横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和 4年第3回定例会

△市政一般について

◆(荻原隆宏君)
 立憲民主党横浜市会議員団の荻原隆宏です。市政一般につき山中市長に質問いたします。
 学問分野から転身され山中市長が就任されて1年がたちます。様々な発見とともにいろいろ戸惑いもあったのではないでしょうか。政治家としての1年を過ごされて感じた率直な感想を伺います。
 また、この1年で市政全般について改めて課題と感じたことは何か、また、その解決に向けての展望などを聞かせてください。
 次に、福祉人材の処遇改善について伺います。
 この数年、資格保持者や一定の期間勤務した従事者に対する加算が国により認められてきましたが、実際にどのように支給額が推移しているのかについて市は詳細を把握していないと聞いています。福祉分野への民間参入によってより厳しいコスト管理のしわ寄せが賃金に寄せられている可能性もあり、実態把握が急務と感じます。特に20代、30代、40代と長く働いた場合にどのような収入の増加が期待できるのかは、将来ある若い世代にとって人生設計の大切な判断材料になります。
 そこで、市内の福祉関連事業所において実際に支払われている給与額について、職種、雇用形態、年齢なども含めて給与の実態把握を行うべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 利潤を追求する市場経済の在り方は時に社会に過大な負荷がかかるとの観点から、エシカル資本主義という概念も言われ始めました。コロナ禍を世界が経験する中で、福祉や環境、人権などの政策は、構造的に格差を生んでしまう資本主義の負の側面を補完、修正するためにあるのではなく、よりよい人生を確保する福祉などの政策実現のためにこそ資本主義を活用する社会に変えていくべきであり、そのために他者を思いやる倫理観を包摂する資本主義が必要だという概念が改めて見直されていると思います。SDGsの広がりもその現象の一つなのだと思います。利潤を増やすことが目的ではなく倫理や良心にかなう社会をつくるために利潤を生かす社会とするためには、福祉はそのメインエンジンとなるべき分野であり、そういった観点からも、高齢社会を乗り越えるに当たり福祉分野を支える人材の育成と確保は不可欠と考えます。
 そこで、長くキャリアを積みながら自分の人生も他人の人生もともに豊かにできる社会を実現するため福祉に携わる人々の給与を上げるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 イギリスとアメリカにリビングウエイジという制度があり、それぞれの都市や地域で暮らすため必要な賃金額を国の最低賃金とは別途それぞれの地方自治体などが定める賃金制度があります。イギリスは国全体のリビングウエイジもあり、ロンドンには事業者が自主的に守るリビングウエイジ額の設定があります。日本には産業別最低賃金制度がありますが、労働組合が結成されにくい福祉分野においては賃金交渉も困難です。横浜市において、まずは福祉分野においてこのリビンウエイジ制度を設けることによって横浜の福祉人材を安定的に確保する一策としてほしいと考えます。
 そこで、福祉分野において国の最低賃金に上乗せして横浜市内の福祉従事者に支払う賃金の目安となるモデル賃金を設定してはどうかと考えますが、市長の見解を伺います。
 また、海外のリビングウエイジ制度を参考に事業者の支払い義務を伴わない福祉従事者のリビングウエイジ額の設定を始めてはどうかと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、バリアフリーの推進について伺います。
 現在、ブルーライン新横浜駅ホームの一番前と一番後ろの車両のドアに車椅子で介助なく一人で乗り降りできる段差解消のスロープがつけられ大変好評とのことです。私も直接車椅子御利用の市民の方から、ぜひこれを全駅展開してほしいと要望をいただいているところです。グリーンラインは既に隙間と段差は解消されているとお聞きしましたので、市営地下鉄ブルーラインの全駅においてホームと車両の隙間及び段差解消の整備を早急に進めていただきたいと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、障害ある方への合理的配慮の提供の推進について伺います。
