横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和3年 大都市行財政制度特別委員会

△調査・研究テーマ「特別自治市実現に向けたプロセスの調査・研究」について

○横山[勇]委員長
 議題に入ります。
 調査・研究テーマ、特別自治市実現に向けたプロセスの調査・研究についてを議題に供します。
 テーマに関連し、2つの項目について当局から説明を求めます。
 それでは、初めに指定都市市長会における多様な大都市制度実現プロジェクトについて、当局の説明を求めます。

◎伊地知政策局長
 それでは、11月10日の指定都市市長会、多様な大都市制度実現プロジェクトにおいて取りまとめられました最終報告について御説明いたします。

(中略)

 27ページを御覧ください。
 こちらは、移行手続の手法案の整理といたしまして、2つの案を掲げております。案の1は、地方自治法第6条の2に規定する申請に基づく都道府県合併を参考とし、関係団体からの申請に基づき、内閣が国会の承認を経て定める方法。案の2は、大都市地域における特別区の設置に関する法律を参考とし、別に移行手続法を定めるとしております。
 発意の主体については、いずれも道府県と指定都市の共同申請としております。意思決定の方法は、案の1では、市議会・道府県議会の議決、国会の承認とし、案の2では、市議会・道府県議会の議決、総務大臣の処分としております。
 住民投票の考え方は、いずれも移行に当たって住民代表である市議会及び道府県議会の議決を経ること、また市民目線では市の区域は変わらず、新たな住民負担も発生しないことから、住民投票は制度化しないとしております。
 共同申請に向けた道府県と指定都市の調整の仕組みとして、いずれも地方自治法第252条の21の2に基づく指定都市都道府県調整会議に準じた仕組みや、地方自治法第252条の2の2に基づく協議会の設置に準じた仕組みを参考として、道府県との調整の仕組みを設けるとしております。

(中略)

◆荻原委員
 27ページの移行手続の住民投票の考え方の部分なのですが、住民投票は制度化しないということが特に強調されて書かれておりますけれども、このあたりの議論の経緯など、もう少し深く御説明をいただければと思います。

◎伊地知政策局長
 住民投票をする、しないということに関しては、いろいろな御意見があったと認識をしております。
 先ほど御説明の中でも申しましたように、今回のこの手続に関しましては、移行に当たって市議会、あるいは道府県議会の議決を経ているということや、あるいは市民目線で考えたときに、市の区域は特に変わらないということ。
 そういうようなことを踏まえて、住民投票の制度化までは必要ないのではないかという議論に達したと認識しております。

◆荻原委員
 議会の議決を経る前の段階での住民投票の実施ということは、議論はあったのでしょうか。

◎伊地知政策局長
 特に、細かいところでどの時点で住民投票を行うべきということの議論はあまりなかったと認識しています。

◆荻原委員
 そうすると、議決を経ることという部分については、確たる理由にはならないということになると思うのですけれども、そこはどうなのでしょうか。

◎伊地知政策局長
 そこは住民投票に対する考え方かもしれませんけれども、我々、この議論に参加した者からすれば、住民代表である市議会及び都道府県議会が議決を経ているということで、その民意はその形で反映をしているということから、特別その制度化をしなくてもいいということになったものと考えております。

◆荻原委員
 括弧して、地域の実情に応じ任意で実施とあるのですけれども、この任意というのは議会でそのように決まればという意味合いでしょうか。

◎伊地知政策局長
 どのような形で住民投票をするべきかを決めるというところまでの議論はなかったと考えておりますが、住民投票が必要であるという意見もあったと考えております。
 そういうことを踏まえて、住民投票を全くしなくていいということを決めたわけではなくて、住民投票はその時々の状況に応じて行うことも可とするという意味において任意で実施となっていると認識しています。

◆荻原委員
 そうすると、捉え方としての確認なのですが、住民投票は制度化しないということで全ての意見が集約されたと考える必要はないということでよろしいでしょうか。

◎伊地知政策局長
 この取りまとめとしては、制度化はしないとしておりますので、これは手続法においてそのような住民投票を制度化するということを記載しないということだと認識しています。
 ただし、そこに書かれていないから住民投票全くしなくていいのかということではなくて、それはケース・バイ・ケースにおいて住民投票を選択できるということもあっていいのではないかという意味だと考えています。

◆荻原委員
 この法制化案というのは、大都市制度実現プロジェクトの中においてどういう性格づけがされているのですか。たたき台として出されているのか、それともこの出された案はかなり有力な法制文案として候補となるのか、どういうものなのでしょうか。

◎伊地知政策局長
 制度化するに当たって、どういう選択肢があり得るかということを踏まえながら、これまでの同じような手続法に照らして、このような形があるのではないかというたたき台だと認識しています。

