荻塾 in 逗子 「平和は忍耐のいる努力」


リメンバー311

3月1日土曜日、逗子なぎさホールで、荻塾の特別公開講座~リメンバー311を開催しました。

多くの皆様にお足を運んで頂き、心より感謝を申し上げます。東北復興支援活動を熱心に行っている隊長ソウルバンドさんに沖縄エイサー演舞を行っていただき、政治評論家森田実さんの時局講演を頂きました。政治をもっと国民に近いものとするために、出来ることからコツコツ歩んで行きたいと思います。

森田実さんは、「集団的自衛権の行使容認はやってはならない、戦争をしない国であることを止めてはいけない、平和は忍耐のいる努力だ」と、静かに燃える炎のように語られました。集団的自衛権行使については民主党内様々議論があり、自民党内にも様々議論あり、そのことはこの話がいかに重大で困難な政策であるかを物語ります。

おぎわらモーニング3月の最新号の「至言探訪」に選んだ言葉ですが、かつて自民党総理総裁を務めた石橋湛山は昭和43年に次のように述べています。

「重ねて言うが、わが国の独立と安全を守るために、軍備の拡張という国力を消耗するような考えでいったら、国防を全うすることができないばかりでなく、国を滅ぼす。したがって、そういう考えをもった政治家に政治を託するわけにはいかない。」

石橋湛山は他国と軍拡競争をいったん始めてしまうと、果てしなく競走が続いてしまって、とんでもなく国力を消耗するから、我が国は軍備拡張の選択は採ってはならないと言い続けていました。

私は、自民党の多くの政治家が、戦争と敗戦の塗炭の苦しみを味わい、こういった考えを強く持って、これまで我が国は集団的自衛権を長く行使してこなかったのだと思います。

知恵ある、自制心ある、責任ある思慮判断だったと思います。

時代の流れの中で変わるべき部分もあろうかと思います。それが進化であるか退化であるか、冷静に現実的に見極める必要があります。特に防衛政策については、自制心が必須です。相手が防衛費を上げたからこちらも軍事増強だ、となるのは、いたちごっこの典型であり、石橋湛山が憂えた状況を生みます。

安倍総理は、昨年末の靖国参拝で、アジアだけでなく欧米からの厳しい視線を浴びるようになりました。今後も、欧米の想定している以外のことを、電撃的にしかも確信的に安倍総理は行う可能性が排除出来ない、アジアにおける日本発紛争リスクは高まっている、と思われても仕方がないと思います。

集団的自衛権の発動によって軍事的に国際貢献をしようとしているのが安倍政権です。しかし、そのような財政的余裕が、我が国にあるのでしょうか。これまでの専守防衛・軽武装国家が、他国を守るためあらゆる戦場で戦闘行為を行えるようになれば、十分に自衛隊員の命を守る装備をこれまで以上のレベルで準備する必要が出てきます。ミサイルも、戦闘機も、戦艦も、戦車も、鉄砲の玉も、ガソリンも、自衛隊員を一人たりとも死なせないという覚悟で、そのために必要な装備を本当に日本は整えることが出来るのでしょうか。アメリカ軍を守ると言いながら、実際にはアメリカ軍に自衛隊が守られてばかりというような事態に陥らないようにしなければいけません。そうなれば、今まで以上に他国に依存する国家になります。

年金・医療・介護に必要なお金が足りない、保育や教育に必要なお金が足りないからこその、この春の消費税増のお願いに繋がっているはずです。自衛隊員の命を守るに十分な防衛費増のお金の余裕は、今の日本には、無いのではないでしょうか。さらに借金を重ねるか、国民の社会保障費が削られるか、そのような政府としてやってはならないことに繋がるのが、集団的自衛権の全面的行使容認のお話です。

安倍総理、思いとどまるべきです。

石橋湛山の先ほどの言葉は次のように続きます。

「政治家の諸君にのぞみたいのは、おのれ一身の利益より先に、党の利益を考えてもらいたい。党のことより国家国民の利益を優先して考えてもらいたいということである。」

集団的自衛権をめぐって、真に国民の利益とは何か、私利私欲と党利党略を滅して、現政権には考え直して頂きたいと思います。