横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

HOME / 市政報告/議事録 / 発言全文

平成30年 決算第一特別委員会

△経済局関係

○黒川[勝]委員長
 質問の通告がありますので、これより順次質問を許します。
 まず、荻原隆宏委員の質問を許します。

◆荻原委員
 立憲・国民フォーラムの荻原隆宏でございます。
 委員長、スライドを使用させていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○黒川[勝]委員長
 どうぞ。

◆荻原委員
 ありがとうございます。
 まず最初に、賃金政策についてお伺いしたいと思います。
 実質賃金が上がらずに消費が高まらないということが我が国経済の課題と受けとめているところでございます。そこで、横浜市内の賃金の様子を確認したいと思っております。横浜市内における事業所規模別の勤労者賃金の調査データはないとお伺いをいたしておりますが、あるのは厚生労働省によります毎月勤労統計調査におけます都道府県別の調査と伺い、確認させていただきましたところ、次のような数字をグラフにさせていただきました。(資料を表示)これは決まって支給する給与の推移ということでございまして、事業別になっております。5人以上の事業所は上の折れ線グラフ、青い線になっております。1人から4人規模の事業所は下の線でございまして、緑色の線になっております。5人以上の事業所では給与が徐々に減っていっておりまして、5人未満の事業所におきましては低い値で横ばいが続いております。平成9年からの数字でございますので約20年間の推移でございます。厚生労働省に確認いたしましたところ、決まって支給する給与というのは税金や社会保険料が引かれる前の基本給の額、そして住宅手当などの諸手当、さらに残業代も全て含んでいる数字だということでございます。その額が事業所規模が1人から4人のところは平成30年度で約20万円、そして5人以上の事業所では約28万円となっているわけでございます。
 この調査結果から推測いたしまして、横浜市内の賃金推移はどのようになっていると考えられるか、局長に伺います。

◎林経済局長
 おはようございます。
 答弁に先立ちまして、さきの台風15号の影響によりまして被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。市内では特に金沢臨海部の産業団地において甚大な被害が発生しております。経済局といたしましても、各事業者の復旧に向けた御支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
 それでは、横浜市内の賃金推移の御質問でございますが、厚生労働省が実施する毎月勤労統計調査は都道府県単位で集計されているため、横浜市では神奈川県内の集計結果を利用しております。委員お示しされているようにここ10年の推移を見ますと、神奈川県内の5人以上の事業所における基本給や超過労働手当などを含む定期給与は平成21年には27万1382円でしたが、平成26年に26万6251円まで下落し、その後は回復基調となり、平成30年は27万9926円となっております。一時期リーマン・ショックをきっかけに下落いたしましたけれども、その後緩やかに回復していると認識しております。

◆荻原委員
 緩やかに回復傾向というお言葉があったと思いますが、私は全く回復をしている状況にはないのだろうと思っております。総務省統計局の家計調査報告等を資料とする横浜市統計書から1世帯当たり年平均1カ月間の消費支出の推移について、これも経済局からいただきました数字をもとに折れ線グラフにさせていただきました。
 これは横浜市内の数字でございまして、横浜市の1世帯当たり--これは2人以上の世帯ということでございますが、平成30年度で31万3447円、そして平成12年度は38万7986円で緩やかに下降傾向にあるかなと思われますが、この調査結果から推測しまして横浜市内の消費動向はどのようになっていると考えられるか、局長に伺います。

◎林経済局長
 御指摘のように横浜市内の消費動向につきましては、平成21年と平成30年度を比べると下落しておりますが、これは全国的に減少傾向がありまして、横浜市でも同様の傾向が見られております。内訳を見ますと、交際費等が減少しているほか、全国的にも若年層を中心に消費支出が低下傾向にありまして、この背景にはICTの進展によるCtoCビジネスや、シェアリングエコノミーの普及、貯蓄意識の高まり等々、近年の消費行動の変化も影響していると考えております。

◆荻原委員
 大変に家計の苦しい状況がこのグラフから読み取れると私は思っております。今全国的傾向と局長がお答えになられたように、全国でも消費が伸びない中で消費税が本日から10%になります。
 低所得勤労者の皆様の収入の向上が急務ではないかと考えておりますが、現在の市の取り組みはどのようなものがあるか、局長に伺います。

