横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和 4年 こども青少年・教育委員会

△児童虐待による重篤事例及び死亡事例検証報告について

○麓委員長
 次に、児童虐待による重篤事例及び死亡事例検証報告についてを議題に供します。
 当局の報告を求めます。

◎吉川こども青少年局長
 それでは、お手元に配付しております資料、児童虐待による重篤事例及び死亡事例検証報告書の概要版を御覧ください。
 令和元年度に市内で発生した児童虐待による重篤・死亡事例の3例に関し、外部の有識者からなる横浜市児童福祉審議会児童部会児童虐待による重篤事例等検証委員会による関係機関へのヒアリング、調査・分析等及び再発防止に向けた検証作業が終了し、検証報告書を受領しました。
 検証委員会による検証結果について報告するとともに、検証報告書を受け、再発防止に向けて本市が取り組む方向性について報告いたします。
 それではまず、1、検証の目的について説明いたします。
 本検証は、児童虐待の防止などに関する法律第4条第5項に基づく厚生労働省の通知を踏まえ、児童虐待により子供がその心身に著しく重大な被害を受けた事例について、事実の把握や発生要因の分析を行い、必要な再発防止策を検討することを目的として実施するものです。なお、検証は、関係者の処罰や批判、責任追及を目的とするものではありません。
 続いて、2、児童虐待による重篤事例等検証委員会委員については、資料に記載のある6人の委員に検証していただきました。
 次に、3、開催概要と検証経過についてです。令和3年3月の第1回から1年かけ、8回の検証委員会が開催されました。
 それでは、4、検証結果の報告に移ります。

(中略)

 最後に、事例Ⅲの報告となります。
 まず、事例の概要についてです。市外で、児童と実母が死亡しているのが発見され、心中であったとの情報を把握した事例です。この事例は要保護児童としての登録はありませんでしたが、区こども家庭支援課が障害児支援の関わりはあった事例です。
 (1)事例検証により明らかになった問題点・課題のうち、ア、区こども家庭支援課の障害児支援についてでは、(ア)初回相談の対応、(イ)障害児支援のアセスメント力について、イ、学校の対応について、ウ、心中は児童虐待であるという視点について御指摘を受けました。
 (2)課題解決に向けた改善策の提言については、ア、区こども家庭支援課の障害児支援について、(ア)障害児支援に当たっての相談対応、(イ)障害児支援のアセスメント力の向上について、イ、学校内の再発防止策と教育と福祉の連携の強化、ウ、子どもを巻き込む親子心中について提言をいただきました。
 次に、これらの提言を受けて、本市では次のように取り組みます。
 専門職(社会福祉職等)障害児支援指針に基づき、相談対応時に取り組むべき姿勢等の障害児支援に必要な考え方について、会議や研修で周知していきます。
 区こども家庭支援課は、障害児支援を行う中で、虐待リスクを見逃さないよう、多職種での協議の場を活用し、組織的な判断を行う取組を徹底します。
 子どもの権利を守るために適切な対応が行えるよう、教育委員会との連携を強化します。
 親子心中は児童虐待であるという視点を高めるため、関係機関向けに研修を実施します。
 報告は以上でございます。
 今回、多くの課題・改善策の提言が示されました。今回の検証結果を踏まえ、今後もさらに対応力を高め、より一層、児童虐待対策を強化してまいります。
 なお、今回報告いたしました事例の検証報告書は、プライバシー保護の観点から個人が特定されないように配慮して記載されておりますので、御理解ください。

○麓委員長
 報告が終わりましたので、質疑に入ります。

(中略)

◆荻原委員
 今、有村委員からもお話がございました事例のⅢのケースについて、本児には重度の知的障害がありということですが、この障害程度はA-1であったということでしょうか。