 昨年、障害者差別解消法が改正され、全ての民間事業者に障害ある方に対する合理的配慮が義務づけられました。横浜市障害者差別解消の推進に関する取組指針において、合理的配慮が十分になされていない場合、紛争解決の手段として事業者に求める対応について市長にあっせん申し立てができるとお聞きしましたが、障害者の皆さんにとってこの手続自体が重荷であり、合理的配慮をめぐる調整役を行政が日常的に担うことが求められるのではないでしょうか。その際、行政にリソースが足りなければケースワーカーや社会福祉士、行政書士などの福祉につながる民間資格者の方々の力をお借りすることも考えられるのではないでしょうか。
 そこで、合理的配慮の提供を実効性あるものとするため、今後、行政内部、指定管理者をはじめ民間事業者に対しどのように働きかけ、どのように関わっていくか、市長のお考えを伺います。
 また、障害ある方が事業者に合理的配慮を求めたいときにどこに相談したらよいか分からないという状況とならないよう相談窓口の明確化と丁寧な周知を行うべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、知的障害者施設などの入所待機者の把握について伺います。
 NHKの報道では、知的障害者など施設への入所ができず待機している方々の人数は全国に延べ約1万8000人おられるとのことです。しかし、この待機者数については全ての都道府県が把握しているわけではなく、把握していても恐らく把握手法はばらばらであり、国も特に調査を求めてはいないとのことです。横浜市においても把握はしていないと伺いました。親亡き後、重度障害にある方々にとっては、入所、あるいは重度障害に対応可能なグループホームなどを利用できるのかどうかについては極めて重要な問題です。暮らしの選択肢は市がしっかりそろえてニーズに応えられない状況にしてはならないと思います。
 そこで、横浜市においても福祉施設への入所を希望している方や緊急性ある待機者の数をしっかり把握するべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 スウェーデンなどでは障害のある方が個人で契約するパーソナルアシスタンスという生活支援制度があると聞きました。札幌市では既に補助制度が始まっているようです。施設の準備が間に合わない場合に選択肢としてあり得るのかどうか、検討に値するのではないでしょうか。
 そこで、横浜市におけるパーソナルアシスタンス制度の導入の可能性について市長の見解を伺います。
 次に、歩きたくなる道、まちづくりについて伺います。
 並木道の木立は夏には涼しい木陰をつくり、外出しやすい空間にしてくれます。冬には路面店が多くあれば、歩きながら寒くても楽しいウインドーショッピングができます。横浜駅から赤レンガやクイーンの塔、山下公園などを経て元町商店街に至る都心臨海部を一筆で横軸に描く、緑も豊かで路面店も並ぶ歩く道があれば多くの市民の憩いの道となり、より多くの来街者に楽しんでもらえ、日本大通りや伊勢佐木モールなど都心部へのいざないにもつながり、横浜がよりにぎわうのではないでしょうか。
 そこで、楽しみの多い歩きたくなる道づくり、まちづくりを都心臨海部で進めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 横浜駅から元町商店街の間に再整備が可能な空間として東横線跡地があり、現在遊歩道としての計画を進めているところと思います。単に歩くだけの道ではなく、ほこみち制度など国の新しい制度を活用しながらより魅力的な歩行空間整備に取り組んでほしいところです。
 そこで、東横線跡地は都心臨海部全体の魅力向上を目指した計画とすべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 東横線跡地の整備に当たっては、エリアマネジメントの発想で地域の皆さんやJRや横浜みなとみらい21など周辺事業体の皆さんとよく連携しながら横浜のブランド向上のための整備を進めていただくよう要望いたします。