◎林経済局長
 勤労者の方々の収入を向上させていくためには、市内の99.5%を占める中小企業の多様な振興策が重要であります。そういった意味で、建設業ですとか、飲食、小売、技能職者、商店街などの振興策が重要となってまいりますが、今後も引き続き中小企業振興基本条例に基づきまして、経営基盤の強化や経営革新の支援を積極的に行ってまいります。

◆荻原委員
 最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力、これらを総合的に勘案して定めることとなっております。生計費については、労働者が健康的で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう計算されるようになっております。生計費は神奈川県人事委員会が総務省の家計調査の結果をもとに算出いたしまして、厚生労働省の中央最低賃金審議会はその神奈川県の算出した生計費をもとに最低賃金の目安額を決めることとなっております。その神奈川県人事委員会の生計費を見させていただきますと、単身世帯、1人世帯では平成30年4月で食料費として2万7830円、住居関係費で5万2830円、被服・履物費として3270円、雑費1といたしまして3万5620円、雑費2といたしまして7620円、合計単身世帯で生計費は12万7170円となっております。4人世帯におきましては、食料費が6万6070円、住居関係費が4万6220円、被服・履物費が1万4820円、雑費1として8万7180円、雑費2といたしまして2万5720円、合計で4人世帯で24万10円と生計費が算出されております。本日から上がります最低賃金は1011円でございます。厚生労働省が今年度の目安としている平均労働時間173.8時間から税や社会保険料などの差し引き割合として0.823を掛けた数字は14万4610円となります。つまり、厚生労働省の平均労働時間から社会保険料などを差し引いた手取りの額は最低賃金で14万4610円と神奈川県の場合はなると、このように計算しているということでございます。神奈川県の算出している生計費、単身世帯12万7170円や、国が算定している最低賃金14万4610円が横浜で健康的で文化的な最低限度の生活を1カ月間営むに足る金額とは私は思えません。生計費を構成する住居関係費5万2830円は家賃も水道光熱費、それから家事用品全て含まれております。また、食料費は1日1000円を切っている生計費となります。3000円の食事に1人で2回行けばもう終わりでございます。
 この生計費で横浜市で暮らすに当たり健康的で文化的な最低限度の生活を営めるかどうか、局長の見解を伺います。

◎林経済局長
 神奈川県が算出している生計費は、食料費や住居費関係など実際に支出している金額を集計したものでありまして、県民の生活実態を反映してございます。なお、健康で文化的な生活を営むためには、社会福祉や社会保障、公衆衛生の維持向上などさまざまな条件が必要となっておりまして、生計費の水準のみではかれるものではないと考えております。

◆荻原委員
 この生計費でというお伺いの仕方をいたしましたが、次に行きます。
 この生計費をもとに最低賃金は算出されておるわけでございます。現在の最低賃金額は横浜市民にとって適切な額と考えるか、局長に伺います。

◎林経済局長
 最低賃金は有識者、労働者、経営者から成る中央最低賃金審議会で給与の実態、生計費、企業の業績など20の指標をもとに決定されています。また、神奈川県の最低賃金はこの10年間で約25%上昇しておりまして、今後もさらに賃金の上昇を目指していることから、国において適切に設定されております。

◆荻原委員
 現在の最低賃金額は適切かどうかを伺っています。もう一度局長に伺います。

◎林経済局長
 国において適切に設定されていると考えております。

◆荻原委員
 横浜市内の消費者物価は微増微減を繰り返し、家計調査をもとにした神奈川県が算出する標準生計費は下降傾向にございます。1011円との最低賃金は横浜市内で暮らすにはまだまだ低いと私は思っております。
 9月6日の一般質問の際、市長に御答弁をいただきましたけれども、先ほども局長答弁にもございましたが、国の最低賃金制度が地方の実情に応じて適切に設定されている国の制度は適切だということでございますが、14万4610円という最低賃金額が横浜市で健康的で文化的な暮らしを営むに当たって本当に適切な額であるかどうか、副市長に見解を伺います。