◎武居こども福祉保健部長兼こどもの権利擁護担当部長
 お見込みのとおりです。

◆荻原委員
 この児童の入所の希望はあったのでしょうか。

◎武居こども福祉保健部長兼こどもの権利擁護担当部長
 サービスの利用については、ここに記載されている放課後等デイサービスの利用のみでした。

◆荻原委員
 特にそういった希望は把握されていないということでしょうか。

◎武居こども福祉保健部長兼こどもの権利擁護担当部長
 記録に残っている限りではお見込みのとおりです。

◆荻原委員
 NHKでも昨今、全国でこの重度障害を持たれる方の入所待機者数が非常に増えているという報道がございましたし、私自身もかつて働いていたところの経験から、入所待機者の方々は相当数おられるのではないかと思います。
 こういったケースで、相談体制の在り方にも関わってくると思うのですけれども、レスパイトも含めて入所の可能性について、我々横浜市、本市が把握できていないというケースの中で、非常に重篤な事態に発展しているということを踏まえましても、本当に入所を必要とされている方々というのは非常に多いのではないかとも思いますし、そのことの実態把握は本当に早急に行う必要があるのではないかと、今日の御報告を受けても思いました。
 この数年来、私はこれは健康福祉局の所管であろうという思いを持って、この入所待機者の本市における実態把握を、その数を含めてしっかり把握してほしいということを要望させていただいてまいりまして、やります、やりますと健康福祉局はおっしゃっていましたが、進めることがこの数年、新型コロナウイルス感染症の対応もあったかと思います。なかなか進んでいないのではないかと思うのです。
 ですので、こども青少年局としても、入所を希望される方々への対応をぜひ相談体制のレベルから強化していただきたいと思っていまして、実態把握を含めて、この点の施策を進めてほしいと思うのですけれども、その点の御所見を伺います。

◎武居こども福祉保健部長兼こどもの権利擁護担当部長
 まず、今回の事例検証は児童虐待という観点からでしたので、委員御指摘のような、このお子さんの親御さんに施設入所の希望があったか否か、あるいは施設入所を御案内すべきであったかどうかというところの検証は実はできておりません。
 そういう前提でということになりますけれども、御指摘のように保護者の方の状況であったり、その御家庭の状況に合わせて適切なサービスの提案ができていたかどうかというところは非常に重要な課題だと思っておりますので、しっかり持ち帰らせていただいて、健康福祉局とも検討していきたいと思います。
 そういう意味では、概要版に、報告書を受けての本市の取り組む方向性の一番最初に記載している専門職の障害児支援指針ですけれども、これは区の窓口で対応に当たらせていただいている専門職の運営指針ですので、ここのところでも今の御指摘も踏まえて、しっかり取り組んでいきたいと思いました。

◆荻原委員
 長年、地域移行ということで、なるべく入所に至らないように各地方自治体が、これは国の方針によってその努力が求められてきたという流れの中で、一方でその負の部分が現れてきていると思っております。
 健康福祉局では、国の地域移行の方針を踏まえた範囲内での御対応になっているようでございますけれども、今後は、地域移行のよい点を生かしつつも、入所によって得られる幸せというものも、障害当事者の皆さんにはあろうかと思いますので、その点もこども青少年局として、相談体制の中でその御本人にとってよい育ちにつながる一つの選択肢、サービスの一つとして、そのこともしっかり念頭に置いた御対応をいただきたいと思います。
 これは最後に局長の見解をください。

◎吉川こども青少年局長
 委員の御指摘、まさに重く受け止めたいと思います。
 もちろん、未就学児からスタートしてということの中で18歳を迎えて、また、18歳以降は障害児の福祉から障害者の福祉に切り替わっていくタイミングというところの中で、どうそこを丁寧に接続して、御本人の幸せ、生活を支えていくかというところが非常に大事かと思います。
 地域移行の部分に関して申し上げますと、やはり障害児から障害者に切り替わるその18歳のタイミングで、では、これからどうしていこうかというところが一つのボトルネックみたいになっている状況もございますので、今年度から健康福祉局、こども青少年局、それから障害者の施設、区役所も含めて、そこの連携のところのつなぎとか意向のところについて、できるだけ早めに高校生の年齢ぐらいになったところから、将来を見据えて、では、どう支えていこうかということを御本人の意向も踏まえて、丁寧に取り組んでいくという取組を今年度からやっていくことになっております。
 また、その中でいろいろな課題などもまた新たに見えてこようかとも思いますから、それも踏まえて、しっかりとした健康福祉局との連携の中で取り組んでいきたいと思います。

◆荻原委員
 保護者の方が、この子が大人になったらどうなるのだろうという非常に切実な悩みを、この子が将来自立できないまま、そして入所もできないままにどういう人生になってしまうのか。
 そういうことにしっかり早い段階で、本市がその悩み解消のためにしっかりサービスを提供できる、寄り添えるという体制を整えていただきたいですし、そのために実態把握にしっかり努めてください。要望いたします。

△小中学校における医療的ケア児の支援について

◆荻原委員
 私からは、小学校における医療的ケア児への支援について、幾つかお伺いいたします。
 昨年6月に公布されて9月に施行となった医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、施行後初めての年度が始まっているわけでありますが、この間、私の元にも具体的な保護者の方からの御相談もあり、施行後初めての年度が始まって2か月がたって、今現在、教育長としてどのような課題意識を感じておられるかを、まず確認いたします。