◆荻原委員
 そうしますと、例えばこの特別委員会で委員の皆様方から出される御意見等が様々あろうかと思いますが、そういったものもこれから具体的に反映していただきたいなと思うわけですけれども、それはどのような形で反映されていくことになるのでしょうか。

◎伊地知政策局長
 法制の案をつくる段階において、多分我々のほうにも実際の法律がつくられる案文が示される中で、一政令市としてというべきなのか、指定都市市長会としてなのかは別として、意見を言う機会というのはそれぞれの自治体にもあると思っています。
 そういう際に市会としての統一した見解ということがあるのであれば、それをきちんと反映する機会はあるものと考えております。

◆荻原委員
 横浜市会の中でも、それぞれの都市の議会の中でも、様々な御意見があるだろうと思います。
 市長会の中の議論のみでまず終結をしていただきたくないなという思いがありまして、そういう意味で、それぞれの議会の中で統一されたものがあれば、それは最も理想的かと思いますが、そうでない場合も十分想定されるわけでありまして、それぞれの議会の中で出された意見というものをどのようにこの市長会のプロジェクトで御反映をしていただくことができるかという点はどうでしょうか。

◎伊地知政策局長
 今回のプロジェクトの最終報告として、こういう案ができましたと認識しておりまして、この案がそのまま法律の案になるわけでもありませんし、このまま決定するわけではないとは思っています。
 ただ、各都市の中で様々な議論が行われたことを、どのような正式な形で反映させるのかということについては、プロジェクトとしては一応もう完結をしておりますので、我々として各市がこのような形で報告をいたします中で、いただいた意見について集約をしていくということは今後の検討の中で生かしていくことになると考えています。

◆荻原委員
 最後にいたしますが、そうすると要望いたしたいのは、まず各議会で議論されている内容がしっかりとこの市長会に届くようにしていただきたいと思います。
 市長会側だけで、この法制化案の案文づくりを進めるということでなく、それぞれの考え方の疎通をぜひ活発に図っていただきたいなと思います。
 その点いかがでしょうか。御意見がもしあれば。

◎伊地知政策局長
 少し御説明が足りない部分があったかと思いますが、今後この特別市の法制化を求めていくに当たっては、恐らく指定都市の議長会とも連携をしていく必要があると思っています。
 そういう意味では、市長会としての考え方と議長会としての考え方も一致させる必要があると考えておりまして、そういう手続の中で、今委員がおっしゃったような点についても反映する機会があるのかもしれません。
 それはまだまとまったばかりで、この後どういう手続で進めていくのかということについてまで細かい議論をしているわけではありませんけれども、少なくとも指定都市議長会としても連携をしていく必要があるのかなと思っています。

◆荻原委員
 ぜひ、議会の議論を広く反映する、検討するということを含めたいい案づくりになるように御尽力いただきたいと思います。
 私としては、住民投票については制度化しないと断定的に決めるよりも、住民投票を行ったほうがよいと、その自治体の議会なり長なりが判断したいときに、それはそれできちんと実行しやすいようなそれぞれの自治体の思いがしっかり反映されるようなものになってもらいたいなと私は思います。

(中略)