◎渡辺副市長
 先ほど来局長が御答弁申し上げていることの繰り返しになってしまって大変恐縮なのですが、健康で文化的な生活を営むためには、これは賃金水準のみではなくて社会保障とか公衆衛生の維持向上、さまざまな条件を総合的に俯瞰して決めていかなければいけないという点が1点。もう1点は、これは最低賃金を決める制度的な仕組みの問題ですけれども、労働者の方はもとより、有識者、経営者から成る中央最低賃金審議会で給与実態、生計費、企業の業績など、こうしたものをもとに決定されておりまして、これは国の制度としてこういう仕組みで運営されておりますので、適切な額を決定されているものと捉えております。

◆荻原委員
 最低賃金法には、地域別--現在は都道府県別になっておりますが、地方別最低賃金のほかにも、特定の産業に設定される特定最低賃金制度が定められております。生産年齢人口が半減していく中、高齢化率は高まり、介護や障害者支援、そして保育現場における福祉人材の需要は高まる一方でございます。現在のままの給与水準では人手を確保することが相当に困難になり、福祉サービス制度はあっても担い手がいないためにサービスが提供できなくなることがあってはなりません。
 そこで、特定最低賃金制度によって、例えば横浜市内の福祉施設で働く勤労者の最低賃金を上げることは可能かどうか、局長に伺います。

◎林経済局長
 特定最低賃金とは、地域別最低賃金とは別に、特定の産業について都道府県ごとに必要に応じて国が定めておりますので、必要性が認められれば最低賃金を上回る水準で定めることも可能でございます。御指摘の福祉施設で申しますと、施設で働く勤労者の2分の1以上が労働組合を組織し、労働協約の適用を受ける場合は、当事者の労働組合及び経営者の合意をもって申し出ることができます。

◆荻原委員
 今のは横浜市内でそれが可能だということでございましょうか。

◎林経済局長
 横浜市内の福祉施設で発議することも可能であると考えております。

◆荻原委員
 厚生労働省の説明によりますと、特定最低賃金は今局長も御説明があったように、関係労使の申し出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されていますとありますけれども、多くの福祉施設では労働組合がありません。労働組合がない場合、どのように特定最低賃金を設定できるか、局長に伺います。

◎林経済局長
 労働組合がない場合でも、勤労者と経営者のそれぞれ3分の1以上が特定最低賃金の設定について合意した上で、地方最低賃金審議会がその必要性を認めた場合は国が特定最低賃金を設定することができる制度となっております。

◆荻原委員
 そうしますと、横浜市内で福祉施設において労働組合がなくても特定最低賃金を設定することは可能だということでよろしいでしょうか、局長に伺います。

◎林経済局長
 申請は市内の事業所等からできますけれども、決定は都道府県単位で行うという制度でございます。

◆荻原委員
 ありがとうございます。
 リビングウェイジは生活賃金と訳されることが多いものでございますが、アメリカやイギリスで広く普及している最低賃金とはまた異なる最低賃金制度でございます。国や自治体が定める最低賃金では生活に十分な賃金が得られないことがないように市民運動から始まったものもあり、あるいはロンドン市のように選挙公約を通じて行政に賃金政策部を設置してリビングウェイジ条例策定につながる場合もあり、その成り立ちはさまざまで、制度の内容にも罰則を含むもの、含まないもの、あるいは一定規模額以上の民対民の契約も含んだり、公共事業のみに適用されるものなどさまざまなものがございます。公共事業に特化している場合は日本では公契約条例と呼ばれるものに類似しております。現行法の最低賃金制度では特定最低賃金を横浜市に限定して展開することは今局長の御答弁のとおりに神奈川県全体に波及するものということだと思いますが、各自治体、市町村が現実に条例によって公契約条例を定めることができておりますので、少なくとも公共事業あるいは補助金対象事業におけるリビングウェイジ制度の導入は条例制定できるのではないかなと思っております。
 公共事業及び補助金対象事業、また民間における自主的なリビングウェイジの採用を目標としてリビングウェイジ制度を横浜市内に導入するとした場合、最低賃金法やその他国の法の差しさわりはあるかどうか、局長に伺います。