 次に、特別市と住民自治、とりわけ行政区における民主的機能について伺います。
 市が7月に発表した特別市制度の説明を読ませていただきましたが、気になる点がありました。一層制という表現が明記されている点です。特別市制度が市民にもたらす効果として「大都市の自立(一層制)により二重行政を完全に解消し、市民サービスの向上を実現」との説明がありますが、都市の自立と一層制とは果たして同義なのか、また、一層制にすることが本当に市民サービスの向上につながるのかは注意深い議論が必要と思います。一層制は結果的に中央集権です。特別市が目指しているはずの住民目線の真の地方分権の実現とは真逆の方向に向かう可能性も生じてしまいます。
 特別自治市のパンフレットの15ページに海外の都市事例としてマンチェスターなどが中央政府直下の一層制自治体に見える説明図がありますが、厳密に言えばマンチェスターは合同行政機構として人口約280万人のグレーターマンチェスターがあり、その中に人口約55万人のマンチェスター市を含む10のバラと呼ばれる自治体があり、一層制とは言えません。人口規模で言えばグレーターマンチェスターが横浜市の規模であり、マンチェスター市を含む10の自治体はそれぞれ横浜市内の行政区に当たります。グレーターマンチェスターは公選市長を持ちます。10のバラにはそれぞれ議会とリーダーがいます。この10の自治体のリーダーがグレーターマンチェスター市長の内閣を構成し、民意を重層的に政策反映する仕組みを整えています。
 地方分権を進めるのであれば、民意の合意形成は広く大きい自治体ほど細分化された民主的機能が必要です。特別市制度は日本社会全体の改善や利益につながる新たな都市制度を提示するものであるべきで、各方面の御理解をいただくためにも、横浜市行政は神奈川県の干渉を排除しきめ細かな民意の反映をおろそかにするとの誤解が生じないよう、一層制についての議論には正確な情報に基づく細心の注意を払っていただきたいと思います。
 そこで、特別市制度の議論において一層制に関する表現には十分に注意し、海外事例を含め制度についての正確な市民への情報提供となるよう改善してもらいたいと思いますが、市長の見解を伺います。
 特別市制度には何らかの住民代表機能を持つ区が必要と説明資料にあるとおり、今般公表された横浜市中期計画2022~2025(素案)に述べられている住民自治の強化のためには、行政区の民主的機能を高める必要があります。公選ではない区長の権限を強化するのであればなおさら公選職による民主的チェック機能が求められます。
 そこで、横浜市中期計画2022~2025(素案)にあるように、特別区のような新たな自治体をつくらずに区や区長の権限強化を行う中で住民自治を強化するためには区長への民主的チェック機能を高め区民の民主的合意形成のための機関をつくるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 この数年、私のところへ相談に来られる市民の皆様のお話を伺いますと、市職員の市民への説明、対応が十分に市民に寄り添えていないことで起こるすれ違いが多いと感じております。心の籠もらない答え方であると市民と打ち解けることはできません。心を開いて市民と接してほしいと思います。市民の声を熱心に聞き丁寧に話しかけ、共に解決に向けて伴走する思いを持ってその気持ちがしっかりと伝わるコミュニケーションを行うよう窓口だけでなく全職員に徹底してほしいと思いますが、市長のお考えを伺います。
 次に、山下ふ頭再開発について伺います。
 市長によりIR誘致が撤回され1年がたちます。予定地とされていた山下ふ頭再開発に向けて市民意見募集と事業者提案をいただいたところですが、今後はしっかり民意とともに歩むことが大切です。そのために透明性の高い決定プロセスを市民や事業者と共有することが不可欠と考えます。
 そこで、事業内容の決定に向けてはその全てを可視化し、透明性の高い十分に民意に基づいた事業としていくべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、公文書管理について伺います。
