思います。
 行政視察について簡単に振り返りますと、他都市の事例等について、全委員が同じ情報を共有しながら議論を深めていくために統一行程により実施いたしました。その上で11月1日には大阪市において、大阪市における大都市制度の考え方について及び新たな行政区のあり方についてを、また11月2日には浜松市において、浜松市における地域自治区、区協議会及び地域協議会の取り組みについて視察を実施いたしました。この視察を通じまして区への分権・機能強化の一層の推進、区における住民参加機会の拡充、地域レベルの拠点組織を住民発意で設置できる仕組み等の視点で、各委員から所感や御意見等がございましたらお願いいたします。

◆(斎藤[真]委員)
 先ほどの議論もあったところですが、大阪の質疑を見ておりますと、大阪のそのときの考え方で区はあくまで行政区であるべきとか、トータルの大阪市政として国に近いニーズをどう実現していくか、区政会議を設けて住民の意見を聞いていくことに終始するのではないかというような意見がございました。また特別自治市というのは地方分権の理想形である。完全自治体というのは、ある意味住民にとっては理想的な自治体であるというようなところを見ていますと、都市内の分権について、特別区という選挙制によるのではなくて、特別自治市、大都市の制度の中で身近な意見を吸い上げて反映していくというところになってくるのか。そうしたときに今までの議論の中でも区選出の市会議員がどうかかわるのか、市会議員としては市の市政も見ていく、また府にあっては区で選出されているという選挙制度から見ても、そこにかかわっていくことも必要ということで、そうした仕組みをこれからどう実効的なものにしていくかが問われるのではないか。またそうしたものを進めていく中で、その評価をどう得ていくかという仕組みも必要かという気がします。
 それといろいろ調べていく中で、行政区でさまざまなことをやっていく中においては、意思決定をして公助としてのサービスを求めるだけではなくて、主体的にやるべきことも当然ついてくる。協働ということもどこでも必要なものとして言われていることから、協働のあり方についても同時にここで見ていかなくてはいけないのではないか。所感として言わせていただきました。

◆(遊佐委員)
 委員の皆さんに教えていただきたいのですが、実は私の知り合いを通じて、青森の八戸へ災害のときに横浜市から救援に行かれなかった、八戸と連携がとれなかったという話がありました。大都市制度というきょうのテーマにふさわしいのかわかりませんが、今県ごとに恐らく連携がとられているかと思います。青森県が災害の要請ができなかったから八戸のトラックの団体も動けなかったというお話があったのですが、こういう災害時の連携というのはこれからどういう手段、大都市とかかわってくるかこないか私はわからないのですが、もし何か御意見があれば教えていただきたいと思います。

