横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和 4年 令和4年度予算第一特別委員会

△教育委員会関係 

○高橋[の]副委員長
 質問の通告がありますので、順次これを許します。
 まず、荻原隆宏委員の質問を許します。

(拍手)

◆荻原委員
 おはようございます。立憲民主党、荻原隆宏です。どうぞよろしくお願いいたします。まず、中学校給食について伺います。
 デリバリー型の中学校給食が始まってもうすぐ1年がたとうとしております。我が国では近年共働き世帯が大幅に増えました。
 1980年には夫のみ収入源の世帯が1114万世帯と共働き世帯が614万世帯でありましたのが37年後の2017年にはこれが逆転をいたしまして、夫のみ収入源の世帯は641万世帯、共働き世帯が1188万世帯という状況となっております。
 子育てに資金的にも時間的にも余裕のない中奮闘されている保護者の皆様の暮らしを支えるべく、我が会派は横浜市においても全ての中学生に中学校給食を提供できる体制を整えるべきことを訴えております。
 現時点、選択制の給食という位置づけにとどまってはいますけれども、学校給食法に沿い横浜市が実施主体となって献立の作成、衛生管理などを行い実質食材費が60円増額される形ともなりまして食材の充実も図られております。
 ハマ弁時代と給食化したこの1年と喫食率にどのような変化が見られたか、ハマ弁時代からを含めて現在までの中学校昼食、給食の生徒の喫食率の推移とその評価について教育長に伺います。

◎鯉渕教育長
 中学校給食関係の喫食率の推移ですが、ハマ弁開始初年度となる平成29年3月の0.9%以降徐々に利用が進み、最終年度となる令和3年3月は12.1%となりました。
 給食として開始した令和3年4月は21.7%となり、その後も継続して目標の20%を上回る利用となっております。
 市が責任を持って給食を提供するということに対する期待の大きさや生徒や保護者の声を真摯に受け止め改善に取り組んできたことが利用促進につながったものと捉えております。

◆荻原委員
 ハマ弁時代は一桁台と低迷していた喫食率が直近12月では20.7%ということでございますけれども、令和4年度予算案ではこれを30%を想定して予算が計上されているということでございます。
 ハマ弁の時代の喫食率は生徒と教職員を合算したものだったということでございますが、しかし、給食の本来目的は生徒の成長を支えるというものでありまして、今後、指標として市民と共有すべきはまず生徒にどれだけ給食を提供できているかを示す生徒の喫食率ではないかと思います。そこで、令和4年度目標喫食率30%を含めて、今後市民に示す喫食率は生徒だけの喫食率であるべきと思いますが、人権健康教育部担当部長に伺います。

◎田中人権健康教育部担当部長
 ハマ弁を実施していた当時は生徒と教職員の食数を基に喫食率を算出していました。中学校給食としてスタートした令和3年4月以降は生徒のみの食数を基に喫食率を算出しています。
 そのため来年度も生徒の喫食率で算出し30%となることを想定しています。より多くの生徒の皆様に御利用いただけるようさらなる利用促進に取り組んでまいります。

◆荻原委員
 ありがとうございます。令和4年度予算案では、新一年生に給食を推奨するさくらプログラムを現在の86校から全ての中学校である145校に全校展開すると示されております。
 今年度実施した86校の一年生においては4月からここまでの間で約4割で推移していると伺っておりますけれども、さくらプログラム全校展開に期待する効果について教育長に伺います。

◎鯉渕教育長
 さくらプログラムの取組につきましては、生活のリズムが大きく変わる中でスムーズな中学校生活への移行ができるよう4月からの一定期間中学校給食の利用を推奨するものです。通学距離が長くなる、荷物が増えるなど生徒の通学負担の軽減や御家庭でのお弁当づくりの負担が軽くなることのほか、誰もが給食を利用しやすい環境づくりにつながることを期待しております。

◆荻原委員
 より多くの生徒に安心して給食を食べてもらって、生徒の皆さん、保護者の皆さんの負担が軽減されるという取組をしっかりとしていただきたいと思います。
 給食の利用を増やしていく取組の一方で喫食率30%という目標、こちらでは学校給食法の本来の趣旨を踏まえましてもまだまだ不十分であると言わざるを得ませんし、来年度中に喫食率30%を超えていくということも十分に想定をしなければならないと思います。このたびより多くの生徒に給食を提供することを目指して中学校給食の専任体制を設置することが示され、全員喫食の実現に向けて市民の関心や期待が高まっております。2月18日の予算代表質疑におきまして、我が団の団長である大山議員の質問に対して山中市長から、自校調理方式、親子方式給食、センター方式のほか、デリバリー方式も含めあらゆる手法を選択肢に横浜市にとって最適な手法を検討すると、このように答弁もありました。
 そこで、より多くの中学生に給食を提供していくとの市長の意向を実現するロードマップについて教育長の考えを伺います。