 横浜市には年間約123万件の起案文書があると伺いました。保管期限の過ぎた文書を廃棄するのか、それとも歴史的公文書として残すのかどうかを適切に仕分けるには専門家のアドバイスの下作業を行うべきと考えます。現在は専門家のアーキビストではない一般の職員が仕分けていると聞きました。市がどのような経緯を経て意思決定したかなど事後に検証可能とする公文書の存在は社会の大切な財産です。
 そこで、専門職であるアーキビストによる行政文書の仕分けを行うべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、みなとみらい本町小学校の恒久化について伺います。
 みなとみらい本町小学校が令和10年3月に閉校して本町小に再度戻ることは、児童数増の見込まれる中、極めて困難であると考えます。たとえ10年の暫定期間を延長したとしても、何年延長されるのか分からない状態が続けば、自分の子供はこの小学校を卒業できるのか不安になり、違う小学校に通うことも選択肢となるお話を地域では伺っているところです。子供たちの育ちを思えば、先延ばしにすぎない暫定期間延長にとどまらず恒久化への道を歩むべきと考えます。
 そこで、みなとみらい本町小学校は暫定期間延長にとどまらず早期に恒久化を決断するべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、医療的ケアについての本市の責務について伺います。
 医療的ケア児支援法が昨年施行され、地方公共団体に対しては自主的かつ主体的に医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務が定められ、保育所の設置者と学校の設置者の責務として医療的ケア児に対し適切な支援を行う責務を有すると定められました。今後様々なニーズが学校現場などに新たに生じてくることも多いと思いますが、学校現場は病院ではないとの教育長の見解も常任委員会であったところですが、だからこそ支援法は医療と学校現場を接合する責務を改めて自治体に求めているのだと思います。適切な支援を十分に展開していただきたいと思います。
 そこで、看護師の確保など市の責務として学校現場や保育所等において医療的ケア児支援法が求める施策を展開できるようしっかりと体制を整えてほしいと思いますが、市長の見解を伺います。
 次に、公園や子供の遊び場の喫煙禁止区域化について伺います。
 健康増進法は屋外での喫煙に規制をかけておらず配慮義務のみとなっております。東京都の複数の区では区内全ての公園の喫煙禁止を実施しており、兵庫県も全県域で公園は喫煙禁止です。グローバル都市と言われるニューヨークやロンドン、パリにおいても公園の禁煙化が進んでいます。横浜市中期計画2022~2025(素案)にうたわれている子育てしたいまちをより一層進めるためにも、子供たちを受動喫煙から守る取組の強化は必要だと考えます。
 そこで、子供が多く利用する公園などでの喫煙禁止を視野に入れた検討を進めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、IR誘致に係る取組の振り返り中間報告について伺います。
 本年2月に発表された横浜IRの誘致に係る取組の振り返り(案)の中間報告なる文書の冒頭にありますIR誘致事業の始まりから撤回に至るまでを概括している「はじめに」との文章には、最も振り返られるべきカジノIR誘致への反対運動やカジノの是非を問う住民投票条例制定の直接請求に関しては触れられておりません。住民投票条例の議案に付された住民投票に意義を見いだしがたいとする当時の市長の意見は載せて、市民による請求の要旨は載せておらずいかにも偏っております。市政の主役たる市民の反対運動には言及せず、直接請求に関する記載も僅か数行と極めて少ないこの文書では、なぜ民意とかけ離れ市がIR誘致に邁進してしまったのか、IR誘致をめぐる出来事の客観性に欠け適切な振り返りにはなり得ないと思います。