◎鯉渕教育長
 一般の小中学校での医療的ケアにつきましては、私ども平成29年にモデル事業で、たんの吸引をするところから始めて順次拡大してきておりまして、今、経管栄養と導尿は基本パターンとしてやっております。
 この3種類が一番安定的にできる医療ケアだと思っておりますが、今現在、それ以外のことについても、訪問看護ステーションから看護師を送っていただいており、主治医の方たち、また私ども審査会も持っております。
 それから、訪問看護ステーションが対応できるのかという問題もございますので、そういったことや何かで現実に御相談をいただきながら、対応できるところを探っているということを順次進めております。
 私どものやっていることと趣旨が同じ法ができて、後押しをしていただいているのかなと受け止めております。

◆荻原委員
 平成29年から始まって今年で6年目になろうかと思いますけれども、今現在、横浜市の状況としては、医療的ケアの内容として、今教育長がおっしゃっていただいたように、喀痰の吸引、それから経管栄養、胃ろうなど、それから導尿、この3つが具体的にある中で、4つ目の項目として、その他教育長が必要と認める医療的ケアということが示されているのだと思います。
 私が御相談を受けて数か月がたっています。私が感じた課題意識といたしましては、この法が施行されたことによって、平成29年からのおよそ5年間とはまた違うステージに入っているということを踏まえた上での課題感ですけれども、新たに対応していかなければならない分野についての支援ニーズへの対応の体制です。そのスピード感が少し遅いのではないか、スピード感に欠けるのではないかというのが私の今の率直な課題感でありまして、その点について幾つかお伺いいたします。
 まず、今横浜市が実施している医療的ケアの内容として、先ほどの具体的な3つに加えて、その他教育長が必要と認める医療的ケアというものがあります。この4がどのように実践されていくのだろうかというのが、先ほど教育長がおっしゃったどのような対応ができるかを探っているという具体的な部分だろうと思うのですが、教育長が必要と認める医療的ケアについては、どのように検討して、どのような形で決定しているものなのかということについてお聞きしたいと思います。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 この事業につきましては、平成29年度から開始する経過の中で、先ほど教育長が申し上げたように、対象となる医療的ケアのお子さんの御相談があるたびに拡大、拡大という経過をたどっております。
 現在、先ほど申し上げた3種類のほかには、在宅酸素療法といった対応についてはしているということ、あと併せて血糖測定というニーズも上がっているところでございます。
 血糖測定につきましては、現時点では自己測定をなさっているお子さんが小中学校の中には多々いらっしゃいまして、養護教諭の見守りの下で血糖値を測定して、高い、低いによっての対応をしているケースもございます。ただ、中には血糖のコントロールがスムーズにいかないお子さんについて対応していくといったことを様々積み重ねているところでございます。
 そのほかにも、医療技術の進歩の中で様々な状態のお子さんがこれからも出てくるだろうというところで、要は、医師が全くいない学校現場でどのように安全にやっていけるかということを考えながらということでございますので、今委員から御指摘のあったスピード感とのバランスの問題だろうと現時点では考えております。

◆荻原委員
 具体的に酸素療法と血糖測定の事例について、これは拡大している部分としてお伺いいたしましたが、これは対応していこうと決定していくプロセスについて、どのようになっているかということを確認いたします。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 それぞれのお子さんごとに医療的ケアの御相談を、学校ないしは私どもにいただくところからいろいろなことがスタートしてまいります。ケアの内容であるとか、看護師による実施の必要性などを主治医から御意見をいただくことをしております。
 最終的には、外部の小児専門医とか、医師会の代表、また養護教諭の代表、学校の代表を集めた医療的ケアの実施調整会議で御意見をいただいて、教育長が決定していくという段取りになるのですけれども、その決定するまでの間に、主治医の確認とか、また学校の環境の中で安全に実施できるかとか、実際にケアを実施できる看護人材の確保も大きな課題でございます。
 先ほどのこども青少年局での議論にもありましたとおり、小児の看護が十分にできる方の確保も難しい中で、現在、訪問看護事業所とのいろいろな調整を重ねながら、1件1件丁寧に確認し決定しているというプロセスでございます。

◆荻原委員
 医療的ケアの実施調整会議と今おっしゃっていただきましたけれども、この実施調整会議というのは、いつ、どのように開かれているのでしょうか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 会議につきましては、定例で年4回を基本としております。それは、入学や進級に合わせた4月の前の2月、また入学後発生する様々な状態への対応とか、また新規で御相談があったりとかの5月、あとは夏休み明けからの対応に備えた8月、冬休み明けの対応に備えた12月といった形での開催としております。基本的には、学校の節目に合わせてケアが開始できるようにといった形を基本としております。