◎鯉渕教育長
 今後の中学校給食の在り方につきましては、4月に設置される専任体制を中心に課題の整理や実施スケジュール等の検討を進めてまいります。
 あわせて、新年度に入りさくらプログラムを全校展開し、利用が進んだところで生徒や保護者のニーズを把握することができるようアンケートの準備も進めているところです。
 次期横浜市中期4か年計画の素案の中で一定の方向性をお示しできるよう検討を進めてまいります。

◆荻原委員
 デリバリー型給食の推進については予算案にも示されているところでございますけれども、その他の方式についての議論につきましては教育委員会においてどのようになっているのか、今のところ予算案を見る限り明瞭には見えてきません。そこで、デリバリー方式以外の方式の検討の状況が今どうなっているか、教育長に伺います。

◎鯉渕教育長
 現在、自校調理方式や親子方式、給食センター方式につきましても課題や実施スケジュールの整理を進めているところです。
 本市には日本最大の生徒、教職員合わせて約8万3000人に対してどのようにして供給体制を整えるかという大きな課題がございます。新たに設置される専任体制の下、本市にとって最適な手法を検討してまいります。

◆荻原委員
 あらゆる選択肢をしっかりと検討していただきまして、全員喫食に向けた道のりをしっかりと検討していただきたいと思っております。教育時報という、横浜市教育委員会がかつて発行していた発刊物がございまして、この29号、昭和30年7月発行のものとなりますが、この中に当時の教育委員長の言葉が掲載されております。給食法制定1周年に思うというタイトルでございまして、次のような一節があります。途中略している部分もございます。
 これ、これというのは学校給食を指します。これを小学校の6か年間のみに打ち切るごときは国民の健全発育の初期においてその方法を誤るものと言わなければならぬ、国においては給食法制定の際衆参両議院により義務教育の中学校にまで実施することの附帯事項が決議までされているのは当然のことであると、このように書かれております。
 給食法制定当時の横浜市教育委員会としては中学校給食を当然に実現したいという思いを持っていたことが伝わる文章だと思います。また、昭和45年12月の横浜市会本会議の議事録には、中学校給食の実施を求める議員の質問に対しまして当時の教育長が何分にも急増する児童生徒の収容対策に追われており中学校のミルク給食は当分の間実施を見合わせざるを得ませんという答弁がありまして、中学校給食をやりたい、そうしたいができないという苦しさが伝わる答弁が残っております。学校給食法は、戦後復興期の誰もが苦しい時代、社会がどのような状況にあっても、それでも子供たちの発育はしっかり社会全体で支えようという崇高な理念を持って制定されたものと思います。
 そうしたいができないというニュアンスから、いつの頃からか家庭弁当が基本となったそういった時代もございましたけれども、ようやく選択制の給食というところまでまいりました。
 今こそ中学校給食の完全実施という横浜市の本懐を遂げるときなのだろうと私は思っております。ぜひ教育委員会には、学校給食法に基づき、山中市長の下、多くの市民が期待を寄せている全員喫食の中学校給食の実現に向けて今まで以上に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、学校給食法制定の趣旨、山中市長の公約を踏まえ教育委員会としても全員喫食を前提とした検討を進めるべきと思いますが、教育長のお考えを伺います。

◎鯉渕教育長
 市長より、学校給食法の趣旨を踏まえ栄養バランスの取れた給食をより多くの生徒に提供したいという意向が示されております。
 教育委員会としては、生徒の成長を支えるためにも給食の環境を整える必要があると考えておりまして、新たに設置される専任体制を中心に着実に検討を進めてまいります。