 今後、本市が様々な施策を展開するに当たり市民に喜んでいただける取組を進めるためにも、IR誘致振り返り文書の客観性を高めることは極めて重要です。この振り返り文書はIR誘致を推進した職員によって作成されたと伺いましたが、本来はIR誘致に関わっていない方々が編さんの主体となり、誘致に関わった市職員に対しては必要に応じて聞き取りを行うという形式にするべきだったと思います。燎原の火のごとく広がったIR誘致反対運動は山中市長誕生へとつながりました。2年の長きにわたり多くの市民が忍耐と信念に基づき熱心にIR反対運動を展開し、その土壌に今、山中市政が花咲こうとしています。この振り返り中間報告は後世に客観的な判断材料として残すべきものであり、今後どのように最終案へと仕上げられていくのか気になります。
 そこで、IR誘致に係る取組の振り返り文書についてこれまでどのように経てきて、今後、最終案の作成に向けてどのように取り組むのか、市長の考えを伺います。
 また、最終案をつくるに当たっては第三者により振り返りを行うべきと考えますが、市長の見解を伺います。
 最後に、横浜市中期計画2022~2025(素案)と山中市長の公約について伺います。
 先般公表された横浜市中期計画2022~2025(素案)では、中学校給食の利用を原則とすることや小児医療費助成の中学校三年生までの拡充など市長が市民に約束された公約の実現に向けた内容が盛り込まれました。IR誘致撤回から始まり、民意によって政治が動く民主主義を具現化するためにもこの横浜市中期計画2022~2025の策定は大変重要なものです。
 そこで、第4回定例会の横浜市中期計画2022~2025の最終的な策定に向け市長の意気込みを伺います。
 民主主義の主役は市民です。副市長以下行政の皆さんには、どうか民意を重んじ、市長が市民と約束した選挙公約の実現に向けて引き続きの努力をお願いするとともに、市民と市政とのつながりを可視化し透明性ある作業を進め、民意実現のため謙虚に業務を遂行していただくことを要望申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

議長(清水富雄君)
 山中市長。

〔市長 山中竹春君登壇〕

◎市長(山中竹春君)
 荻原議員の御質問にお答えします。
 就任1年を経ての感想と今後の展望について御質問をいただきました。
 感想と今後の展望ですが、377万市民の皆様の暮らしや経済活動をお支えする市長の責任の重さを日々感じながら、横浜を取り巻く様々な課題に全力で取り組んでまいりました。横浜が転換期にある今、これまでの意識、思考の転換、そして新たな価値の創造が不可欠であります。部局の目標にとどまらず、全体最適を強く意識して市民目線そしてスピード感のある市政運営を実現してまいります。
 福祉人材の処遇改善について御質問をいただきました。
 市内福祉関連事業所の給与の実態把握を行うべきとのことですが、個別の事業所ごとの給与額については事業規模や雇用形態が異なるため一律の把握は困難ですが、各サービス事業所から平均賃金の改善額、ICTの活用等による業務改善の取組など職員の処遇改善につながる取組について報告を受けております。今後も、福祉人材の処遇が改善され事業所が適切な運営を行えるよう指導等を進めていきます。
 福祉に携わる人々の給与を上げるべきとのことですが、賃金水準の向上は、若い世代を含め働いている方の意欲の向上、ひいては利用者サービスの向上にもつながっていく重要なものと考えております。給与の財源となる各サービスの報酬については国において決定されるものであり、改定の時期に合わせ本市としても改善要望を行っています。引き続き福祉に携わる方々の処遇が改善されるよう本市としても国へしっかりと働きかけを行ってまいります。
 モデル賃金の設定や福祉従事者のリビングウエイジ額の設定を始めてはどうかとのことですが、超高齢社会において福祉人材の確保は重要であり、利用者サービスの向上にも不可欠です。そういった観点から国に対し、他都市とともに良質な人材の確保が図られるよう報酬単価の適正化を提案しています。また、本市では、職員の処遇改善につながるスキルアップのため訪問介護等資格取得支援なども行っております。今後も引き続き必要な施策を進めてまいります。
 バリアフリーの推進について御質問をいただきました。
