横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和元年 減災対策推進特別委員会

△風水害における防災意識向上について

◆荻原委員
 先生、大変ありがとうございました。1つには、電線の地中化の話がございました。これは本市でも進めているところがございますけれども、これはやはり先生の話の中に出たように余り進めないほうがいいのか、それともやはり進めたほうがいいのか、ちょっとこの点のアドバイスをいただければありがたいということが1つ。
 それから、今、横浜市内でも、民有地で塀の老朽化とか、それから崖あるいは狭隘道路、なかなか行政が介入しにくい土地の部分で災害が起こったら心配だなというところが、ちょこちょこ出ております。こういった民有地に対しての行政の介入の適正なあり方というところについて、アドバイスをいただければありがたいと思います。
 それから最後にもう一点、申しわけないのですが、この間も台風15号で横浜市も甚大な被害を受けたところでございます。これから護岸の強化など含めて課題が新たに表面化していると感じているのですけれども、これから日本列島全体で風水害の災害の威力がますます増していくのかどうかという点について、何か御指導いただける点があればありがたいと思っております。

◎河田参考人
 まず、地球の温暖化が進んでいるということは、大方の方は御理解いただけると思うのです。そうなるとどうなるかというと、極端現象が発生しやすくなるのですね。すなわち雨が降るときはむちゃくちゃに降るし、降らないときは全く降らないということが起こるのです。これは典型的には愛媛県の肱川というところがそうなので、一級河川なのですけれども、あそこは毎年のように渇水と洪水が被害をもたらしているのです。ですから、渇水に対してはみんな井戸を掘っているのです。それは今に始まったわけではなくて、江戸時代ぐらいからそういう特徴があって、それが先鋭化しているということです。去年なんかは史上最大の雨が降ったわけで、ダムの水門をあけざるを得ないという形で9人亡くなったのですけれども。ですから、特に気象災害については、外力はこれからますます激しくなる。激しくなるだけではなくて、降らないときには全く降らないという極端現象が起こりやすくなっていると考えていただいたらいいと思うのです。
 ただ、例えば台風の中心気圧が低くなるとか風速が速くなるとかということだけではなくて、今までよくわからないような形のメカニズムが実は入ってくる。なぜかといいますと、気象庁は今、台風観測は衛星でしかやっていないのです。はかってないのです。昔は飛行機を飛ばしてはかっておった。今はコンピューターの衛星画像を見て判断しているのです。だから、こういう新たな現象というのは、そんなところから絶対わからないです。シミュレーションというのは、要するにわかりやすく言いますと可視化と考えていただいていいわけで、見えないやつを見えるようにするだけなので、わからないことをわかるようにはシミュレーションはできないのです。わかっていることしかシミュレーションできないのです。
 ですから、今回の台風でも、何であんな強い風が吹いたのというのは、正直わからないです。なぜか。衛星画像を見ただけなので。だから、そういう極端現象が起こりつつあるのに、シミュレーションで間接的に解析しようとしている、これがやはり大きな問題なのです。ですから、名古屋大学の気象観測グループは、自衛隊のプロペラ機を飛ばしてもらって、台風の真ん中にロボットを入れて観測するというようなことを、去年から始めているわけです。ですから、その現象が複雑になってきていて、それを解析するのにシミュレーションではだめだということを知らなければいけないのです。実際に観測しないとわからないことがいっぱいあるのに、人手がない、お金がないというので、手っ取り早い気象衛星で全部解析するというのは、大部分はいいのですけれども、そういう新たな現象はそんなシミュレーションから見つからない。シミュレーションというのは、現象がわかってできる技術なのです。わからないことをシミュレーションで再現することはできないのです。だから、文明を先行させてはいけないというのは、まずそういうことなのです。ですから、これからはやはりそういうきちっと観測するということがとても重要で、そうしないと新たな現象、例えば線状降水帯なんていうのは、観測しないと見つからないです。データだけでは見つからないです。そこのところをやはりきちっと理解しなければいけないということです。
 それから、2番目は何でしたか。

◆荻原委員
 まず、電線の地中化について進めたほうがよいか、やはりやめたほうがよいかということです。

◎河田参考人
 それは、ですから、その土地その土地の洪水危険度がやはりそこに反映されなければいけない。しょっちゅう水につかるようなところを地中化をやったら、これは愚策です。だけれども、丘陵地で全然浸水のおそれのないところだったら、電線地中化をやったら、全くそれはそういう電信柱が倒れるということは起きないですね。ですから、そのリスクの評価によって浸水危険性がどのレベルまでを地中化したらいいかというのは、これは行政の判断でやられたらいいと思うのです。全部だめだと言っているのではなくて、例えば東京ですと、東半分は電線地中化をやったらいけないです。江東区なんて絶対やったらいけないです。だけど、西のほうに行くと、例えば武蔵丘陵のところ、要するに傾斜地の多いところは電線地中化というのは非常に効果があると、そういう判断がないと、何かやみくもにどこでやっても効果があるような、そういう形になりますよね。

