横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和 5年 こども青少年・教育委員会

△市内保育・教育施設における不適切保育について

○麓委員長
 次に、報告事項に入ります。
 初めに、市内保育・教育施設における不適切保育についてを議題に供します。
 当局の報告を求めます。

◎吉川こども青少年局長
 それでは、市内保育・教育施設における不適切保育について報告申し上げます。
 お手元に配付しました資料の1ページを御覧ください。
 1、概要についてですが、市内保育・教育施設(幼保連携型認定こども園)については、令和3年10月以降、特定の保育士による不適切保育が行われているとの複数の相談が市に寄せられておりました。
 令和3年10月29日以降、園への立入調査を開始し、同年11月30日に職員配置不足や不適切保育の疑いに関して、指導文書を発出しました。現在も継続して繰り返し指導や立入調査を行っておりますが、現時点で不適切保育は行われていないことを市として確認しています。
 一方で、令和5年2月に、令和3年8月に行われていた不適切保育が動画で確認できたことから、令和5年2月15日に改めて指導文書を発出しました。当該動画は、令和3年12月に2名の市職員が視聴しておりましたが、当時の情報提供者から動画データの提供が受けられず、動画に記録された児童、保育士について、その後の特定や再確認ができませんでした。
 今回改めて動画を視聴する機会があり、不適切保育と判断し、再指導に至ったものです。
 現在、保護者や保育従事者等からの不適切保育に関する相談を受ける専用窓口の設置や、通報を受けた後の対応方法の手順、情報共有のルールの整備について検討を進めています。

(中略)

○麓委員長
 報告が終わりましたので、質疑に入ります。

(中略)

◆荻原委員
 数点確認いたします。
 まず、幼稚園としての非常に長い歴史がある園だと思うのですけれども、一般論として、幼稚園が認定こども園になって保育機能を兼ねるということになった際に、保育に関する、つまり新たに兼ねることになった機能についての研修等というものは実施されているのかどうか伺います。

◎齋藤保育・教育部長
 幼稚園から認定こども園への移行を希望する園には、事前相談の段階で、移行後の施設類型が変わることによる留意事項、設備、配置基準などについて説明は行っております。
 また、開所前の認定こども園の園長には、認可保育所等の新規施設整備における施設予定者と同様に、開所前の研修といたしまして、組織マネジメント講習やリスクマネジメント研修などのほかに、面談も複数回実施しているところでございます。
 ただ、今回の事案なども踏まえ、特にゼロ、1、2歳の小さなお子様の保育の理解につきましては、もう少し何か強化していきたいと現時点では考えております。

◆荻原委員
 ということは、現時点においては、新たに附帯することになる保育機能の研修については、これまで特段に行われてこなかったということでしょうか。

◎齋藤保育・教育部長
 そのとおりでございます。

◆荻原委員
 そうしますと、これは先ほど御答弁があったようにしっかりと実施して強化していただきたいということを強く要望いたします。
 今年1月18日、市による園長・弁護士へのヒアリングが行われ、ここで不適切保育とは何かが十分理解がされていない中での当該保育士へのヒアリングであったことが分かると御報告があるのですが、元保育士が不適切保育を行っていた事実の確認が不足していたという意味なのか、それとも園長や弁護士が不適切保育の内容について知識が不足していたということなのか、どちらの意味でしょうか。

◎齋藤保育・教育部長
 両方の点であるかと思います。まず、不適切保育そのものにつきましては、令和2年度に国の補助事業でまとめられた不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引がございます。それによりますと、保育所保育指針に示す子供の人権、人格の尊重の観点に照らして、改善を要すると判断される行為となっております。
 具体的には、5つの行為類型が示されており、子供一人一人の人格を尊重しない関わり、あるいは物事を強要するような関わり、脅迫的な言葉がけ、それから3つ目として罰を与えたり乱暴な関わり、4つ目として子供一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり、5つ目として差別的な関わりとなります。
 もともと、ヒアリングを行った弁護士によりますと、不適切保育が何かということも十分理解しておりませんでしたし、十分理解していない上でのヒアリングということになりますので、本人への事実確認も不十分だったと思っております。