 ブルーラインの隙間及び段差解消の整備ですが、令和元年10月に国土交通省のガイドラインが改定され、ホームと車両の隙間及び段差縮小の目安が示されたところです。整備により車椅子使用者が単独で乗降可能になるほか、自由に様々な場所に移動しやすくなるため全駅に展開をしていくべき事業だと考えております。
 障害のある方への合理的配慮の提供の推進について御質問をいただきました。
 実効性あるものとするための行政内部、指定管理者をはじめ民間事業者への働きかけと関わり方ですが、合理的配慮の提供を推進するため副市長をトップとした差別解消庁内推進会議を活用し、全庁で取組を強化しております。また、民間事業者へは障害者団体と連携し、当事者が講師になる出前講座等を開催しております。今後、法改正により民間事業者の合理的配慮が義務化されるため働きかけを強化してまいります。
 合理的配慮を求める際の相談窓口の明確化と丁寧な周知を行うべきとのことですが、障害のある当事者の方が相談をお受けする障害者ピア相談の窓口を横浜ラポール内に設けております。相談者の気持ちを受け止めた上で差別の解消に向け行政機関につないでおります。今後も、本市ウェブサイトやチラシ等を活用して差別解消相談窓口を丁寧に御案内していくとともに、相談しやすい環境づくりを進めてまいります。
 知的障害者施設などの入所待機者の把握について御質問をいただきました。
 施設入所を希望している方、緊急性がある待機者の数を把握するべきとのことですが、現在も児童相談所や区、相談機関等が相談を通して施設への入所を希望される方を把握しております。今後も相談をお受けする中で、利用希望のほか御本人や支援者の状況、緊急性など一人一人のニーズを丁寧に把握してまいりたいと考えております。
 パーソナルアシスタンス制度導入の可能性ですが、本市では、生涯にわたって寄り添う後見的支援制度や単身生活者等の方を支援する自立生活アシスタントなど地域の中で希望される生活を実現していくための制度があります。御例示いただい他都市の事例も参考にしながら、引き続きよりよい支援について検討を進めてまいります。
 歩きたくなる道づくりやまちづくりについて御質問をいただきました。
 都心臨海部の歩きたくなる道づくり、まちづくりですが、横浜の都心臨海部には横浜らしさを象徴する水際線、個性的で魅力ある商店街や商業拠点など歩きながら感じられる多くの魅力であふれており、これらをつなぐことで地域の価値が一層高まっていくと考えております。このため歩行者空間の充実や沿道のにぎわいの創出など、歩いて楽しめるネットワークづくり、まちづくりを総合的に展開して魅力向上を図ってまいります。
 東横線跡地についてですが、これまでに桜木町駅から紅葉坂までの約300メートルを開通させ、全国都市緑化フェアなどでも活用してきました。一方で、構造物の調査結果により一部の構造物の撤去が必要となったことを契機として今年度より計画の再検討を進めているところです。計画の策定に当たっては、歩行者が通行する機能のみならず人々が訪れたくなるような空間づくりを目指して検討を進めます。
 特別市制度と住民自治について御質問をいただきました。
 特別市制度の市民の皆様への情報提供についてですが、特別市は県の区域外となる一層制の大都市制度であるので、機動的な大都市経営というメリットと同時に民主的コントロールが働く区の仕組みを充実させていくことが必要であると考えております。特別市になり機能や役割が拡大することで市民の皆様の生活にどのようなメリットがもたらされるのか、私自ら先頭に立ってお伝えをしてまいります。
 区長への民主的チェック機能を高め区民の民主的合意形成のための機関をつくるべきとのことですが、横浜特別自治市大綱では、区の役割や権限の拡大に併せ、区選出の議員が区行政を民主的にチェックする仕組みや区民の皆様が行政に参加する仕組みを導入することとしております。また、行政運営の基本方針(素案)でも特別市を見据えた住民自治の充実を目指しております。引き続き様々な観点から市会の皆様とともに議論をしながら実現に向けて取り組んでまいります。