◆荻原委員
 この実施調整会議において新たに発生した医療的ケアのニーズについて、やるかやらないかということの御判断をされているということですか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 最終的にやるかやらないかは、教育委員会で教育長が決定することにしておりますけれども、何分、医学的な様々な判断を伴うものですので、その意見を基に決定するということでございます。

◆荻原委員
 この点は確認しなければならないのですが、私は入学前の時点から御相談を受けていまして、その保護者の方は、横浜市は先ほど申し上げた3つのケアしか対応ができないので、その範囲内での対応と言われているのだけれども、しかし非常に特殊な症状の中におられるお子さんでございまして、それでは間に合わないという状況の中で、何とかこのその他教育長が必要と認める医療的ケアというところでの対処をお願いできないかということだったのです。
 この間何度かお話をいたしましたが、なかなか進まない。何でだろうと思いながらも、保護者のお母様と私自身も悩みながらこの間過ごしてまいりましたが、今お伺いすると、お母様からは、教育委員会からは、その新しい対応については8月の審議会にかけるということだったのです。だから、それでは時間がかかり過ぎではないかと私も思います。その間に何かあったら、我々横浜市は責任を取り切れない。
 今お伺いしたら、入学後の状況に合わせて5月というお話ですけれども、これは何か会議の内容とか性質に違いがあって、また別の会議の話だったのか。その点を確認したいと思います。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 申し訳ありません、個別の状況についてあまり詳細にというところが難しいのではあるのですが、今委員に御相談なさっているお子さんのことに関しましては、主治医と2回にわたって御意見を伺いつつ、実際に入学前の2月にかけた後、学校入学後の状況についても、再度主治医と確認しながら進めております。
 現時点では、この対応でという御意見ももらっている中で、そうはいっても医療的ケアのあるお子さんの保護者の方のお気持ちを考えると、十分に寄り添えていなかったというところもあろうかと思いますので、また、対応としては丁寧に進めてまいりたいと思っております。
 また、当然緊急の対応が主治医の御意見も含めて必要な場合には、随時でも開催してまいりますので、そういった対応をこれからも話合いを重ねながら進めてまいりたいと考えております。

◆荻原委員
 その緊急の対応というのを今まさに検討されているという状況の中で、保護者の方は心配されているのです。その緊急対応についてすら、いつ答えが出るか分からない。保護者の方は、8月に新しい対応については審議にかけられる。その結果、できないかもしれない。そういう中にあって、その御不安は相当なものだろうと私は思っておりまして、今おっしゃったように、十分に寄り添えていないという状況を一刻も早く改善していただきたい。
 医療的ケアの支援法にもしっかりと書かれているわけです。これは、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律なのです。ですので、家族に対することについてもしっかり条項で定められています。第3条第4項ですが、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を講ずるに当たっては、医療的ケア児及びその保護者の意思を最大限に尊重しなければならないと条項としても定められていますので、その点は、主治医の方はもちろん、保護者の方とのコミュニケーションをしっかり取っていただいて、保護者の方の思いをしっかり尊重して反映していただきたい。私は、それがこの医療的ケア児法の趣旨で具体的な要請だとも思いますので、その実践をしっかりやってください。
 先ほどの実施調整会議というもので、今回私が御相談を受けているケースは5月にしっかりお話合いをいただけたのではないですか。その点はいかがでしょうか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 5月は、このお子さんの保護者の方との話合いを続けていたということで、実際に医療的ケア児法も4月から始まって、要はお子さんの状態としては一定安定しているという中で進めてまいりましたので、5月に関しては対象のケースがないという形で対応いたしましたけれども、また委員の御指摘も踏まえて、対応としては検討してまいります。

◆荻原委員
 どういった形での検討をしていただけるのでしょうか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 実はつい先日も、主治医の方の御意見を聞いたということがありますので、そのあたりを踏まえて保護者の方とお話をしながら進めてまいります。

◆荻原委員
 今、保護者の方が求めていらっしゃるケアの内容について、今教育委員会は検討しているという形にとどまっているわけでして、それについてはどのように今後決定を進めていただけるのでしょうか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 今、結論までは御答弁申し上げることができませんけれども、先ほど来、委員のお話にあるように、保護者の意見を最大限尊重するということは法の趣旨でございますので、そこにのっとった対応を進めてまいります。

