横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和2年 大都市行財政制度特別委員会

△調査・研究テーマ
「社会経済情勢の変化に対応する特別自治市のあり方」について

◆荻原副委員長
 16ページに指定都市の対応状況として課題点が述べられているのですけれども、横浜市の課題についてはどのような整理をされているかという点を教えてください。

◎橘田政策局担当理事兼大都市制度・広域行政室長
 横浜市においても、県としっかり連携しながらやってきたという部分がございます。ただ一方で、人口が非常に多い、あるいは活発な経済活動が行われているという中で、感染リスク、あるいは患者数も多い。
 広域的な対応が原則である一方で、例えば一律に休業協力要請等を行ったときの影響とか、一番身近で市の中で感じている部分で、そこがうまくできなかったのではないかとか、あるいは患者数が増えたときの医療体制についても、都道府県の対応が基本と言いつつ、本市としてもやはりそれはしっかり数を確保していくことをやらなければならなかった。
 あるいは、宿泊療養施設の確保についても調整が、県は県の立場で、市は市の立場で当然やるわけですけれども、地域偏在的なこととか、なかなか実態と十分に合わなかったといったことが所管からも、我々は報告を受けております。

◆荻原副委員長
 千葉市とか川崎市ということで、この資料には載せていただいているのですけれども、例えば今載せていただいている資料の中で、横浜市でも同様の課題が見られる点は、資料に示していただいたこの中にありますか。

◎橘田政策局担当理事兼大都市制度・広域行政室長
 例えば、熊本市における最前線でのスピーディーな対応ですが、包括の交付金が県に一括で来ます。では、その金額をどれぐらい横浜市として活用できるかどうか、全く不透明な中で対策を考えていかなければいけないとなると、その調整に時間もかかりますので、なかなかスピーディーな対応ができなかった。あるいは、その前の福岡市の例にある県の支援のみで市内経済の支援が不十分な場合は、市が独自にやらなければならない。
 当然、市内の中小企業の皆さんとか商店街の皆さんとの対応は横浜市が中心でやっておりますので、そういう声を横浜市は受けるわけですけれども、そのきめ細かい声に対する対応を、では県の施策で全てカバーできるかというと、なかなかそこにはギャップが生じます。そこはやはりやっていかなければいけないという意味で、ここに書かれた部分は、多かれ少なかれ指定都市全体で課題になっている主な事例と認識しております。

◆荻原副委員長
 この市長会で、横浜市がこういうことが課題でしたという市長の発言はあったのですか。

◎橘田政策局担当理事兼大都市制度・広域行政室長
 林市長は、指定都市市長会の会長という立場で、当日は議事進行、座長の立場でございましたので、直接的な発言というのはなかったのですけれども、こういった課題について指定都市の20市の市長の中で議論をして、今後こういった課題を解決するためにはどういう形で進めていくかを次のステップとして、国への要請等も含めて進めていこうということで、市長会としての合意形成が図られたとは思っております。

◆荻原副委員長
 横浜市で具体的にどういうことに困ったかという点について、ぜひ整理して、市民の皆さんと共有できる課題意識、そういう体制を整えていただきたいと私は感じております。
 17ページのまとめの2のところに、指定都市からの意見の吸い上げは行われていなかった事例も見られるということで、この事例も、どういった事例があったのだろうかと、この資料を見せていただいて率直に感じたところでもあります。そういう横浜市で具体的にどういうことが課題だったのか、また、今も課題なのかということは、今整理はされているでしょうか。

◎伊地知政策局長
 委員の御指摘は、県の権限の下で、横浜市が不都合なところはどこまであったのかということについてだと思いますが、基本的には今県に権限がありますので、その辺は、先ほど申しましたような整理をいたしているところではございます。
 それらの課題を共有する中で、共通に出てくる指定都市と県の権限の、あるいは役割分担の在り方、それをもう少し指定都市市長会の中でしっかりと議論し、それをまた、前回横浜市としても提案・要望書の中で国に対しても要望しておりますけれども、そういう機会を通じて、市民の方々にお知らせすることもしていかなければいけないと思っております。
 同時に、横浜市だけがそれを出していっても、結果的に形として制度として成らなければいけないということがありますので、同時に指定都市市長会としての取りまとめをしながら、しっかりとその権限と役割分担を整理していただけるように、国に対しても求めていきたいというところが現状でございます。

◆荻原副委員長
 ぜひ、市長会でも有意義な制度提言がなされるように、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、横浜市が率先して政令指定都市の課題点をしっかりと把握、整理して、そして最後、局長におっしゃっていただきましたが、市民としっかりそれを共有していく。解決していこうということをぜひ示していただきたい。これは要望いたします。
 そして、もう一点。もう一つは、大阪都構想との違いのところです。非常に大きな違いは、市をなくすかなくさないかというところなのかと感じておりますが、市をなくすことのメリットとデメリットをどのように整理されておられますか。