◆荻原委員
 ありがとうございました。

◎河田参考人
 第1番目は。

◆荻原委員
 あとは、民有地におけるですね。

◎河田参考人
 それは、一番大切なことは、その所有者にどういう危険がこの土地にあるかというのを知ってもらわなければいけない。それを知らなかったら、ほったらかしになるではないですか。だから、あなたのところのブロック塀は震度5弱になると倒れますよと。それで歩行者あるいは登下校の子供たちがそれで命を失うことがあるかもしれませんよというのは、教えてあげてもいいではないですか。みんな自分のところはそんなこと起こらないと思っているのですからね。
 ですから、今学校、特に大阪の学校は一遍にブロック塀を撤去できませんので、遠回りでも登下校のコースからそれを外しているわけです。だから、そういうことをブロック塀を持っている人に知っていただく。どういう危険があるかを。そうしないと、いつごろ建てたかも全然知らないと、まして家を買って、そこに初めからブロック塀あったなんていったら、何か危険なものを買ったことになりますので、ですから、そういう古い危険なものがあったらどうだということを所有者が全く知らないということが、実は問題なのです。
 ですから、例えば土砂災害特別警戒区域と警戒区域とあるではないですか。あれは最初に法律をつくるときは罰則規定が入っていた。国土交通省は罰則規定を入れていた。総務省が反対したのです。自治体はできないと。だから罰則規定はなくなってしまったわけ。だけど、特別警戒区域というのは、区別わかりますか、特別警戒区域と警戒区域の違いって。これは、特別警戒区域というのは、必ず建物の被害が人的な被害につながるところが特別警戒区域になっているわけ。単に土砂災害が起こりやすいところは、普通の警戒区域になっています。ですから、住んでいる方に、おたくの裏山が崩れたらこういう被害になりますよということを教えてあげる。これは行政はやってないです。抽象的にしかやってない。だけど、家族の方が命を落とすなんていうことは起こるわけで、そのときに例えば今まで経験的に、土砂災害で亡くなった人は90%は1階で亡くなっているのです。ですから、土砂災害で危ないとなったら、とりあえず2階で生活するだけで助かるわけ。これがなかなか知られていない。だから、広島なんかまさにその典型なのです。大雨が降っているときに、両親は2階で1階に子供たちが寝ていて、子供たちだけ犠牲になったというのは実は起こっているわけで、こういうすぐにでも実行できる知識が普及していない。それはやはり積極的にやらないといけないので。そうすると、気象庁なんかは、それは科学的でないからやらないのです。わかりますか。数字であらわせない限り気象庁はやらないのです。
 だから、例えば時々地震があったときに、テレビで「この地震による津波のおそれはありません」と出てくるではないですか。あれは計算しているのではないのです。実はマグニチュード6以下だと、大きな津波は発生しないです。それから震源の深さが120キロより深いと、大きな津波が発生しないです。これは僕は日本で起こった津波災害の地震、120ほどあるのですが、全部整理したら、そういう結果が出てきたのです。だから、震源が深い、あるいはマグニチュードが小さかったら、津波のおそれなんかないのです。気象庁はそれを放送では言うのですが、なぜと言わないでしょう。つまり経験的にしかわかっていないから、そうしか言えないのです。だけど、そういう120キロとかマグニチュード6以下だと大きなやつが起きないという知識は、知っていて損することはないのです。だから、経験的にこうだからと言ってくれたらいいのに、科学的ではないから、いきなりこの地震による津波のおそれはありませんと。ですから、陸上で起こる地震では、ほとんど津波は発生しませんからね。まず、震源は海底にないといけませんから。そういうことを知っていただいたらいいのです。
 そういうことを知ると、例えばギリシャに行って、地震が起こったときにマグニチュード5.5だと言ったら、津波は起こらんねと使えるのです。だって、ギリシャでそんなテロップなんか流れないですからね。そういう経験的にわかっていることをもっとみんな知るというか、これはとても大事なことで、科学的ということは数字であらわされるものだけが科学的ではないということを気象庁あたりは知っていただかないと、非常にそこら辺が僕に言わせるとこそくなのです。
 よろしゅうございますか。

◆荻原委員
 ありがとうございます。