◎林経済局長
 特に罰則規定等を設けなければ企業が自主的に導入するリビングウェイジ制度を設けることは法律的には問題ないと考えております。

◆荻原委員
 ありがとうございます。横浜には横浜の実情に合わせて最低賃金あるいはリビングウェイジを定める権利があるのだと私は思っております。
 法定労働時間働けば人間らしい暮らしができるよう、横浜でリビングウェイジ制度の創設を検討していただきたいと考えますが、局長と副市長、お二方の見解を伺いたいと思います。

◎林経済局長
 先ほど来答弁申し上げておりますように国の最低賃金制度が地方の実情に応じて適切に設定されておりますので、国の制度を尊重すべきというふうに考えております。

◎渡辺副市長
 繰り返して恐縮でございますけれども、9月6日の本会議において市長から荻原委員に御答弁申し上げましたとおり、最低賃金につきましては、国において有識者、労働者、経営者から成る審議会の答申を受けて、地方の実情に応じて適切に設定されていると考えております。確かに諸外国では、例えばロンドンにおいてリビングウェイジ制度というのが独自に設定されたりしている例もあるのは承知しておりますけれども、国によって自治体の権限でありますとか、あるいは労働者を代表する団体の成り立ちとか性格とか、そうしたものも随分実情が違いますので、全く同じように日本で考えるということは難しい面もあろうかと思っております。なお、神奈川県の最低賃金につきましては、この10年間で約25%上昇しておりまして、今後もさらに上昇を目指しているという実情がございますので、現状ではこの国の制度を尊重すべきものと考えております。

◆荻原委員
 横浜市には賃金政策を進める部署が存在しないとお伺いをいたしました。国や県に任せるだけでなく、横浜市内で働く勤労者の皆様の暮らしの向上のために賃金政策に取り組む部署を設置していただきたいと思いますが、副市長の見解を伺います。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)。

◎渡辺副市長
 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、賃金政策に関しては、統計でありますとか、その決定の仕組みなどが国が中心になって都道府県単位で決められているというような実情があるのは事実でございます。しかしながら、横浜市といたしましても、雇用促進などの向上に向けまして、国と雇用対策協定を結んで、国や県と定期的に情報交換会議を開催いたしまして、連携しながら雇用や賃金などの労働行政を進めているという実情がございます。その点は御理解を賜りたいと思います。

◆荻原委員
 ぜひ勤労者の立場に立った行政を進めていただきたいと要望させていただきます。
 次に、ソーシャルビジネスについてお伺いいたします。
 平成初期にバブルが崩壊し、リストラの嵐が吹き荒れて就職氷河期時代が始まりました。大企業に就職するだけが人生ではない、自分で起業するのもよいと多くのメディアでも記事を掲載しているのを見たのを記憶しております。しかし、一向に経済は好転せずデフレは現在まで続いております。ソーシャルビジネスはその流れの中ですい星のごとくあらわれました。2007年刊行のソーシャルビジネスのバイブルと言われる「貧困のない世界を創る」という書物があります。ノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の著作でございます。その中に次の一節があります。なぜ自由市場は多くの人々をつまずかせるのだろうか。理由は簡単である。現在の自由市場は社会問題を解決するためにあるのではないからだ。むしろ実際には、貧困、病気、汚染、不正、犯罪、そして不平等を悪化させている。この自由市場のもたらす負の側面である社会的課題を解決するための手法は幾つかあると思います。NPOもその一つです。NPOは寄附金を主な財源とする非営利に対し、ソーシャルビジネスは収益を上げるビジネスでございます。ソーシャルビジネスが通常のビジネスと違う点は、資本あるいは利潤最大化を通常のビジネスは目標といたしますが、ソーシャルビジネスは社会利益の最大化を目標といたします。損害をこうむることなくコストを完全回収し社会的課題を解決する。
 今、人口減少社会を迎え、横浜市の社会的課題は無数にございます。福祉、医療、交通、環境の保全、子供の貧困。社会的課題の山積する横浜市においてソーシャルビジネスの重要性はより高まっていると思います。
 市の支援事業を通じてこれまでどのような社会的事業、ソーシャルビジネスが育成されているのか、局長に伺います。