◆荻原委員
 保護者の方の思いというのは、あした何が起こるか分からないという御不安なわけです。それにどのように応えていくかという部分が、私この間、皆さんともお話をしながら非常に大きく感じているところです。
 教育委員会としての手続上、これは時間がかかるのでしようがないのです、難しいのですということとはまた違う話ですから、保護者の方の思いにどのように応えていただけるのかをお伺いしています。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 先ほど来申し上げておりますように、医療機関でない、誰も医療職のいない学校の中でどのような対応をしていくかといった前提の中でどこまでお応えができるか。その制限の中での対応でございますので、もちろん最大限、御意向を尊重しつつ、できる対応を整理してまいります。
 その際には、保護者の御意向を確認しながら、またあわせてお子さんの医療的ケアからの一定程度の自立とか、特になるべく対応しないで済むように、学校での生活になるべく制約がなく授業が受けられる。医療的ケアの対応をする場合には教室から離れて対応していかなくてはなりませんので、そういったことがなるべく少なくなるようなことを併せて考えながら、特に医療的ケアのあるお子さんの親御さんは、本当に子供を守らなければいけないといった思いを非常に強くお持ちであるということがございますので、その思いを受け止めながらも、お子さんの医療的ケアからの自立といった観点も含めてどのような対応をしていくか考えていきたいと思っております。

◆荻原委員
 今お話をしている方は小学校1年生ですから、自立的観点と教育的観点と具体的に命に関する観点、その点のバランスは間違わないでください。
 先ほどお話しいただいた実施調整会議は、保護者の方に8月に審議会がありますとお伝えいただいていた会議のことなのか、確認させてください。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 すみません、詳細につきましては、直接担当いたしました医療的ケア担当課長の藤原から答弁申し上げます。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 まず補足でございますが、この方に関しましては、2月の入学前に既に一度実施調整会議にかかりまして、必要な医療的ケアの範囲も主治医からの御意見に基づいて決定しておりまして、4月から医療的ケアは既に開始されております。そして、緊急対応につきましても、現在、一般の小中学校でできる範囲の緊急対応について学校側とも確認ができておりまして、いざというとき、低血糖ですとか発作が起こったときの対応についてもきちんと確認が取れております。
 文部科学省でも、病状が不安定な方、例えば通院治療、入院治療で必要なことは医療的ケアの範囲ではないという考え方の提示もございます。この方の病状不安定な御不安、保護者の方のお気持ちは本当によく分かるのですが、学校で対応すべき範囲なのか、医療にお任せする範囲なのか、医療的ケアに関してはまだ前例があまりございませんので、様々なところに確認しながら、今、実施調整会議の委員とも御相談をしております。それによりまして、少し早めに臨時会を開いたほうがいいだろうということになれば、当然8月以前に少し臨時会などの検討をしていくということも同時並行で調整を進めております。
 基本的には当該児童・生徒は、今落ち着いて学校生活を送っていられますので、その安全管理は今きちんと進めておりますが、プラスアルファの緊急対応に関しましては、医療との責任分担のところでどこまでやるべきかということを、専門的にこれから関係の委員の皆様に御意見を伺いながら、また文部科学省とか厚生労働省にも問合せをしながら進めていきたいと考えております。

◆荻原委員
 今の答弁もありがたいのですが、8月の審議会と私が先ほどお聞きしたのは、実施調整会議なるものが、保護者の方が聞かれていた、それに相当するものなのかどうか。その確認です。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 保護者の方にも実施調整会議という言い方を適切にできていなかったのかもしれませんけれども、同じものを指しております。

◆荻原委員
 そうしますと、先ほどの説明では定例的に5月に開催されるということでしたが、私としては、そこでどうしてお話しいただけなかったのかと思うのです。この点いかがでしょうか。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 5月に審議すべき案件が学校から上がってくれば、それで審議という形になりますが、今回は5月にまだ保護者の方の御意向などいろいろ調整しておりまして、学校側から案件として上がってきておりませんでしたので、5月の開催は実施いたしませんでした。

◆荻原委員
 しかし、8月になりますという御説明をされていましたね。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 定例の開催でいいますと、次の開催は8月になりますと説明いたしました。

◆荻原委員
 それは5月の開催は終わったからということでしょうか。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 そういうことでございます。

◆荻原委員
 5月の開催は何月何日だったのですか。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 5月の開催に向けて、委員の方々の日程調整をして確保しないといけませんので、定例日ということで毎年決まっているわけではございませんで、4月ぐらいから準備を始め、5月の開催になります。ですので、5月の時点で次の開催の調整をしたとしても、当月中に実施するのはなかなか難しい現状がございます。

