横浜市議会議員 おぎわら隆宏

 

市政報告/議事録

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令和 6年 大都市行財政制度特別委員会

△新たな大都市制度の創設に向けた検討状況等について

○川口広委員長
 次に、当局より報告事項がございます。
 新たな大都市制度の創設に向けた検討状況等についてを議題に供します。
 なお、当局からの発言に際しては着座のままで結構です。
 当局の説明を求めます。

◎松浦政策経営局長
 新たな大都市制度の創設に向けた検討状況等につきまして、橘田大都市制度推進本部室長より説明いたします。

◎橘田大都市制度推進本部室長
 それでは、お手元にお配りしております資料に基づき御説明いたします。
 これまでの本市の主な取組や国等の動向をまとめております。
 まず、平成22年度の当局の欄を御覧ください。
 平成22年5月に新たな大都市制度創設の基本的考え方、基本的方向性を公表いたしました。その後、当委員会において、平成22年度に水平的、対等な連携協力の可能性について、平成23年度は新たな大都市制度における都市内分権についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。また、平成23年12月には、新たな大都市制度である特別自治市創設に関する決議を、さらに平成24年2月には、指定都市16市の議長が国に対して特別自治市創設の要望を行っていただきました。
 平成24年度の当局の欄を御覧ください。
 平成25年3月、市会の皆様方との議論を経て、本市が実現を目指す大都市制度の基本的考え方を整理した横浜特別自治市大綱を策定いたしました。
 また、平成25年2月には、指定都市議長会として、国に対し特別自治市など多様な大都市制度創設の要望を行っていただいております。
 平成25年度の市会の欄を御覧ください。
 当委員会では、新たな大都市制度における権限移譲と市及び区の在り方についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 また、国等の動向の欄にありますように、平成25年6月には第30次地方制度調査会が大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申を行いました。
 平成26年度の市会の欄を御覧ください。
 当委員会では、少子高齢化の進行と人口減少社会における大都市の行財政制度の在り方についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 平成27年度の当局の欄を御覧ください。
 6月に市会での御議論などを踏まえ、特別自治市制度における区の在り方(基本的方向性)を策定し、公表いたしました。
 また、当委員会では、議長からの依頼により指定都市の区に関する事項の検討について、区役所の視察や参考人招致も含め御議論、御検討いただき、11月に指定都市の区に関する事項に係る検討結果報告書をまとめていただきました。
 2ページを御覧ください。
 平成28年度の当局の欄を御覧ください。
 前年度の検討結果報告書の内容や市会でのさらなる御議論などを踏まえ、地方自治法が要請する区役所の分掌事務を列記するだけではなく、区役所の役割や区局連携・調整に関する事項を明示した横浜市区役所事務分掌条例が4月に施行されました。
 平成29年3月には、地方自治法に基づく横浜市神奈川県調整会議を開催し、パスポート発給事務の移譲について合意しました。
 また、当委員会では、平成28年度に未来を見据えた大都市制度の実現へ向けた行財政運営の調査・研究について、平成29年度は地方制度改革と多様な大都市制度の在り方について、平成30年度は特別自治市の実現に向けた持続可能な大都市経営の在り方についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 令和元年度の市会の欄を御覧ください。
 当委員会では、2040年頃の課題を見据えた大都市行財政制度の在り方についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 国等の動向にありますように、4月に横浜市は災害救助法の規定に基づく救助実施市の指定を受けました。これにより大規模災害に際し、避難所の運営や仮設住宅の供与等の救助事務について、救助実施が自らの事務として被災者を円滑かつ迅速に救助することが可能となりました。
 同じ欄の3つ目の丸を御覧ください。
 県の事務処理特例に関する条例の改正による権限移譲に伴い、10月に市パスポートセンターを設置しました。
 令和2年度の当局の欄を御覧ください。