◎林経済局長
 本市のソーシャルビジネス支援事業を通じまして、例示いたしますと、地域活性に関するまちづくり分野の創業や、乳幼児などに向けた子育て・教育関係に関する創業、親子カフェ・文化交流のためのコミュニティービジネスの展開、コワーキング運営やコンサルティング分野の支援組織の設立など、内容は多岐に富んで創業されております。

◆荻原委員
 若者に社会的課題解決で活躍していただくために、今後も支援は欠かせないものなのだろうと思います。そのために、特に20代、30代が求めているソーシャルビジネス像をしっかりと把握して的確な支援を行う必要があろうかと思います。
 若者のソーシャルビジネス像、的確な支援とは一体どのようなものか、局長に伺います。

◎林経済局長
 若い世代の方々でソーシャルビジネスの創業を目指す方々は、ビジネスモデルが多様でございますが、経験や知識が十分ではないため、ビジネスプランのつくり方やマーケティングの基本、プレゼンテーション技術の向上などのスキルを身につける講座が有効な支援であると考えております。また、現在実施している創業支援講座は連続講座となっていますため、若い世代が望む傾向にある同じ志を持つ起業家同士の交流にもつながっております。

◆荻原委員
 平成26年度から平成30年度まで実施のソーシャルビジネス・スタートアップ講座の修了者は245名、そして講座終了後の創業の件数は43件とお伺いいたしました。講座修了者がどのような感想をこの講座に持って、そして創業に残念ながら至らなかった場合、その理由についてどのように市は総括をしておられるのか、また、創業に至れたケースについてはその後経営が順調に進んでいるのか、そうでないのか、抱えている課題があるならばそれはどういうものか、局長に伺います。

◎林経済局長
 講座の修了者の感想として多いのは、社会課題をビジネスという手法で解決することを学ぶことができたや、具体的な事業計画や収支計画について知識を得たなどがございます。受講生は必ずしも創業を選ばないということもありまして、ボランティア活動といったさまざまな市民活動などを通じて社会課題を解決するケースもございます。創業した場合でも、その後の資金計画や販路開拓、人材確保などの課題があって事業継続が困難になる場合もありますので、本市としても相談窓口などを通じてそれぞれの状況に応じた支援をしてまいります。

◆荻原委員
 創業に至ったケース、至らなかったケースなどの事例を踏まえて、横浜市におけるソーシャルビジネス支援のノウハウをしっかりと蓄積して、市の社会的課題解決能力を高める必要があろうと思います。市はその課題をどのように認識して、今後ソーシャルビジネス支援をどのように改善していくか、見解を局長に伺います。

◎林経済局長
 ソーシャルビジネス事業者につきましては、特に創業後の事業継続や事業の成長発展における資金調達や事業連携などに課題があると認識しておりまして、また、特に若者を中心とした起業家はソーシャルビジネスという定義にとらわれず、さまざまなビジネスモデルで社会課題の解決を目指す事業を展開しております。こういったことから、行政としてもさまざまケースの支援の蓄積を図りながら多様なニーズに応えていく必要がありますけれども、起業家支援は行政だけではなく中間支援組織や民間事業者、金融機関等のノウハウも生かしていく支援が重要であると考えております。

◆荻原委員
 日本は激しい人口減少時代を迎えます。総務省のグラフを見ますと、生産年齢人口は1995年の8716万人をピークに、2020年、来年はここから16%減る7341万人、2060年には4418万人となり、ピークの1995年に比べまして5割、ちょうど50%減となります。大都市横浜においては特に福祉、防災、環境、地域交通の分野におけるソーシャルビジネスの役割はこれからもっと大きくなっていくと思います。
 それぞれの分野におけるソーシャルビジネス展開の課題と今後の市の支援内容について局長に伺います。