○(山田[一]委員長)
 今、先日の調査・研究テーマのことで御意見をいただいておりますので、それは後ほどまたお話をさせていただきたいと思います。

◆(荻原委員)
 大阪市と浜松市を見させていただきまして、本当にいろいろな事情があるなと実感をさせていただきました。大阪市で印象的だったのは、もし都構想が有権者、府民、市民の意思であればそのように対応していくという恐らく職員の非常に心苦しい御意見だったと思います。浜松の場合は協議会を見させていただいたわけですが、新しい浜松市としての一体感を醸成するためにどんどん一つにまとめていく作業がむしろ今は大事だという時期でいらっしゃった。各都市いろいろな事情があるという実感でした。
 しかし、政令市という制度の中が抱える課題というのは、今横浜市が持っていて、恐らく将来浜松市が持つであろうという共通項の課題というのはあると思うのです。横浜市が果たすべきことは、長年政令市として運営してきて、その中でわかっている問題点を現時点明らかにして、全国の皆さんにそれを提言して、未然にこれからの政令市の皆さんが経験されるであろう苦慮、苦難をしっかり取り除いていくという使命が横浜市にはあると思うのです。その中の一つとして都市内分権というのがある。
 分権というのは今、国のほうも地方分権、地域主権とどんどん権限を渡していると国会議員の皆さんもおっしゃいますが、それは主に権限と財源のお話です。私はもう一つ国にも申し上げたいですし、横浜市としてどんどん提言をしていかなければいけないと思っているのは、まさに市域内分権、つまり主権の話だと思うのです。国民主権という言葉があって、さらに地方には住民主権という言葉がある。その言葉がいろいろなところで散見されますけれども、その意味は、例えばここに学校をつくるとか、ここの道路を直すという身近な一つ一つの決定権をだれが持っているのかということだと思うのです。それを区の単位で考えると今はその区内における横浜市税の使い方に対する権限者はだれか、市議会であり市長であるということになるけれども、区の中で一つの地区センターとか道路の側溝を直すということに対しても市税が使われるわけです。そういう一つ一つのことを市議会と市長が決定しているのかというと、そんな実態はないと思います。各区の区長やあるいは区の土木所長が決めている。区長と土木所長は民主的にどういう正当性があって市のお金を使う権限があるのか、私はここに一番疑問を感じるのです。
 それが民主的正当性の確保ということで私も言わせていただいておりますけれども、今政令市が、特に横浜市が長年経験をして、先ほど伊藤委員から地域の商店街の活性化の話も出されておりましたけれども、例えば西区の商店街が抱える問題と港北や青葉区や都筑区の商店街が抱える問題とは全く質が違う。その解決策も違うかもしれない。あるいは学校も一緒だと思います。横浜駅の近くにある平沼小学校が帰宅困難者の受け入れとか防災拠点として果たすべき役割と、それとほかの小学校が防災拠点として果たすべき役割も違う。いろいろ多様な状況があるわけです。そのことを一番よくわかっているのはやはり地域の方々だと思うのです。その地域の方々が一堂に会して話し合って、そこである程度の権限が与えられて、柔軟に物事に対処していく、それが大都市として非常に大きなパワーにつながっていくと考えているのです。
 そういうところで今回の特別委員会でテーマ設定して、何らかの提言の形になるときに、財源と権限とあともう一つ住民主権をどうやって大都市の中で実現していくのかという点をぜひ盛り込んでいただけたらありがたいと思っているのです。これは、今は行政区長は選挙されてないから、民主的な正当性がそこにあるわけではない。土木所長も同じ。さらに議員は非常に微妙な立場で、市政にかかわって、さらに我々は予算編成権も行政執行権もないですから、区政の中の区づくり推進会議の中で一つの区の予算の編成に関しても報告しか上がってこない。でき上がったものが我々の前に示されて、それに意見を言うけれども、何かが変わるかといったら、何も変わらない。さらにはそれを監督する権限もない。これはちゃんとできているのか、1年間のうちクオーターに分けて、それをしっかり管理監督することもできない。つまり議員自身もきちんと行政をチェックしたいけれども、今の地方政治、地方自治法の中では議員がしっかりそのチェック機能を果たすこともなかなか難しい。その中でどうやって区民、市民の民衆、適正統制、民意を実現していくことができるのかというところを、ちょっと話が込み入っている感があるかもしれませんが、ぜひその点をこの委員会として考えていただければ大変にありがたいと思っております。

◆(鈴木委員)
 とても共感する部分とそうでない部分とありますけれども、一方で考えなければいけないのは、大きくて一つだから調整されているメリットというのはあると思うのです。例えばそこから上がってくる税収、横浜市の中の各区の税収の格差はなかなか出されませんけれども、相当のものがあると思いますし、例えば土地利用についても市街化調整区域のない区もあれば、かなりの部分を市街化調整区域になっているところもあるわけです。そうするとなかなか行政区1区で完結しないようなものが、おっしゃるようなそれぞれの区の多様性によって総体として一つにまとまっていることでメリットを享受しているところはあると思うのです。僕はそれが横浜市が言っているスケールメリットということだと思うのです。だからそこはそこでちゃんと評価した上で、それぞれの決定権に対して、もう少し小さな限定された人たちがどう関与するかというふうにしないと、どんどん分割したほうがいいということになっていってしまう。どんどん分割するということは、こっちではこういうものができるけれども、向こうではこういうのができている。だから一緒にやれば全体でできるではないかという話が今度できにくくなってしまうと思うのです。
 そう考えると意思決定の中に、今の仕組みで限定された区域での意思決定を市の運営に反映させられるかどうかがやはりポイントだと思うのです。大阪、浜松に伺わせていただいて、あるいは泉区も伺わせていただいて地域協議会を見ましたけれども、地域協議会は横浜市の自治法上の地域協議会ではないということが一つ。自治法上の地域協議会であっても、浜松で非常に実感したのは暫定的に活用している、合併政令市の移行措置で活用しているというのが非常に強い印象だったのです。ですから意思決定機関にはなっていかないと思うし、そういう機能はなかなかしづらいと思うのです。なぜかというと選挙がないから、そこにいる人の正当性が民主的に成り立たないからです。では、分けて何でもかんでも選挙するかというと、それは膨大な行政コストか上がっていくと思います。区長公選にして、区長だけ公選というわけにいかないから議会もつくれという話になりますから、ボランティア議員だといっても相当行政コストは上がります。そうであれば、僕は市会議員の選挙区が行政区に分かれているのだから、その行政区で選ばれている人たちの中にまさに代議制民主主義で、その地域のことをできる限り決定できる方向に持っていくのが一つだと思う。本当に大都市の域内分権のやり方としては、それが一番代議制民主主義を生かした関与の仕方だと思います。
 ですから、おっしゃるような区長の人事に関しても、区の議員で議決をすればいいし、区の予算はどこまでの範囲かというのはいろいろ議論あると思いますけれども、区の予算に関しても区の議員で議決をすればいいと思います。そのためにはどうするかというのは方法論になっていきますけれども、特別委員会なりつくって、そこでやっていけばいいのではないかと思います。