 12月の第3次横浜市大都市自治研究会答申を受け、令和3年3月に横浜特別自治市大綱を改定いたしました。
 また、当委員会では、社会経済情勢の変化に対応する特別市の在り方についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 国等の動向の欄の一番下の丸を御覧ください。
 11月に、指定都市市長会が多様な大都市制度実現プロジェクトを設置しました。
 令和3年度の市会の欄を御覧ください。
 当委員会では、特別自治市実現に向けたプロセスの調査・研究についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 6月には、特別自治市制度の早期実現を求める意見書を国に対し提出いただきました。
 また、令和4年2月には、特別自治市の早期実現に関する決議を行っていただきました。
 次に、国等の動向の欄の丸の5つ目を御覧ください。
 指定都市市長会、多様な大都市制度実現プロジェクトの最終報告書が11月に公表されました。
 3ページを御覧ください。
 令和4年度の当局の欄でございますが、5月に県・横浜・川崎・相模原四首長懇談会を開催しました。持続可能な行政運営に向けた県と指定都市の役割分担をテーマに意見交換を行い、今後も、知事・3市長のトップレベルでの協議を行っていくことについて合意しました。
 7月には、横浜、川崎、相模原、3市の合同で、県から示された特別市の課題に対する3市の考え方等をまとめた住民目線から見た特別市の法制化の必要性、神奈川から実現する新しい自治の形を公表しました。
 12月には、横浜特別市大綱を公表しました。令和3年3月の改定以降、指定都市市長会や神奈川県がそれぞれの立場から特別市についての考え方を提示したことなどを受け、本市としても特別市に係る情報を更新するとともに、新たな考え方を提示いたしました。
 市会の欄を御覧ください。
 当委員会では、特別自治市制度の立法化に向けたプロセスについてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 11月には、当委員会では初めてとなる特別市の法制化に関する要望書を総務副大臣、衆議院・参議院の総務委員長に対して手交していただきました。
 国等の動向を御覧ください。
 2つ目の丸ですが、4月に指定都市市長会、多様な大都市制度実現プロジェクトが改めて設置されました。プロジェクトの期間を令和8年3月までの4年間に延長され、先月開催されたプロジェクトでは、令和6年度の具体的な取組の方向性について議論が行われるなど、国全体の機運醸成につなげていくため、指定都市が一丸となり、特別市の法制化をはじめとする多様な大都市制度の実現に向けて活動を進めております。
 その下の3つ目の丸を御覧ください。
 7月に開催された指定都市市長会において、特別自治市の通称として特別市を使用することが決定しました。
 令和5年度の当局の欄を御覧ください。
 令和4年度に実施した地区連合町内会長の皆様と市長との意見交換会を踏まえ、4月に横浜市町内会連合会から特別市の実現に向けた取組の推進についての意見書を受領しました。
 3つ目の丸を御覧ください。
 令和6年3月に横浜の未来を創る特別市シンポジウムを開催し、特別市の内容や必要性を広く市民の皆様にお伝えしました。
 その下の4つ目の丸ですが、附属機関、横浜市大都市自治研究会へ、特別市の法制化に向けた諸課題と対応方策等について諮問いたしました。
 市会の欄を御覧ください。
 当委員会では、特別市の法制化に向けた機運醸成についてを調査・研究テーマに御議論いただきました。
 8月には、県内三政令市市長・正副議長懇談会を初めて開催し、特別市の法制化に向けて機運を高めていくことを確認していただきました。
 令和6年1月には、特別市の法制化に関する要望書を総務大臣、衆議院及び参議院の総務委員長に対して手交していただきました。
 令和6年度の当局の欄を御覧ください。
 より多くの市民の皆様に特別市のことを知っていただくため、4月に横浜特別市のロゴ・ステートメントを発表しました。ミライへの選択肢をキーメッセージに、さらなる機運醸成の取組を推進していきます。
 5月には、横浜市町内会連合会から、2度目となる特別市の実現に向けた取組の推進についての意見書を受領いたしました。
 意見書では、各区での説明会の実施や、より参加しやすいシンポジウムの開催、動画等も活用した広報・周知を強力に進め、継続的に機運を醸成し、法制化の実現に向けた取組を進めていただきたいという趣旨の御意見をいただきました。
 参考資料として、資料1から5を添付しておりますので、後ほど御覧ください。
 説明は以上でございます。