◆荻原委員
 全員喫食を実施しないという前提に立ったこれまでの議論はしっかりと卒業していただきまして、山中市長の強い意向、学校給食法の趣旨、市民の思いをしっかりと重く受け止めていただきまして、新たに設置する専任体制で全員喫食を実施するという前提に立って、より多くの生徒に給食を提供していくための前向きな検討を着実に進めていただくことを強く要望をいたします。次に、学校給食に関しましてもう一つ、食材についてお伺いをさせていただきます。中学校給食を含めまして小学校、そして特別支援学校においての給食には食材の基準に定めがあるとお伺いをしております。非常に多くの規定があると伺っておりまして、これを一体どのようにチェックしているのかというふうにも思いました。学校給食の安全安心な食材の確保のための取組状況につきまして人権健康教育部担当部長にお伺いをいたします。

◎田中人権健康教育部担当部長
 学校給食の食材調達でございますが、小学校はよこはま学校食育財団が物資規格を定めて調達を行い、中学校は本市が物資規格を定め給食製造事業者が食材の調達を行っております。
 また、物資の安全安心の確保につきましては業務委託を行いまして各種検査を実施し、物資規格に適合していることを確認しています。引き続き安全安心な学校給食を提供できるよう努めてまいります。

◆荻原委員
 国産比率など地産地消にも関わる大切なことでございますし、食材の安全は学校給食の根幹でございますので、安心安全な食材の確保にしっかりこれからも取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、みなとみらい本町小学校についてお伺いをいたします。みなとみらい本町小学校は令和4年度開校から5年目を迎えます。
 みなとみらい本町小学校はみなとみらい地区の居住エリアの充実が進んだことで中区にあります本町小学校の児童が急増するということになりまして、暫定利用によって10年たったら閉校して本町小学校に戻るという前提で設置をされたものでございますが、みなとみらい本町小学校に通う地域の皆様からは、みなとみらい本町小を閉校しないでほしいというお声をこれまでたくさんいただいてまいったところでございます。
 生徒数は4年前の開校時で289名だったものが今年度は410名と大幅に増えておりまして児童数は増える傾向にございますが、今後のみなとみらい本町小学校の児童数の見込みについて施設部長にお伺いいたします。

◎君和田施設部長
 令和3年5月1日現在、みなとみらい本町小学校の一般学級児童数は410名、13学級でございますけれども、令和3年度義務教育人口推計では令和9年度には581名、19学級に増加する見込みでございます。
 現在、通学区域内において大規模なマンション開発等も計画されていることから令和10年度以降も児童数は増えていく見込みでございます。

◆荻原委員
 児童数が今後も増えていく傾向が見込まれる中で、みなとみらい本町小学校を10年で閉校するのは難しいのではないかと思いますが、現実問題として校舎が10年以上の使用に耐えるものになっているのかどうか念のために確認をしておきたいと思います。これは施設部長にお伺いをいたします。

君和田施設部長
 みなとみらい本町小学校は10年暫定の小学校であるため解体のしやすさ等を考慮し鉄骨造の校舎としておりますが、学校施設として必要な性能や環境は確保しており、10年を超えても安全に使用することができます。
 また、校舎の耐震性についても建築基準法で求められる基準を上回る耐震性能を確保しております。

◆荻原委員
 児童数が増える傾向が見えていることからも、暫定期間以降の適切な教育環境の確保を考えれば10年で閉校ということにはならないと思います。
 みなとみらい地区のまちづくりが市内外の多くの方々に支持されているからこそ若い世代がみなとみらいに住んでくださり、将来の夢を託してくださっていると思います。
 この期待に応えるために良好な教育環境の整備は欠かせないと思います。暫定利用期間10年後以降も継続して学校を運営する必要があると思いますが、教育長の見解を伺います。

◎鯉渕教育長
 みなとみらい本町小学校が立地するみなとみらい21地区は横浜経済を牽引していく業務集積地であり、まちづくりの基本的な考え方では小学校の設置が想定されておりません。
 そのため10年間の暫定土地利用の承認を受け開校した経緯がございます。学校の在り方につきましては、今後のマンション開発の動向や児童数の推移などを踏まえて関係局等と課題を整理し検討していきたいと考えております。

◆荻原委員
 みなとみらい21地区は、1960年代から六大事業の一角をなす人口急増時代に様々な課題を抱えた横浜市が自分の足で市政を運営するのだという横浜の自立をかけた誇るべき開発事業であると私も教えられてまいりました。
 バブルの崩壊、リーマン・ショック、これらのダメージも乗り越えて、多くの先人の努力によって今まさに多くの人々の共感を得てみなとみらいに多くの市民の皆様が住んでくださっていると思います。
 この横浜市の価値をさらに高めていくためにもみなとみらい地区における小学校の存在は欠かせないものと考えています。
 みなとみらい21地区の魅力あるまちづくりのために同地区に小学校があり続けることの重要性について、これは城副市長にお伺いをいたします。