◎橘田政策局担当理事兼大都市制度・広域行政室長
 大阪の例で申し上げますと、広域的な役割とか、経済成長を促していく政策とか、あるいは都市基盤の大きな整備とかいったものを、大阪市と大阪府がそれぞれやっていたということを一元化して、無駄をなくそうということです。その一つの手段として、大阪市という市をなくして、府と特別区にしていく。特別区の中での住民自治の強化を図っていく。それぞれの区に公選の区長と議会ができるという中で図っていくというのが大阪都構想の趣旨ではないかと思っています。
 それに対して横浜市の場合は、地政学的にも神奈川県の東側、どちらかというと東京圏に近い部分に位置しておりますので、大阪市と地政学的にも違いがございます。市と県との関係でいうと、横浜市の中で完結できる部分というのが非常に多くございますので、わざわざ1つの固まりである横浜市をなくして分割するのではなくて、横浜市という1つの固まりのメリットを生かして、そこに市域の中で県が行っている仕事も併せ持ってやっていくという形で、特別自治市という整理をしていると思っております。

◆荻原副委員長
 制度としてそういう整理ができると思いますし、大阪都構想が目指そうとしているメリットの部分も、感じているものといいますか、恐らくあるのだろうと思うのです。一方で、それに対するデメリットもあるから、住民投票で最後しっかりと決していこうということだと思うのです。
 横浜市として特別自治市を目指すに当たって、市を保ちながら、行政区における住民自治をしっかりと確保していこうということをずっと話し合ってきたのだと思うのですが、我々としても、どうやったら住民自治を高めることができるのかということは、非常に大きな課題だと思っております。
 大阪都構想では、より区に分権していこう、住民自治を高めていこうという取組の中で、一定の評価があるのだろうなと私は感じております一方で、特別自治市は、市を解体しないことで、市を保つことでスケールメリットを維持していこうということなのだろうと思うのですけれども、より分権度合いを大阪都構想のように進めて、例えば区長公選を考えるとか、区議会をつくるとか、そういうことによるメリットあるいはデメリットというのは、局としてどのように考えておられるか、見解があったら伺いたい。

◎伊地知政策局長
 前提として、横浜市が長きにわたってこの市域の中でやってきたという歴史があって、なおかつ、大阪都構想の場合は、言ってみれば総財源は何も変わらない。それを、市があったものを、市という組織をなくして、都道府県のほうに大きな財源と、それから権限を与えて、住民自治としての特別区をつくっていく。それは東京都でも同じですけれども、この後生ずるのは、大阪都と、それから東京都で言えば23区との財源の取り合いみたいな話が始まってくるわけです。
 なおかつ、今の東京都の23区を見ていると、例えば23区の中で、今回の新型コロナウイルス感染症に対して住民にお金を配る自治体、区もあれば、それができない区もあって格差が生まれてくる。横浜市であれば、市域の一体性の中で、同じ政策を市域で共有するわけですけれども、そういうことができなくなるということはあると思っています。
 ただ一方で、横浜市の特別自治市の場合は、神奈川県から権限と財源を持ってくるということが非常に大きい部分がありますので、それによって特別自治市の局の今の機能については、県の機能を負うことによって、かなり大きな権限を持つことになります。一方で、それだけではやり切れない部分がありますので、当然のことながら、市の中の行政区の部分に大きな権限を下ろしていかなければいけない。
 それによって行政区の中でできることが非常に増えてくることもございますし、特別自治市として区長公選制を取るのかと言われれば、今は区長については議会の承認を得るということにしております。そういう中で、住民の自治機能を強化するということは、横浜市の財源で来たものを、どのように区の中で使えるようになるのか。その予算を使えるということを、どう住民の皆様の監視の下に置くのかということを、今後も追求していかなければいけない課題かと思っているところでございます。

◆荻原副委員長
 最後に、局長におっしゃっていただいた議会が区長を認めるという制度の中で、いかに各区で民主的な予算の決定などを行っていくかという点が大きな課題になろうかと思います。
 私の選挙区の西区では2名の市会議員でございます。これで区長が議会で選任されたときに、議会で認められたときに、区づくり推進会議などが長年行われておりますけれども、より深めた形の民主的な決定を、そしてこれが区としての民主的な最終決定なのだということを、しっかり区職員の皆さんと区民が共有できる仕組みが必要だと思っております。
 その点は、局として今どこまで議論が深まっているのかという率直な思いがあるのですけれども、その点はいかがでしょうか。

◎橘田政策局担当理事兼大都市制度・広域行政室長
 今、委員からお話があった点については、この大都市行財政制度特別委員会の中でも長年にわたって議論していただいて、区民の代表である区選出の市会議員がしっかりそこの役割を果たしていくという議論をずっと長年にわたってしていただいていると認識しております。
 平成25年3月に策定した横浜特別自治市大綱の中でも、そこの部分で、区民の代表である区選出の市会議員が区行政における意思決定の仕組みの中で大きな役割を果たしていくという整理をしているところでございます。
 これを今後、大阪での動き等も踏まえて、現在横浜市の大都市自治研究会という附属機関で、その制度設計の詳細についても議論いただいておりますので、そこでの議論、また、今年度中に答申もいただく予定でおりますので、その答申の中での議論も踏まえて、また、議員の皆様方と御議論いただきながら、市としての考えを次のステップとして整理していく必要があるのではないかと思っております。

◆荻原副委員長
 区における住民自治を深めていくという点を、局の中でもぜひしっかりと議論を深めていただければありがたいと思います。要望いたします。