○川口広委員長
 説明が終わりましたので、質疑に入ります。

(中略)

◆荻原隆宏委員
 検討状況についてということでございますので、まず1点、神奈川県のお話を今るる委員からいただきまして、そういう状況がある中で、神奈川県以外の政令指定都市を抱える道府県の反応というのは、この間どのようなものであったのでしょうか。

◎橘田大都市制度推進本部室長
 それぞれ政令指定都市を抱えている県との関係というのは、それぞれの地域によって温度差というのはあるのかなと思っています。指定都市都道府県調整会議のような会議体もありますので、そこの中で議論していくみたいなことも20市の中ではあるのですけれども、なかなかやっぱりその本丸的な議論が神奈川県以外の政令指定都市の中で、まだそこまで煮詰まった議論が率直に言うとされてはきていないのかなと考えています。かつては静岡県において静岡市、浜松市が静岡型の特別自治市をつくっていくということで、知事と2政令指定都市の市長が議論したことはございますけれども、現在の中では、まだそういった成熟した議論のところまでは至っていないのかなと考えております。

◆荻原隆宏委員
 政令指定都市を抱える道府県の今の状況は分かりました。一方、政令指定都市のない県について、どういった議論がこの特別市に関して現在あるかというところが、もし分かる部分があれば教えていただければと思います。

◎橘田大都市制度推進本部室長
 全国知事会等で第30次地方制度調査会の議論のときも、大都市制度の議論、大阪における大都市制度、あるいは指定都市の市長会が求めている特別市の議論というものが同時並行で行われてきているわけですけれども、全国知事会のほうの意見というのは47の知事さんの集合体ですので、全体の意見という形では出てくるのですが、どちらかというとそれは政令指定都市を抱えている道府県の意見が知事会全体の意見になっているということで、政令指定都市のない県の知事さんの意見というのは、なかなか具体的な発信ということにはまだ至っていないのかなと考えております。

◆荻原隆宏委員
 様々な地域の状況があると思うのです。神奈川県との関係性というのは、これはもう当然ながらどんどん進めていかなければならない。一方で、特別市というのは、国の在り方に関する非常に大切な構想でございますので、神奈川県のみならず、全国の政令指定都市の置かれている道府県において、どういう環境が求められるのか、どういう整備が望まれているのか、さらには政令指定都市のない県に関してもどういう影響が及んでいくのかということについても、責任を持って考えていく必要があるのではないかと思っておりますが、その点、検討状況として今後方針があれば教えてください。

◎橘田大都市制度推進本部室長
 方針という確たる話ではありませんが、先ほど来、委員の皆様方から、国における議論、国会における議論ということを御発言いただいておりますが、やはり国全体を見たときに、少子化、人口減少が進んでいくと、高齢化が一気に進んでいくという同じトレンドの課題を抱えている。では、それに対して地方自治の制度がどうかというと、地方自治法が戦後、昭和22年にできて、先ほど機関委任事務の廃止とか、そういう大きなトレンドはありましたけれども、制度そのもの、都道府県、市町村という2層制の制度そのものの議論というのは、なかなかこれまで進んでこなかったと。地方自治法の規定の中には、例えば都道府県合併の規定等もあるわけですけれども、そういった議論というのも特に道州制の議論が進捗しない中で進んでいないと。
 ただ一方で、47の都道府県、あるいは全国の市町村全体を見たときに、やはり非常に市町村で見ても多様性があるわけですね。横浜のように377万人の市もあれば、200人ぐらいの人口の青ヶ島村のようなところもあるわけで、ただ、同じ市町村という枠組みになっていると。都道府県を見ても、例えば横浜より人口が少ない都道府県は非常に多くて、どちらかというと多数派だという状況で、県の役割というのもそれぞれ47通りの状況になっています。それに政令指定都市との関係も、やはり20の政令指定都市、それぞれ20通りの形になっていますので、今後の人口減少、あるいは高齢化が進んでいくという日本全体の課題を解決するために、やはり多様な自治制度の在り方というものを考えていかないと厳しいのではないかと。市町村の中でも非常に市町村を守っていくことが厳しいような市町村も地方に行くとありますので、そこには県の役割というのは、また違った意味でありますし、大都市圏のように比較的自立している基礎自治体があるところの県の在り方というのも、また違った部分があろうかと思いますので、そういった意味で、日本の地方自治制度の多様化というものをしっかりこう議論していただくということが必要になってくるのではないかと思っております。

◆荻原隆宏委員
 大変よく分かりました。
 要望となりますけれども、神奈川県との関係性を進めていただくとともに、全国の状況を見据えていただきながら、そこからまた翻って横浜がどうあるべきなのかという論点も、ぜひ研究を進めていただきたい。我々も研究していかなければならないと思いますし、行政におかれても、ぜひその点を研究していただければ大変ありがたいと要望いたします。
 あと、今、国会で地方自治法の一部改正の案が審議されているところだと思うのですけれども、非常時における国からの地方自治体への指示権、この是非について議論がされております。防災関連で、またパンデミック等への対応に関して県との関係性の中で、やはり特別市という存在のほうが、より市民が必要な政策を素早く打つことができるという議論の中でも、この特別市構想というのが進められてきたのではないかなと思っております。もし非常時における様々な我々自治体が考えていることを、そこと符合しない国からの指示がやってくるという可能性が今、生じようとしているわけですけれども、私はそういった指示権は国が持つべきでいないと考える一人でございますが、せっかくの特別市構想が、この指示権の存在で私はちょっと脅かされるのではないかなとも感じておりますが、その点はどのように感じておられるか、局長の見解を伺います。