○横山[勇]委員長
 次に、神奈川県特別自治市構想等大都市制度に関する研究会について、当局の説明を求めます。

◎伊地知政策局長
 それでは、神奈川県の特別自治市構想等大都市制度に関する研究会の最終報告書が11月26日に公表されましたので、御説明をいたします。
 資料の4を御覧ください。
 神奈川県の特別自治市構想等大都市制度に関する研究会の最終報告書の概要をまとめたものになります。第1の経緯についてですが、当研究会は特別自治市構想などの大都市制度を研究するために設置されたもので、行政学、財政学、租税学などの有識者を構成員に迎え、警察や災害、まちづくり分野の専門家の意見聴取も行いながら、計7回にわたる議論を踏まえ、報告書として取りまとめられたものです。
 次に、第2の報告書の概要についてですが、(1)特別自治市構想の根拠に係る論点の考え方として、ア、二重行政と、イ、税制上の不十分な措置に関して見解が述べられています。
 次に、(2)特別自治市構想の内容に係る論点の考え方についてですが、ア、県の総合調整機能への影響、イ、県機関及び県有施設、おめくりいただいて裏面のウ、県の行政サービスへの影響、エ、広域連携、オ、住民代表機能、カ、住民投票等の移行手続という6つの論点に関して、指定都市市長会プロジェクトや本市の特別自治市大綱の内容などを踏まえつつ、研究会としての考え方がそれぞれまとめられております。
 次に、2の提言ですが、(1)二重行政については、県・指定都市の間でいわゆる二重行政の認識にそごが生じている場合には、個別具体的な支障の有無に関し、積極的かつ速やかに協議を行い、双方が共通認識や理解を得る努力をすること。その上で、住民の利益にそぐわない施設整備や施策など、個別具体的な支障があれば、指定都市都道府県調整会議を活用して、施策の見直しや事務・権限の移譲等を行うこととし、当事者同士で解決が困難であれば、第三者である学識者を交えて協議する、さらには総務大臣の勧告も受けながら、具体的な解決を図ることとされております。
 (2)税財源の確保については、県と指定都市は協調連携して、これまで以上に地方の仕事量に見合った税財源の確保を国に求めていくこと。また、当該指定都市に関し、特定の財政需要があれば、法定税の超過課税や法定外目的税などの独自課税の検討が考えられるが、特定の財政需要が県・指定都市に共通する場合には、必要に応じ、県と指定都市が協調連携しながら、法定外目的税などの在り方について検討することとされております。
 (3)県・指定都市間の協議の在り方については、県と指定都市が諸課題の解決に向け、諸施策の連携や事業のすり合わせを十分に行えるよう、指定都市都道府県調整会議の積極的かつ適切な運用を含めた協議の在り方を検討することとされております。
 最後の3、おわりにでは、特別自治市という現行の地方自治制度の抜本的な見直しを検討する前に既存の制度の十分な活用や検討を行い、その行き詰まりの中で、制度の抜本的な見直しを求めていくべきではないかと思われる。神奈川県民・指定都市の市民は、今後とも神奈川県と横浜市、川崎市及び相模原市がしっかりとした協議・協調連携の下、よりよい役割分担を図りながら、行政サービスの向上に努めていくことを期待しているとされております。
 報告書を資料5として参考に配付しております。後ほど御覧いただければと思います。
 神奈川県では、この研究会からの報告書を踏まえ、今後、県としての考え方を整理し、公表する予定と聞いております。本市としてもそうした県の考え方を踏まえつつ、川崎市、相模原市とも連携して研究・検討を進めてまいりたいと考えております。
 御説明は以上となります。

◆荻原委員
 この神奈川県の認識の中で、この研究会の報告書の13ページになりますが、課題に対する考え方の一番最後の段落のところで、仮に特別自治市構想が地方交付税措置対象外経費への対応としての留保財源を含めた財源獲得行動の一環であれば、地方自治体全体が財源不足の中で、道府県・指定都市間の税源の奪い合いでは根本的な解決にならないと思われるという考え方を示されておられます。
 さらに、恐らくこの具体的な内容として26ページ真ん中のあたりになりますが、留保財源やその他財源を含む県の歳入の減が歳出減を上回る結果、横浜が特別自治市に移行した場合だけでも約450億円の財源不足が見込まれるという考え方をお示しだと思うのです。
 13ページにあるように、この財源獲得行動の一環という面に関して、この御指摘について、もし局長として示すことのできる考えがあれば教えていただきたいと思います。

◎伊地知政策局長
 研究者の方々がこの研究会の中で、財源の奪い合いをしてもしようがないよねと言っていることは当然そうだろうなとは思っています。
 ただ、我々は財源の奪い合いをしたいわけではなくて、あくまでも横浜市としてできることを一層制の中で権限を移譲していただき、その権限に必要な財源は当然頂きますよと。
 その中で、一層制である以上、区域内で出る県税に関しては我々が一元的に徴収をいたしまして、もし過不足が生ずる場合にはそれはまた協議しましょうという形で言っていますので、認識がちょっと違うというか、別に奪い合いをするためではないんだけどなというのが正直なところでございます。

◆荻原委員
 この説明が非常に市民、そして神奈川県の御理解を得るに当たっての税制、財源のお話を進める上での大切なポイントだなと私も感じているところでありまして、この13ページにあるように、税制上の措置が不十分な部分は一義的には地方交付税措置がなされているということをこの研究会さんは御指摘された上で、税源の奪い合いでは解決にならないとされておられます。
 この点についての横浜市としての、そういうことではないんだという今の局長の思いが分かりやすく伝わってほしいなというのを非常に強く感じたところなのですが、もしその点の伝え方の部分についてのお考えがありましたら教えてください。