◆荻原委員
 ということは、園長はこの1月18日時点まで、御自身の園の中で不適切保育が行われていたという認識は十分に持っていなかったという理解でよろしいですか。

◎齋藤保育・教育部長
 令和3年11月30日に横浜市として文書指導をしておりますが、その時点で不適切保育が行われた疑いがあるということを、指導の懸案事項として書いております。ですので、我々職員が園長に対しては、これまでも繰り返し不適切保育については説明してきたのですけれども、これを振り返ってみたときには、弁護士によるヒアリングの際に、それがきちんと弁護士も含めて理解していないことを確認したということになります。

◆荻原委員
 この点が、今回、まず1つ横浜市として大きく反省し、今後改善に生かさなければならないポイントなのではないかと思います。つまり、認識をされていない長に対して、しっかりと認識していただく。しかも、今回は、速やかに認識していただかなければならないケースでありますので、その点についてはしっかり反省して、今後は改善していただきたいことを強く要望いたしたいと思いますが、局長の見解を伺います。

◎吉川こども青少年局長
 いかに認識していただくかということについては、我々もしっかりと反省したいと思います。どういう手段、説明の仕方、それから具体の事例も含めて、どういう形で説明して、認識ができているかどうかの確認をどう行うのかについても、しっかりと我々としては反省を踏まえて取り組んでいきたいと思います。
 とはいえ、今まで令和3年11月30日に指導文書を発出させていただいて以降、この園長に対して、不適切行為というのはこういうことで、具体的にこういう行為が園の中であったということ、どうすればそれが改善できるのかということも含めて、市の職員が繰り返し指導は行ってきたところでございます。
 ただ、それが実際に荻原委員御指摘のとおり、園長に届いていなかった、理解されていなかったということでございますので、この点については御指摘をしっかりと踏まえて反省して、次の取組にしっかりと生かして、変えていかなればいけないと考えております。

◆荻原委員
 2022年3月10日には、園による保護者説明会が市職員同席の下、行われたと報告にありますけれども、この時点でもその園長は十分に理解されていなかったということになりますし、だからこそホームページには、12月14日、問題行動等は確認できなかったと掲載して、これは非常に保護者の方々は傷つかれたと思います。横浜市がこのような事態に至ることを防いでいかなければならなかったという点だと強く指摘したいと思います。
 そこで、保護者の方々からは、保護者の皆さん全体への説明会を園からしっかり開いてほしいと再三の御要望があったと伺っておりますが、園はそれに答えなかったという事実があったと伺っております。
 まず、その園が保護者の皆さん全体への説明会を開いたのは、2022年3月10日のみでしょうか。

◎齋藤保育・教育部長
 資料2ページにあります3月10日と3月11日のこの2回開いております。

◆荻原委員
 この園による保護者説明会というのは、園が自発的に開いたのか、それとも市が指導して開いたのか、どちらでしょうか。

◎齋藤保育・教育部長
 保護者からの強い御要望がありまして、横浜市からもそのように再三繰り返し開催するように言ってきた結果、開いたということになっております。

◆荻原委員
 これは最終的には園の判断になってしまうのかどうか、市がきちんと説明会を開くことについて、強い指導のようなものはできるようになっているのでしょうか。

◎吉川こども青少年局長
 これを開催しなさいといった強制的、法的な権限はございませんが、指導はできます。

◆荻原委員
 最終的には、その園の判断に委ねられているということでしょうか。

◎吉川こども青少年局長
 最終的には園の判断に委ねられています。ただ、保護者の方の理解とか、説明をきちんと受けたという納得感、園から説明があって、園に対して信頼関係が築けるかどうかが、我々としてはこの指導できちんと改善が図れたかどうかという判断基準になります。
 ですので、結果として全体の説明会を開催しないことによって、保護者との信頼関係が築けていないということであれば、それを強く求めるとともに、信頼関係が築けないことがずっと続いていけば、それは先ほども木内委員への答弁の中でも申し上げました、法的なさらに強い事業停止にも当然つながっていくという、そこの一部のステップに上がっていくということだと思います。