◎松浦政策経営局長
 コロナの状況を受けて、それで地方制度調査会で2年ほど議論されて、相当な議論があったと認識しております。出てきたその答申と出された自治法の法案に対しても、様々なところから意見が出ると理解されています。もう既に衆議院のほうは通りましたけれども、今、参議院のほうで審議があると思っていますが、やはり国民の生命、財産、身体に及ぼす非常事態というものに対して、法的に何らかの義務のようなものが何もない状況で、行政とか政府のほうでの行動があるというのは、よくないのだろうと思っています。したがって、私は今回の自治法の改正は、あるべきだと考えております。
 そうした中で、一方で先ほど言いましたように、様々な意見があるのも確かに事実だと思っています。そうした中で衆議院のほうでの先日、可決された総務委員会のほうでも附帯決議が入っていまして、その中で幾つか特徴的だなと思っていますのは、この生命等の保護の措置に関する指示について、やはり地方公共団体の自主性や自立性は極力配慮して、個別法で制定または改正するいとまがない場合であって、かつ当該指示以外の措置では目的を達成することができないと認められる場合に限定して、これを行えるようにすること。
 それから、仮にこういった指示を行った場合には、その旨その内容を速やかに国会に報告して、同様の指示が再度行われることがないように、地方公共団体等の意見を聞いた上で十分な事後検証を行って、その結果に基づいて迅速に個別法の規定の整備に関わるような必要な法制上の措置を講じないといけない、こういった附帯意見も入っています。
 したがいまして、本当にコロナの経験というのは、我々自治体もそうですし、政府においてもどうあるべきかといった議論があったわけでございまして、今回の自治法の改正は、特例的に非平時についての限定がされましたけれども、これからも指示権については自主性、自立性に十分配慮された今のような附帯決議を踏まえた対応が国においてもされないといけませんし、我々もそのような状況に応じて、しっかりと国の動向を見ないといけませんし、また我々は国からの指示を待つだけではなくて、常に我々は市民サービス、市民の安全・安心を守っていく立場にございますので、国からの指示を待つまでもなく、しっかりと対応できるように、これからも行政を進めていかなければいけないと考えております。

◆荻原隆宏委員
 丁寧な御答弁ありがとうございました。局長のお考えとして、法改正に賛成だということでございますが、その点の議論はともかくとして、私は反対の立場でございますので、そういう意味で私としては、せっかく横浜市職員の皆さんが横浜市民を思って、非常時のためにこの特別市構想を基に、より自治権を高めていこうという流れの中で、国の本当に針の一穴のような小さな穴だと捉えられているかもしれませんけれども、私は皆さんの仕事が無駄にならないように願っておるわけです。まさに二重になるわけですよね。特別市構想を見定めつつ、しかも災害というのはいつ起こるか分からないわけですから、今も横浜市職員の皆さんは、非常時のときに自立的にしっかりと動けるようにと考えてくださっている。ただ、しかしながら、国も非常時は、いざとなったら自治体に指示するぞと、こういうことでありまして、私はそこの二重性がどうなるのかなと、特別市の存在というのがどう考えるべきなのかということで、今、大変危惧しております。
 なので、これはもう最後、要望にいたしますが、国会の動きは今あるところでありますけれども、その結果を踏まえて、それでも横浜市民の命は、もうしっかりと横浜市が守っていくのだということは、先ほどおっしゃった、国の指示を待つまでもなくという気概でぜひやっていただきたいと思いますし、国との関係性、県との関係性の中で最大値で市民の命を守れるような取組をしていただきたいと強く要望いたします。

○川口広委員長
 ほかにはいかがでしょうか、よろしいでしょうか。

◎橘田大都市制度推進本部室長
 1点、細かい点でちょっと訂正させていただきます。
 先ほど神奈川県の特別市構想に関する見解に対して、本市の考え方を大綱の中で整理したというお話をいたしましたが、この第30次地方制度調査会が示している課題とも重なり合っておりまして、その30次の地方制度調査会の課題に対しては、大都市自治研究会の中でも議論していただいて整理しております。その重なり合っている部分については、3政令市でも示している考えに基づいて、大綱のほうに新たに記載しているという状況でございます。ちょっと細かい点でございますが、よろしくお願いいたします。

○川口広委員長
 それでは、他に御発言もないようですので、本件についてはこの程度にとどめます。