◎林経済局長
 福祉、防災、環境などさまざまな分野でソーシャルビジネスの役割は高まっていると認識しておりますが、ソーシャルビジネスの明確な定義はございませんで、委員もお話があったNPOを代表として、株式会社や共同組合、中間支援組織などさまざまで行っておりまして、分野別の課題抽出はなかなか困難であると考えております。しかし、分野を問わず資金調達や人材の確保育成、売り上げの増加等が課題でありまして、相談事業を通して融資・助成制度などにより支援するとともに、民間支援団体とも連携して支援を行ってまいります。

◆荻原委員
 国連SDGsの目指すところは、誰かが幸せになる社会ではなく、誰もが幸せに生きる社会でございます。SDGs未来都市としてソーシャルビジネスの活躍の場を広げる責任が横浜にはあろうかと思います。
 局と局、局際的にしっかりと連携して、若者が長く社会的課題解決の仕事に従事できるよう、市としてしっかり取り組みを広げていただきたいと思っておりますが、局長と副市長お二方の見解を伺います。

◎林経済局長
 本市はSDGs未来都市を目標に掲げておりまして、その中で、経済局としましても先ほど来の社会課題解決に資する事業を展開する企業やいろいろな団体の支援を進めております。ソーシャルビジネスはテーマや手法に多様性がありますので、ビジネスモデルに応じて、公民連携の取り組みであれば市の組織である共創推進室や温暖化対策本部、市民局など関係局と連携してやってまいりたいと考えております。

◎渡辺副市長
 人口減少、超高齢社会の到来というものは日本にとりまして非常に深刻で大きな課題であると思います。既に地方では顕在化しつつありますけれども、横浜にとりましてもこれはもう対岸の火事ではございません。したがいまして、従来の経済、産業という分野と福祉、医療、子育て支援、教育といったような分野、これは別のものではなくて、こうした超高齢人口減少に伴う福祉、医療、教育、子育て支援といったような社会課題を解決する中でビジネスチャンスを生み出していく。そこに公費を投入する。公的な投資をする。それがビジネスチャンスとなって再び税収などで返ってくる。こうしたような持続可能な制度を都市として考えていきませんと難しくなってきていると思います。そうした点では、今回SDGsデザインセンターをつくりまして、こうした社会的課題について各層がいわゆるネット上でさまざまな提案をし、検討し、意見を交わして解決策を見出していくことによって、SDGsが目指している誰一人取り残さない社会の実現に向けて、少し長い目で考えていかなければいけない部分もございますが最大限の努力をしていかなければいけないと考えております。

◆荻原委員
 ありがとうございます。ぜひ局と局の連携を深めていただいて、社会的課題の解決に向けて御尽力いただきたいと思います。
 次に、就業支援事業について伺います。
 求人側、人を求める側は履歴書や職務経歴書、面接を通じて求職者の情報を得ることがある程度できるものでございますが、求職者、職を求める人はハローワークなどで求人票一枚を閲覧する以外、なかなか情報入手の手段が限られておるものでございます。求人票にも十分な情報が記載されているわけでもございません。私も何度もハローワークで求人票を見させていただきましたけれども、その求人票の会社がいいな、一体どんな会社なのかなと思うわけでございますが、実際にそのいいなと思った会社、働く現場環境などを事前に知り得る機会というものもなかなかございませんでして、求職者にとってはそこに応募するかしないかというのはある意味、かけでもございます。よりよいマッチングをよりたくさん生んでいくために、もし可能であれば実現できたらいいなと常々思っていることは、数日間お試しで働いてから求人に応募することができるような仕組みを整えることはできないかということです。
 求職者の立場に寄り添って支援事業を行っていただきたいと思っておりますが、局長の見解を伺います。

◎林経済局長
 経済局では、市民の就労支援窓口としまして横浜市就職サポートセンターを設置し、個別相談や就職支援セミナー、インターンシップ、就職後の定着支援など、一貫した支援を行っております。特にインターンシッププログラムはビジネスマナーや面接対策など就職活動に役立つ研修を3日間実施し、その後最大10日間就労体験ができる制度でございまして、このインターンシッププログラムによって参加者のうち就職を決定した方々も出ております。