◎城副市長
 現在においてもみなとみらい本町小学校においては、みなとみらい21地区の特色を生かして周辺企業との協働によりSDGsをテーマとした取組などを行っておりまして先進的な教育活動を行っていると考えております。
 今後、この地区に小学校があり続けることについては、先ほど教育長からお答えいたしましたけれども、関係局と課題を整理して検討していきたいと考えております。

◆荻原委員
 みなとみらい地区の地域防災拠点は実はみなとみらい地区にはございませんでして、戸部小学校となってございます。非常に遠い場所にあります。
 みなとみらい本町小学校は10年でなくなるので地域防災拠点に設定できないと伺っておりますけれども、みなとみらい地区は公民館などの地域の公共施設も不足をしており、住民の皆さんが行政サービスを円滑に受けられるか不安を抱えておられる状況もございます。一方でみなとみらい本町小学校は、地域の方々の熱意によって総合型地域スポーツクラブみなとみらいクラブというクラブがございますが、この拠点としても活用されておりまして、様々なスポーツを地域の皆さん、子供たち、そして企業の皆さん、体育館を利用してスポーツを楽しんでいただいております。
 小学校を拠点にして地域が輪となってみなとみらい地区の価値がさらに高まっているということを感じておりますが、防災の観点、地域コミュニティーの形成の観点、みなとみらい本町小学校の存在はこれらの観点が極めて重要だと思っております。
 そこで、地域の公共施設としても末永く有効活用をしていただくべきだと思っておりますけれども、城副市長のお考えを伺います。

◎城副市長
 委員御指摘のとおり本市の公立小学校というのは、地域の防災あるいはコミュニティーの拠点として、地域におけるまちづくりの中心的な役割を担っていただいていると考えております。
 みなとみらい本町小学校については暫定的な小学校ではありますが、地域の実情、ニーズを的確に把握し、現時点においてもみなとみらい21地区のまちづくりも考慮しながら地域の公共施設としての在り方というのは検討できるのだろうと思っております。
 今後、関係局区を含めて検討していきたいと思います。

◆荻原委員
 ぜひみなとみらい地区のさらなる飛躍のためにしっかりと関係局並びにYMMなどのみなとみらいの皆さん、地域の皆さん、市民の皆さんとしっかりと連携をしていただいて、みなとみらい本町小学校が暫定利用期間10年以降も存続できるようにしっかりと着実な検討を進めていただくよう強く要望をいたします。
 次に、副学籍交流についてお伺いをいたします。特別支援教育の中で副学籍交流という、副というのは副委員長などの副でございますが、副学籍交流という、住んでいる学区の学校にも学籍を置いて交流をすることができるという制度があると伺いました。副学籍交流というものはまずどのような取組なのか、インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャーにお伺いいたします。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 副学籍交流は、市立特別支援学校に在籍する児童生徒のうち希望する方が居住する地域の小学校や中学校にも副次的な籍を置き交流及び学習を行う取組です。
 昨今の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ実施を見合わせることもあることから令和2年度の交流実績は約100名にとどまりますが、例年であれば200名を超える児童生徒がこの制度を活用して子供同士が触れ合い、学び合っております。

◆荻原委員
 インクルーシブ教育が今後の超高齢社会の日本にとって非常に重要な中にあって、副学籍交流というのは大変大切な役割を持っていると私はお伺いしたときに感じました。
 インクルーシブ教育の重要な点の一つは人間の持つ多様性への理解を深める点にあると思います。人は皆違いがあるもので、基準となる人間像、こうあるべきだという絶対的な人間像などはないと思いますし、生まれた誰もが幸せに生きる社会を実現するためにも、子供たちが何の垣根もなく交流を深めていくことは極めて意義深い取組だと思います。
 そこで、ぜひ今後も積極的に推進していただきたいと思いますが、今後の取組についてインクルーシブ教育エグゼクティブマネジャーにお伺いいたします。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 様々な工夫を凝らしながら副学籍交流を活発に行っていきたいと考えております。新型コロナウイルスの感染拡大を受け直接的な交流を控える傾向にある中、手紙や手づくりの作品の交換など間接的な交流を実施している学校もあります。
 加えて最近ではGIGA端末などのICT機器を活用してリモートで授業に参加し、一緒に課題に取り組むといった事例も出ています。こうした好事例を各校で共有し、多様な交流につなげてまいります。