◆荻原委員
 5月は開催されたのですね。開催日はいつでしたか。

◎藤原特別支援教育課担当課長
 本年度は案件の提出がございませんでしたので、実施しておりません。

◆荻原委員
 これまで説明と、私自身がお伺いしていた話と、それから保護者の方の問題意識、それらを含めて考えると、先ほどの佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャーの答弁にあった入学後の様子が見られる、見るということで5月というのがせっかく定例的にある中で、今回初めて入学されて、様々御不安がある中で、具体的に教育長が必要と認めることについての検討をしてほしいのだということをずっとお訴えされておられたと思います。
 なぜ5月に開催されなかったのか。私としては、これまでの間の経緯を踏まえても不思議に思います。教育長、これはどういう状況だとお思いですか。

◎鯉渕教育長
 そういう意味では、当局内部での検討、実施調整会議に諮れる状態になっていなかったということで開催に至らなかったということではないかと受け止めております。

◆荻原委員
 それはひとえに内向きの議論ですね。教育委員会の中で調わなかったらやらなくていいという話ではないと思います。
 状況として、教育長がどれだけの報告を受けていらっしゃったのか私は分かりませんけれども、この点、お伺いしましょう。教育長は、このケースについてはこれまで把握はされておられましたか。報告は受けていましたか。

◎鯉渕教育長
 そういう意味では、個別の報告を受けたのは、荻原委員からの指摘が出てからではないかと思います。
 全体的な考え方を申し上げますと、この要綱をつくったときから、その他というのがあるという前提で私ども要綱をつくっております。ただし、現場として対応できるかというのは、安全管理の問題で大きな課題になりますので、協力していただける訪問看護ステーションがなければどうにもならないことでございます。
 それと、全体としては医療関係者の判断がございますので、主治医の判断、調整会議の判断、それから訪問看護ステーションができるのかどうかということも実施側としては考えなければならないということで、保護者の意向に全てかなっているわけではないのですけれども、我々として医学的に必要な範囲の対応は現時点でしているつもりです。

◆荻原委員
 まず、なぜ定例とされている実施調整会議を5月に、今回のこのケース、お話合いをいただけなかったのか。
 この点について、教育長の今のお考えを聞きたいと思います。

◎鯉渕教育長
 先ほど答弁したとおりで、主治医の方も含めて調整はしてきて、4月以降の状態で対応を続けるということで取りあえずの判断はされたと思います。それ以上のことについて実施するということに至らなかったということではないかと思います。
 すみません、その事務をやっているわけではないので、その程度のお答えということで御勘弁いただけたらと思います。

◆荻原委員
 先ほど私が、教育長の御答弁は教育委員会の内向きの話で内部の話だと。それは、今の保護者の方と児童が置かれている立場、状況を改善、解決していくことにはなっていないということを指摘しているのです。手続上、学校からそれが上がってきていないからいいということで本当にいいのかという話です。
 だって、保護者からの相談は来ていたではないですか。それを、新しくできるかどうかは8月になりますと答えたのですから、5月にできたのではないですか。それを指摘しているのです。

◎鯉渕教育長
 これまでも断続的に主治医との調整をしておりますので、そうした中で、また実施主体側にも相談しながら協議をして、この件、検討を続けているということで、何もしていないということではないと御理解いただけたらと思います。

◆荻原委員
 何もしていないとは申し上げておりません。どうして5月に開かなかったのか、なぜ5月の話をしていただけなかったのか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 私からお答えいたします。
 実際にその他教育長が認める場合になるのかどうかに関しましては、入学前の実施調整会議で決定していたということでございます。
 その後の入学後の親御さんからの御要望につきましては、主治医の見解、また実施調整会議の委員とは、我々、様々な医師会の先生とか子供の専門病院の先生と、個々対応を確認しながらやっている中で、これ以上のことは現時点では必要がないという御見解もいただいていたということで、5月の実施調整会議にはかけなかったという側面もございます。

◆荻原委員
 では、保護者からはどのように御意見をいただいておりましたか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 緊急のときに何かがあったらどうするのだといった御意見は、ずっとこの間いただいております。
 そこに対しては、こちらとしては意を尽くしてきたつもりではございますけれども、十分に伝わっていなかったことについては本当に反省しております。

◆荻原委員
 5月の話は保護者の方にしていただけたのでしょうか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 先ほど申し上げたとおり、現時点ではこの対応でといったやり取りの中で、5月に開く開かないといったお話そのものはしておりません。