◎伊地知政策局長
 12ページのところに、大都市特例事務に係る税制上の措置不足額ということで指定都市全体として2500億円があります。この件に関しては、ある意味、国に対して我々が大都市の事務に応じたしっかりとした税源をくださいということをもう何十年も訴え続けているわけです。
 一方、議論が少し変えられているなと思ったのは、その財源不足と我々が特別自治市を目指す中で権限に応じた財源をしっかりともらいますよということを混同されていると、我々ちょっと認識しているところはあります。
 なので、この報告書の中で、しっかりと国に対して訴えていくべきだ、それはもう十分我々としてはやっているつもりですと。それでも、なかなかそれは実現していない中で、権限も大都市であり370万人を超える人口を抱えるしっかりとした行政組織を持った横浜市がほかの都道府県と同じような事務ができないわけはないんだと。それをしっかりとやらせていただくだけの財源をくださいという話は、ちょっと別の話なんだということをしっかりと説明をしていかなければいけないのかなと思っています。

◆荻原委員
 そこを踏まえて、今度35ページになるのですけれども、権限の移譲イコール財源をしっかりと確保する必要があるという話になると思うのですが、それを踏まえてこの研究会の御提言があると思うのです。
 35ページの上から3行目には、市域内における地方の事務・権限及び税財源を一元的に担う一方、その内部構造として現行と同じものを設置するということにとどまる場合は、住民との距離が遠くなり、住民自治拡充の観点からは住民のメリットにつながらないという懸念があると。したがって、住民自治の在り方の検討を深めていく必要があるというお考えを示されておられます。
 先ほどの住民投票の件もそうなのですけれども、住民投票についても次の36ページに、住民が移行手続に参加できるよう投票手続が必要と考えるというお考えも示されております。つまり、権限と財源の議論というのは直接的に住民の生活、メリットに影響を与えるから住民自治の在り方、それから移行に当たっては住民にしっかりと意思確認をするべきだというお話だと思うのです。
 そうなると、先ほどの市長会の案とはかなり擦れ違いが生じてくるように思うのですけれども、このあたりの局長のお考えとしてはどうでしょうか。

◎伊地知政策局長
 住民投票の移行手続に関して、この県の報告書上のポイントというのは、県から独立しようとしている横浜市民の意思だけではなくて、その影響を受けるだろう県民全員に住民投票をかけるべきと、そこにポイントがあると思っています。
 そこが、我々が権限を一層化することでその財源を県から移譲してもらうだけだからそこまでの必要はないですよねという立場であることに対して、いえいえ、横浜市からもらっている税金は圏域全体に対して配っているのです。もっと言えば、横浜市以上に横浜市の税金をそれ以外の場所に使っているのです。
 だから、横浜市が独立されてしまうとその税金の使い道が変わってしまうので、圏域全員の住民の意思を聞くべきだというところにポイントがあると考えていまして、我々の考え方としては、住民投票を取る、取らないではなくて、どの範囲に意見を聞くのかということに関して県の税金の使い方の部分まで入ってくるんだなという感想です。
 それがいいか悪いかということは考え方の違いでもありますので、私がこう言うべきではないのかもしれませんけれども、そういう違いがあるとは認識しています。

◆荻原委員
 恐らくこの36ページに示されている投票手続については、県民を対象とするのか、市民を対象とするのかというところについては、県側としては県民を対象にすべきという御意見をされているということであって、我々としては市民を対象にという意見をここで示すことができると私は思うのです。直接的に住民の生活に大きく関わってくるんだと。したがって、住民にしっかりと移行するかしないかということについて投票をしていただくという考えそのものについては、先ほどの市長会の案の中で住民生活に影響が及ばないということも書かれておりましたので、ちょっとそのことについて御指摘をいたしたいなと思ったものです。
 住民生活に非常に大きく関係のすることである、だからこそ我々は特別自治市を実現したいんだということでありますので、ぜひその点は横浜市として住民投票を実施するということの重要性についても包含した議論を進めていただきたいなと私としては思っております。
 その点について何か御意見があればお願いいたします。

◎伊地知政策局長
 住民投票というものをどういう機会に行うべきかというのは、非常に今議論があるところだなと思っていますし、それを行うに当たって住民投票で行うべきなのか、それを論点とした市長選挙を行うべきなのか、それぞれ考え方もあるのかなと思っています。
 ただ、当然のことながら住民投票というのは制度上認められた制度ではございますので、そういうものをこういうときに活用するべきだという考え方もあるということは承知をしております。

◆荻原委員
 最後にいたしますが、この神奈川県の今回示された考え方というのは非常に我々が乗り越えるにはハードルの高いものも含まれておるでしょうし、しかし大変示唆に富んだ部分もあろうかと思っております。
 特に、私はこの35ページの海外の事例等を参考にして、しっかりと区の中における住民自治の在り方を検討していくべきだという御意見などについては非常に傾聴すべきところがあるなと感じておりますので、ぜひこの県から出された研究会の報告書を十分にそしゃくしていただいて、議論を進めていただきたいなと要望いたします。