◆(荻原委員)
 おっしゃるとおり、議員が区の意思決定にかかわっていくという現行制度下でできることはし尽くすべきだと思うのです。さらにその後も青写真を描いていきたいというのが私の思いでございます。どんどん分割していくという部分に関しては、これもまさにおっしゃるとおりだと思います。何を横浜市にさせて、何を区にさせるかということの整理が必要だと思うのです。例えば身近な学校のこととか地区センターのことは区の意思決定に任せる。水道とか交通とか大きなことに関しては市の意思決定に任せるという整理ができていけばいいのではないかという考えです。

◆(横山[正]委員)
 公務員の本来一番重視されることは、公の意思の形成と公権力の行使なのです。当然のことながら、多様化する住民意見をどのように公平、透明性を持って意見集約をしていくのかということになると、やはり先ほど鈴木委員も触れたように、選挙を経た公務員がそれに当たるしか方法はないわけです。今の横浜の現状を考えると、区内で選挙されて選ばれているのは区選出の市会議員、県会議員も衆・参議院議員もそうですが、一番横浜市に関して選挙で選ばれている者は区選出の横浜市会議員しかいないわけです。そうなってくると当然我々の立場として何ができて、何をやらなければならないのかということを、もう少し当委員会で具体的に議論をしていく必要があるのではないかと思います。
 先ほど鈴木委員から御提案いただいた例えば市長が選任をした区長の承認を区選出の市会議員に任せるということも一つの方法かもしれません。そのほかどのように区民意見を集約して、特に今区づくり推進横浜市会議員会議で議論しているような内容であるとか、区配当予算であるとか、こういったものについてももう少ししっかりとしたルールをつくった上で、横浜市会議員がどのように関与していくのかということが大切ではないかと思います。

○(山田[一]委員長)
 それでは、他に御発言もないようですので、視察の所感等については、この程度にとどめます。
 その他で何かございますか。

◆(横山[正]委員)
 先ほど来よりさまざまな議論がなされている中で、大都市制度創設に関する事項として、横浜市は7つの指定都市とともに特別自治市を目指すという大きな方向性を持っているわけであります。この方向性のもとに市長が座長となり、またこれから地方制度調査会の臨時委員となって議論をしていくわけでありまして、大都市制度に関して議論の機運が高まっているこのタイミングであるからこそ、私は何らかの意思表示を議会として行う必要があるのではないかと思います。その上で御提案させていただきたいのですが、特別自治市を目指す本市として、大都市制度創設に関する決議を市会として行う必要があるのではないかと思います。きょうの議論を踏まえた上での案文作成ということでございますので、今の段階で案文の準備はできていないわけでありますが、各委員の皆様と相談をした上で、また正副委員長でお取り計らいをいただいて、改めて決議に関しての委員会を開催することをお願いしたいと思います。

○(山田[一]委員長)
 ただいま御提案がありましたが、何か御意見等ございますか。
     (「なし」と呼ぶ者あり)

○(山田[一]委員長)
 横山委員から新たな大都市制度創設に関する決議を行うべきという御提案については、自民党より案文を作成いただき、各会派に配付・協議の上、正副委員長で改めて委員会を開催するか否かを決定したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本件については、この程度にとどめます。