◆荻原委員
 ぜひリモートなどの多様な取組について今後も工夫を続けていただきながら取り組んでいただきたいと思います。
 副学籍交流の今後の取組について教育長のお考えもお伺いをしたいと思います。教育長の意気込みをお願いいたします。

◎鯉渕教育長
 私もこうした副学籍交流は大切な働きではないかと思っております。現在、新型コロナの感染拡大を受けまして対面での交流を控えざるを得ない中ではありますが、各校では様々な工夫をしております。
 よりよい交流を行うためには、手法の工夫に加えまして双方の教員が交流の意義や特別支援教育を深く理解することが欠かせないと考えております。
 引き続き、特に特別支援学校の教員が中心となりましてイニシアチブを取って、誰もが住み慣れた地域で自分らしく暮らすことができる共生社会の実現に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

◆荻原委員
 どうぞよろしくお願いいたします。次に、認知・非認知能力調査研究及び新たな教育センターについて伺います。令和4年度の新規事業として認知・非認知能力調査研究事業というものがございます。
 意欲や共感力、好奇心といった非認知能力と学力向上との関連性などについて、児童生徒の表情や発話をICT技術などによって調査分析するということでございます。
 算数、国語、理科、社会などの学習度合いをテストで可視化するということはおなじみでございますが、意欲や共感力や好奇心、これらの度合いを可視化するのは難しそうだとも思われますけれども、しかし、こういった分野の能力が子供の幸せにとってとても重要だというお話も聞きます。そこで、この事業を行うこととなった問題意識と狙いについて学校教育企画部長に伺います。

◎石川学校教育企画部長
 学校教育の中では、意欲や好奇心、共感性などの能力を体験的な学びや協働的な学びの中で育んできました。これらの能力は非認知能力としてこれからの社会において一層大切になると考えられるため、概念の整理や学力との関連について明らかにする必要があります。今後は、学校での教育活動の状況や客観的なデータを基に非認知能力について大学や企業と連携し研究を進めてまいります。

◆荻原委員
 そういった問題意識と狙いを踏まえて令和4年度以降の具体的な取組はどのようなものになっているのか、これも学校教育企画部長にお伺いいたします。

◎石川学校教育企画部長
 市内の小中学校の児童生徒を対象に毎年実施している生活・学習意識調査について、令和4年度から新たに非認知能力に関する項目を拡充し実施いたします。
 また、非認知能力調査の研究校を募集し、モデル的に一部の学級で定点カメラや発話の量を測定するICT機器を設置し、協働的に学んでいる状況などを可視化し調査をいたします。
 調査結果は専門的知見のある大学等と連携しながら経年で分析し、長いスパンで研究を進めてまいります。

◆荻原委員
 旧市庁舎の駅を挟んで吉田新田側にあった教文センターが耐震構造の理由によって取り壊されまして、現在も新たな教育センターの再生が望まれているところだろうと思います。
 新たな学びの創造、仮称としてスマート教育センター、この狙いについてこれは総務部長にお伺いいたします。

◎近藤総務部長
 新たな教育センター、仮称でございますが、スマート教育センターを整備する狙いでございますが、GIGAスクールの推進を踏まえ、最先端のICTや児童生徒のデータを活用した調査研究を企業、大学等と連携して進めることで児童生徒の学力向上や教員の授業改善に役立てようというものでございます。また、現在市内に分散している人材育成機能や教育相談等の機能を集約、ワンストップ化することで連携強化や利用者の利便性向上を図ります。

◆荻原委員
 教育センターの整備のスケジュールについても総務部長に伺います。

◎近藤総務部長
 本年の8月に事業者を選定し、10月に基本協定を締結する予定でございます。その後は事業者と基本設計に向けた協議に入り、実施設計、工事を経て令和10年度の供用開始を予定しております。
 データを活用した研究など、教育センターの各機能において開業までに先行して実施できる取組は順次進めてまいりたいと考えております。