◆荻原委員
 ぜひそのインターンシップも活用しながら、お試しで働いてから求人に応募することができるという仕組みも御検討いただけたらありがたいと要望させていただきます。
 次に、勤労者生活資金についてお伺いいたします。
 勤労者生活資金の金利は平成21年の2.2%から1.9%へ平成30年度下がっているにもかかわらず、教育の貸し付けは平成24年に3340万円の実績で、これをピークに激減いたしまして、平成30年度にはついにゼロ円という貸付額となっております。教育費の調達に困っている市民は多いと思いますけれども、どうして貸し付けがゼロとなったのか、その原因はどのように考えるか、局長に伺います。

◎林経済局長
 勤労者貸付制度は教育、住宅の増改築、医療、出産など10種類の使途に分けられておりまして、教育資金は平成21年度以降利用がありましたが、御指摘のとおり平成30年度に初めてゼロ件数となりました。低金利時代等の時代背景もあって、他の金融機関の融資を利用するなど選択肢がふえていることもありまして、例えば育児や介護についてもゼロ件という状況にあります。全体的に利用の減少傾向も見られますので、御指摘の点を踏まえて検証するとともに、より広く利用いただけるよう努めてまいります。

◆荻原委員
 ぜひよろしくお願いいたします。
 時間の都合上、5はスキップいたしまして、6へ参ります。
 台風15号被災への取り組みについてお伺いいたします。
 台風15号によりまして金沢区産業団地は大変甚大な被害を受けておられます。また、市内各地におきましても、浸水、壁面の欠損、窓ガラスの破損等、被害が随所に見られておるところでございます。
 今後、復旧に向けて経済局としてどのように取り組んでいくのか、局長に伺います。

◎林経済局長
 これまで経済局では、特別経営相談窓口を開設し、台風第15号対策特別資金を創設いたしました。さらに、国が本市等の要請に基づきましてセーフティーネット保証4号を発動しております。また、特に被害の大きい福浦・幸浦地区では、金沢区、港湾局とともに地元説明会を2回開催しております。現在、国、県、市が共同で個別訪問調査を行い、具体的な支援ニーズを把握しながら、補助金などの制度設計について協議を進めております。引き続き、被災事業者の皆様の一刻も早い復旧、復興に向けてスピード感を持って全力で取り組んでまいります。

◆荻原委員
 今後同規模の台風などが産業団地を初め市内各企業にいつ襲いかかるかわかりません。市内企業に対する風水害、防災支援をしっかりと強化するべきと考えますが、局長の見解を伺います。

◎林経済局長
 企業の災害対策推進に向けまして、IDEC横浜において専門家による中小企業の災害リスクの洗い出しや、事業継続計画の策定支援を行うなど、中小企業の防災対策を支援しております。補助金については、被害状況を把握した上で制度設計をしていく必要があり、本市だけではなく、国、県からの支援も必要となります。今回の台風による大きな被害を教訓に、横浜商工会議所や地域工業会、京浜臨海部活性化協議会など、産業界とも連携した防災啓発を推進するなど、企業の防災力向上に向けた取り組みを行います。

◆荻原委員
 防災では殊に日ごろからの局間連携が求められると思います。賃金政策やソーシャルビジネス支援も同じく、福祉や地域交通の向上などは局と局で、横のつながりを日ごろから持たなければ達成できません。
 経済局の支援メニューをしっかり活用して、より全市的に市民サービス向上につながる取り組みを強めていただきたいと思いますが、副市長の見解を伺います。

◎渡辺副市長
 冒頭局長から今回の、とりわけ金沢産業団地における被害の大きさについてお見舞いを申し上げつつ、復旧に向けた決意表明をさせていただきましたけれども、被災以来、横浜市役所の総力を挙げまして、基礎自治体としてあらゆる現場も有しておりますので情報の把握と一体化に努めております。さらに対応に向けましては、ほぼ連日のように県や国とも精力的に調整をして、特に経済関係では、融資だけではなくて、補助制度というものについても従来の枠組みを超えて柔軟に迅速に、そして大胆に検討するように私からも指示をしているところでございます。

◆荻原委員
 ありがとうございます。ぜひしっかりと対策を講じていただいて、横浜市民の安心安全をつくって守っていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)