◆荻原委員
 委員の方々、本当に長くなって申し訳ないです。
 保護者の方は、8月では間に合わないという切実な思いを持っておられます。だからこそ今私もお伺いしていまして、私もそう思っていましたから。
 2月と8月は存じ上げていました。ただ、それがどういう名前の会議体か分からなかったのですけれども、今初めて分かり、しかも年4回だと。そのことも含めて保護者の方にお話しいただけていなかったことは、私はもっと保護者に寄り添っていただきたいお話だと率直に思います。
 また法律の話で恐縮ですけれども、この医療的ケア児法の施行後、それまでとは違う大きな点としては、地方自治体が小学校における医療的ケアについては責務になったという点だと思います。第5条では地方公共団体の責務がうたわれて、施策を実施する責務を有する。さらに、第7条では学校の設置者の責務としても定められていて、設置する学校に在籍する医療的ケア児に対し適切な支援を行う責務を有するということになっています。
 したがって、確かにこども青少年局でも議論があったように、医療的ケアを行う担い手の問題は、地方公共団体と学校設置者である教育委員会が責任を持って実施できるようにしなければならないというのがこの法律の趣旨だろうと思います。
 そこで、先だっての委員会でも教育長が御答弁でおっしゃった、学校は病院ではないからという御答弁は、私は正直、最初からブレーキをかけていないかという思いがしました。本日の御答弁でも、看護の担い手も難しいというお話の中で、しかし、できないできないということでは、保護者に十分寄り添っているということにならない、その思いを十分に尊重していることにはならないと私は思います。
 学校が病院ではないのだからできないというお話をして、そうですねと納得する親などいないです。私はそう思います。私は、学校がやれることを尽くすということをもっと保護者の皆さんに伝えてください。伝えていただいている現場の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、尽くすということは、今おっしゃったように、5月の本当は開くことができた実施調整会議の話とか、そういうコミュニケーションが全く教育委員会側から情報提供が足りていない状況が今現実にあるということで、私は尽くせていないと思います。
 そんな中で、教育長が、いや学校にできることには限界があるのだということで、あしたどうなるか分からないという部分での保護者の思いに応えていただきたい、そういう意味での先ほどの私の質問ですので、これらを踏まえた上で、もう一度教育長の所感を伺いたいと思います。

◎鯉渕教育長
 すみませんが、私は教育委員会、また学校としてできることを尽くしているつもりです。
 それで、この分野のことにつきましては医学的な判断がなければ、看護師というのは医師の指示に基づいて医療行為を行います。医師の指示がなければ行えません。また、能力を超えていることについてもやはり行えないのです。
 そこは厳然とした、我々が看護師しか置いていないという対応がまずいと言われればそうなのかもしれませんが、それ以上の対応ができるということではありませんので、その辺は、現実に何ができるかとの兼ね合いを探りながら医学的な判断を受けることは必要だと思っております。

◆荻原委員
 その判断を早くしていただきたいということです。もちろん前向きな形で。
 今は5月の実施調整会議も飛ばされた状態で保護者に説明が行っていたのです。私、これは、学校にできること、教育委員会にできることを尽くしていないと思います。でも、5月の話は説明の中になかったのですから。

◎鯉渕教育長
 5月の調整会議のことを伝えていなかったのは私どもの落ち度かもしれないというのは、委員とのやり取りを聞いていて思います。
 ただ、この間、主治医とのやり取りはずっと続けているのです。その中での判断を受けて、我々の今できることはここではないかということを、我々としても判断しているということです。
 そして、それを、訪問看護ステーション側も医療者ですから、医学的な判断でこう下されているということでなければ動かないです。そこは御理解いただきたいと思うのです。

◆荻原委員
 今の教育長のお話は、御担当の藤原課長から非常に丁寧に御教示いただきまして、私もなるほどと思っているところですし、そういうものだろうと思います。
 今、教育委員会としてやるべきは、それがスムーズにいけるように仕組みづくりをすることだと思うのです。いかに緊急時に主治医の先生の指示が学校現場にいる看護師が指示をもらって動けるかどうか。今は看護師がいない場合に緊急事態が起こったときどうするのかということ、今それが検討状態にあるわけです。
 だから、教育長のおっしゃっていることは、そうですけれども、今、保護者の方、それから主治医の先生も含めてだと思います、私が伺っている限り。横浜市に判断していただきたいのは緊急事態のときです。そのときにどうするかということなのです。それが8月まで、いつ、どのように解決されるか分からないというペンディング状態にあるのです。それをスピード感を持ってやってもらいたい、それが私の申し上げたいことです。私も言葉が下手で、伝え切れない部分があると思いながら、今埋めながら話をしていて、委員の方々にもこんなに時間を取っていただいて本当に恐縮です。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 私から答弁いたします。
 緊急事態の対応については、既に主治医の先生から、このような形ということではいただいています。ただ、緊急事態になったときの対応を、状況に応じて、要は指示書にないような事態も含めて、たった一人の看護師がそこで判断してやるところをどのように埋めていくのかということが大きな課題だと思っております。
 スピード感という点では御指摘をされているところでございますけれども、学校の現場の状況の中でどのように対応するかといったことでは、申し訳ないのですが時間がかかっているということでございます。そのように御理解ください。