 市民の皆様とのコミュニケーションについてですが、私たちに期待をされているのは、社会のニーズを敏感にキャッチして早く応えるスピード感、そして市民目線の視点であると考えております。そこで、職員に対しては常に市民目線で現場の声を聞き、市民ニーズを把握分析して一緒になって課題解決に取り組む姿勢を徹底することで現場主義を実践していきます。
 山下ふ頭の再開発について御質問をいただきました。
 透明性の高い十分に民意に基づいた事業としていくべきとのことですが、8月に公表した市民意見募集等の結果を踏まえ、秋頃から事業者提案の修正や追加募集を行うとともに、市民の皆様からも具体的な事業者の提案等に基づく意見募集や市民意見交換会を実施いたします。それを受けて地域の関係者や有識者等から成る委員会を新たに設置し、透明性を確保した上で議論を展開して積極的に情報発信をしながら市民の皆様の御意見を反映させた事業計画の策定を進めてまいります。
 公文書管理について御質問をいただきました。
 歴史的公文書とすべきかアーキビストが仕分けを行うべきとのことですが、現在、歴史的公文書の仕分けについては収集基準に基づき総務局で行っております。アーキビストを含めた文書に関する専門人材の確保育成は国や地方自治体を問わず行政全体の課題であると認識をしており、公文書の適正な管理に向け、認証制度をはじめとした国全体の動きを注視していきます。
 みなとみらい本町小学校の恒久化について御質問をいただきました。
 早期に恒久化を決断するべきとのことですが、みなとみらい21地区は横浜経済を牽引していく業務集積地であるため、10年間の暫定土地利用の承認を受け開校した経緯がございます。このため学校の在り方については、児童数の推移などを踏まえて慎重に判断をする必要があると考えております。
 医療的ケアについての本市の責務について御質問をいただきました。
 医療的ケア児支援法が求める施策についてですが、医療的ケア児の受入れ及び支援を行う体制を整えることが必要だと考えており、特に小児の医療的ケアに対応できる看護師など担い手の確保が非常に重要です。学校や保育所等での受入れが進むよう、研修による人材育成や看護師雇用の補助の充実、訪問看護ステーションの活用などを通じまして看護師の確保に努めるとともに、お一人お一人の状況を踏まえて適切に対応をしてまいります。
 公園や子供の遊び場の喫煙禁止区域化について御質問をいただきました。
 喫煙禁止を視野に検討を進めるべきとのことですが、現在、公園等において喫煙する方に向けたポスターを掲示するなど子供の近くで喫煙をしないよう配慮を呼びかけております。しかしながら、受動喫煙から子供たちを守らなければいけませんので、子供が多く利用する公園等での対策の強化に向けてさらなる取組を進めてまいりたいと考えております。
 IRの振り返りについて御質問をいただきました。
 これまでの取組の経緯と最終報告に向けた今後の進め方ですが、IR誘致の取組に関して国の動き、市会での御議論、市が取り組んできた内容など事実経緯を取りまとめたものを中間報告として2月に公表させていただきました。中間報告に対して市会や市民の皆様から様々な御意見をいただきましたので、事業の進め方あるいは経済的効果、社会的効果などにつきまして、外部有識者の意見を改めて幅広くいただきながら取りまとめを進めております。振り返りとしてしっかり取りまとめ、できるだけ早く御報告をいたします。
 第三者による視点も入れた振り返りを行うべきとのことですが、2月に公表した中間報告について、外部の有識者から第三者的かつ多角的な視点で専門的知見に基づく考察をいただき、現在取りまとめを進めている最終報告の中でお示ししてまいります。
 横浜市中期計画2022~2025(素案)と市長公約について御質問をいただきました。
 横浜市中期計画2022~2025の最終的な策定に向けた意気込みですが、公約は市民の皆様との約束であり、実現に向けてしっかりと検討を進めることが私の責務であります。計画には公約で掲げた重要な施策を含めて地域の皆様から直接伺った様々なニーズや人口減少の兆しを踏まえた課題や対応の方向性を盛り込んでおり、今後、市会の皆様と真摯に議論をさせていただきながら最終的な策定に向けて着実に進めてまいる所存です。
 以上、荻原議員の御質問に御答弁を申し上げました。