◆荻原委員
 市による保護者説明会は3月5日に開かれたということですけれども、園による保護者説明会は、市としては開催を求めていくということでしょうか。

◎齋藤保育・教育部長
 現在、園が主催します保護者向けの説明会につきましては、今週の金曜日と土曜日に開催が予定されております。

◆荻原委員
 今後の改善点として、市として強く説明責任を園長に求めていくということについては、対応フローの中で検討して盛り込んでいただきたいと要望したいと思います。
 最後に1つ、昨日3月8日、不適切な保育を行ったとされる保育士へのヒアリングが行われ、さらに市による園長・弁護士へのヒアリングが行われたとありますけれども、この内容はどのようなものだったのかお伺いしたいと思います。

◎齋藤保育・教育部長
 まず、不適切な保育を行ったとされます保育士へのヒアリングは、昨日、保護者とか保育士から寄せられていた不適切な保育の内容について確認を行っておりますが、内容につきましては、今後、他の職員からのヒアリング内容も含めて園とも確認を行ってまいりますので、この場では発言を控えさせていただきたいと思っています。
 また、昨日同日に園長と弁護士へのヒアリングも行い、指導文書に対する取組状況とか、それに対する意識も含めて聞き取りを行っております。改善に向けた取組の内容については、本市から今現在も詳細の確認は十分でない点について指導している最中でもありますので、大変申し訳ありませんが、現時点では詳細の内容を市からお伝えすることは控えさせていただきます。
 今後、早急に詳細の確認や具体的な取組に向けた指導を進め、園の改善の方向性や内容について市が適切であると確認できた折には、園から保護者の皆様にもしっかりと説明するよう、市から指導していきたいと考えております。

◆荻原委員
 ぜひしっかりとした対応をお願い申し上げますし、我々議会にも報告をいただいて、改善をしっかり取り組んでいただきたいと思います。

△横浜市特別支援教育推進指針(仮称)の検討の開始について

○麓委員長
 次に、横浜市特別支援教育推進指針(仮称)の検討の開始についてを議題に供します。
 当局の報告を求めます。

◎鯉渕教育長
 先ほど報告いたしました整備等に関する考え方(原案)の中で、別途検討することとしておりました横浜市特別支援教育推進指針(仮称)の検討の開始について報告いたします。
 1、趣旨ですが、発達障害や医療的ケアを日常的に必要とするなど、特別な支援や配慮を要する児童・生徒は増加傾向にあり、その状態も重度化、多様化しています。令和3年には、国の医療的ケア児支援法や特別支援学校の設置基準の公布、令和4年には国連から日本のインクルーシブ教育への勧告も行われ、また、神奈川県においても、かながわ特別支援教育推進指針が策定されました。
 本市におきましても、特別支援学校の整備や配置など、主にハード面に特化した横浜市における特別支援学校の整備等に関する考え方を策定しています。そうした中で、特別な支援を要する児童・生徒の増加や、教育現場におけるICTの普及等を背景に、特別支援教育に関する内容の充実や全ての教職員の特別支援教育に係る専門性の向上など、ソフト面に係る課題も浮き彫りになってきました。
 そこで、特別支援教育を取り巻く状況の大きな変化に対応していく観点から、本市の特別支援教育の目指す姿を学校現場の全ての教職員と共有し、児童・生徒一人一人の教育的ニーズに応じた豊かな学びを提供できるよう、具体的な取組に向けた検討を開始したいと考えております。

(中略)