○麓委員長
 荻原委員も、そろそろまとめてください。

◆荻原委員
 これまでの間、私は、てっきり8月まで審議会で保護者の方が求めていらっしゃる内容を話し合うことすらできないという認識でおりましたが、現実はそうでなかったという部分について、教育委員会はしっかり反省してください。今日お話を伺った中で。教育長、それはどうですか。

◎鯉渕教育長
 十分伝えていなかったということについては、おわび申し上げます。

◆荻原委員
 今も保護者は教育委員会の意思決定を待ち続けています。それには、まだ最終決定に至らないまでも、初めて学校にお子さんを通わせている中で医療的ケアが必要で、先ほど、状態はいいというお話をされていましたけれども、突然の発作は十分想定しなければいけないわけです。
 だから、私は今日の御答弁を聞いていても、もっと保護者とコミュニケーションをしっかり取って、その思いに寄り添っていただきたい。もうこの言葉しか、私はうまく伝えることができていないかもしれませんけれども、教育委員会の皆さんが私におっしゃっていただくことと、保護者の方から伺うこととの間がどんどん開いていったのです、この数か月。教育委員会が頑張っているけれどもなかなかできない。できることとできないことがある。そのことでは保護者の方の今直面している課題は解決できない。そういうお答えを持っても。それは、教育委員会自体が前のめりに解決していかないと。これは今までできないと思われていたことだったけれども、それを打破していくという思いで保護者の方ともっと密に話合いを持って、今御答弁を聞いている中でも、保護者の方との話の食い違いというのを感じますから、保護者の方ともっと話し合う機会を持っていいのではないですか。これは御担当に伺います。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 この後、主治医の意見も含めて、また保護者の方とは共有しながら、なるべく御不安を和らげていけるような対応をしてまいります。

◆荻原委員
 そこは具体的に解決していってあげていただきたいのです。

○麓委員長
 御意見として、荻原委員、どうぞ。

◆荻原委員
 これは担当にもう一回答弁を求めます。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 対応ができる範囲でという前提はどうしても現時点ではついてしまいますけれども、御不安を軽減するような対応をしてまいります。

◆荻原委員
 それは、具体的にきちんと保護者の方のニーズについてしっかり検討して、週に何回でも保護者の方としっかりお話をしていただきたいのです。8月まで答えが出ない状態をもうずっと続けていただきたくないのです。この点、どうですか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 週に何回といったことについては明言できませんけれども、対応はしてまいります。

◆荻原委員
 最後に、また法律の話で恐縮ですが、先ほどの医療的ケア児支援法の第10条第2項に、先ほど来、看護師の話がありましたけれども、保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするために、学校の設置者は看護師等の配置その他の必要な措置を講ずるものとするということがあります。また、人材の確保として、補足の中には第20条として、医療的ケア児に対し、医療的ケアその他の支援を行うことができる人材を確保するため必要な措置を講ずるものとするということがございます。
 先ほど、なかなか難しいという現実のお話もある中で、しかし前進していってほしいと思います。看護師等その他の配置等に必要な措置を今後どのように講じていくかを最後に確認いたします。これは教育長にお願いします。

◎鯉渕教育長
 私ども、先ほど来申し上げているとおり、平成29年からこの事業を開始しておりまして、こういう思いで、保護者の御負担にならないようにできるだけのことを実施するという考え方に立って、今年度もその他分野で2事例を加えているということです。引き続き努力してまいります。

◆荻原委員
 この医療的ケア児支援法の冒頭の目的、第1条の中に、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資しということも書いてあります。保護者の方がお仕事を離れる必要のない状況をつくる。この点に関しても、今回のケースについては横浜市が取り組むべきことは山ほどあると認識しておりますので、ぜひ力を込めて対応を進めてください。
 長くなりました。ありがとうございました。