◆荻原委員
 ジタル社会にあってより重要度を増しているのが人間の心、人間性ということだと思っております。ICTやデータはあくまで手段でございまして、どんな幸せのための手段であるのか、何を実現するためなのかが非常に大切なのだろうと思います。児童生徒のより多くの可能性を引き出して自尊心の育ち、自己実現につながる支援をお願いしたいと思っております。
 他者との競争のための非認知能力というよりも、その人にとっての幸せの選択肢が増えるということが実現の目標であるべきだと思いますが、認知・非認知能力のデータを活用した新しい取組を始めるに当たり不安を抱く保護者や市民の皆様もおられるのではないかとも思います。
 そこで、EBPMにおけるデータ活用に当たっては保護者や市民の皆さんが御不安に思わない配慮に取り組むべきだと思いますが、教育長のお考えを伺います。

◎鯉渕教育長
 非認知能力などの調査研究では児童生徒の教育活動等に関するデータを取り扱う場合がございます。この際には児童生徒の学力向上や心の理解、教員の授業改善、人材育成に資するなどデータの活用目的を明確にする必要がございます。
 あわせて、個人情報についても条例に基づき適切に対応してまいります。保護者の皆様にもこうしたことを御説明した上で丁寧に進めてまいります。

◆荻原委員
 どうぞよろしくお願いいたします。最後に、スクールソーシャルワーカーについてお伺いをいたします。令和4年度は新たにユーススクールソーシャルワーカー1名を配置すると伺っておりますが、ユーススクールソーシャルワーカーを配置する理由と期待する役割について人権健康教育部長にお伺いいたします。

◎木村人権健康教育部担当部長
 ユーススクールソーシャルワーカーでございますが、将来への進路決定をしていく10代後半以降の生徒が通う学校において、特に中途退学者や進路未決定の卒業者については社会的な自立に向けて支援することが必要です。
 ユーススクールソーシャルワーカーは定時制高校や中学校夜間学級等を担当し、定期的に巡回訪問しながら教員とともに課題を抱える生徒を必要に応じて福祉や医療と密接な連携を図りながら支援してまいります。

◆荻原委員
 OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを担当するトレーナースクールソーシャルワーカー4名は引き続き配置するということでございますが、こういった取組の中でスクールソーシャルワーカーの人材育成の取組状況について人権健康教育部担当部長にお伺いをいたします。

◎木村人権健康教育部担当部長
 平成30年度から学校教育事務所に統括スクールソーシャルワーカー4名を配置し、スクールソーシャルワーカーの管理、育成体制を構築しております。
 さらに、令和3年度にはスクールソーシャルワーカーのOJTを行うトレーナースクールソーシャルワーカー4名を配置し、学校で一人職場となるスクールソーシャルワーカーの孤立を防ぐとともに人材育成体制の整備強化に努めております。

◆荻原委員
 スクールソーシャルワーカーの人材育成の取組の中でどういった課題が見えてきているか、お伺いをいたします。

◎木村人権健康教育部担当部長
 スクールソーシャルワーカーは、児童福祉や子供の発達、学校組織や文化などの様々な知識に加えケースワークの技術など福祉と教育の両面に高い専門性を持つ人材の育成が必要となっております。
 その一方で社会福祉の中でも歴史の浅い分野であり、現時点では教職員定数法に位置づけられていないため本市に限らず契約年限のある会計年度任用職員が中心となっており、課題となっております。

◆荻原委員
 非常に課題として重く受け止めておりまして、教職員でないということによって、このスクールソーシャルワーカーさんが会計年度任用職員ということで5年限定のいわば非正規雇用ということなのだろうと思います。
 こういう形ではなかなか人材の定着も難しいのではないかと感じました。特に若い世代に長く働いてもらう、キャリアを積んでいただくということが望まれると思いますけれども、どういった対策を講じることができるか、スクールソーシャルワーカー活用事業の今後の取組について教育長のお考えを伺います。

◎鯉渕教育長
 スクールソーシャルワーカーは現在チーム学校の一員として欠かせない存在となっております。
 今後は大学が行っておりますスクールソーシャルワーカー養成への協力などによる優秀な人材の確保や本市社会福祉職との研修、交流、人員増による学校滞在時間の延長や支援の質の向上と体制の拡充強化について検討を行ってまいります。
 また、正規職化につきましても引き続き国に要望してまいります。

◆荻原委員
 非常に大切なスクールソーシャルワーカーの存在意義だと思いますので、今後とも人材の育成と確保に取り組んでいただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

(拍手)