○麓委員長
 報告が終わりましたので、質疑に入ります。

◆荻原委員
 この取組、私は非常に大切だと思っておりますし、ぜひとも全力で進めていただきたいなと思っております。
 令和5年度中の策定を目指すとありまして、専門家の方々から御意見をいただく、学校現場とも丁寧に議論を進めるということで、ぜひ市民の皆さん方から、あるいは保護者の皆さん方からもしっかりと御意見を聞きながら進めていただきたいと思うのですけれども、その点を含めまして、この令和5年度中に見えている策定のスケジュールについてお伺いしたいと思います。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 御指摘のとおり、保護者の方の御意見、やはり当事者としての御意見というのは非常に重要だと考えております。例えばPTAの組織など、日頃から意見交換等はさせていただいているところですけれども、そういう場面でもこういったものを進めていくということを説明しながら、御意見をいろいろ伺っていきたいと考えております。まだこういったスケジュールでといった具体的なものは立ててはいないのですけれども、令和5年度中に進めていきたいと思っております。
 これまでも、校長会など、本当に様々なところから御意見をいただいているところです。特別支援教育が始まったのが平成19年で、15年たっていろいろな課題も見えてきています。それに加えて、GIGA端末が導入され、いろいろな環境自体が変わってきておりますので、これまでに我々が把握している課題と現場の御意見をまとめながら、一番の肝は、学校で確実に専門的な指導・支援ができることを目指して進めていきたいと考えているところです。

◆荻原委員
 昨年9月に、国連からインクルーシブ教育に関する勧告が日本に対して出されました。この中に、具体的にインクルーシブ教育に関する指摘は、この条約の第24条に記されている教育の部分で、通常教育の教員及び教職員以外の教職員に障害者を雇用するインクルーシブ教育に関する研修を確保し、障害の人権モデルに関する意識を向上させることという勧告内容の文章がございまして、教員及び教員以外の教職員にと勧告では書かれています。今回のこの指針の対象としては、教職員と書いていただいているかと思うのですけれども、教員以外の職員の方々も対象としてつくっていくのかどうかという点は、どうでしょうか。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 国連の勧告は、世界標準ということもあるかもしれません。全ての教育関係者ということだと考えております。そういう意味では、学校教育を離れる部分までも含めてといった表現かというところではあるのですけれども、今回の指針におきましては、特にその専門性の向上というところでは、まずは教員を念頭に置いていきたいと考えているところです。

◆荻原委員
 まずはというところで、いずれは教員以外の学校現場で働いてくださっている職員の皆さんにも、そういった研修なりで知識に触れていただくということも必要になってくるのではないかと思うのですけれども、その点、見解を伺います。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 御指摘のとおりだと思います。学校はチームでございますので、教員以外も含めた全ての職員についても当然必要になってくると考えております。

◆荻原委員
 ぜひ指針の策定に当たって、そういったことを念頭に置いた検討を進めていただくことを要望します。
 最後に、この報告の資料2ページのウの課題のところに特別支援教育支援員(有償ボランティア)とありますけれども、私の記憶によりますと500円で働いていただいている支援員だと思うので、もし考えていただけるなら、待遇の改善を進めていただきたいと思っているところです。
 私が視察させていただいた学校現場におきましても、この支援員の働きというのは非常に大切な要素を占めてくださっていることを実感いたしました。先生方がなかなか手の届かないところにしっかりと手を差し伸べてくださることのできる方々でありまして、ぜひもう少し待遇を上げていただいて、より多くの支援員が学校現場に関わりやすい環境をつくっていただきたいと思うのですけれども、その点、見解があればお伺いいたします。

◎佐藤インクルーシブ教育エグゼクティブマネジャー
 現在の支援員は、有償ボランティアという位置づけで、地域の方に御協力をいただきながら、地域の中で子供たちが育つといったことも含めて、制度の組立てをしているところです。実際の活動としても、そういったボランティア的な要素の部分から、かなり個別具体の支援にほぼ近い部分まで、多様なサポートの内容があるというところは考えているところです。その辺りは、制度そのものの検討も含めて必要ではないかという御指摘もいただいているところですので、今後の課題ということで検討はさせていただきたいと思います。

◆荻原委員
 最後の要望ですけれども、様々な方々に学校現場を支えていただける状況を組み立てていただきたいと思っております。まずはその一歩として、この支援員の皆さんにより深く関わっていただきやすい環境をぜひつくっていただきますよう、お願い申し上げます。